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2024.02.14

世界の大手ファッションブランドの情報開示度をランキング、「ファッション透明性インデックス」が意味するもの

一般社団法人unistepsが、FASHION REVOLUTIONグローバルが毎年発表する「ファッション透明性インデックス(FASHION TRANSPARENCY INDEX)」2023年版の日本語訳を発表し、注目を集めている。
同インデックスは、世界の大手ファッション・ブランドと小売業者250社を対象に、その事業とサプライチェーンにおいて、大きく「人権と環境」に関する情報公開の透明性について分析し、ランク付けしたものだ。
日本企業としては、ユニクロ、アシックス、MUJI、ミズノ、ユナイテッド・アローズ、イトーヨーカドー、しまむらが調査対象となっている。
そこで今回、日本語訳を担当した、一般社団法人unisteps理事のマルティン メンド 有加さんと、同法人の共同代表理事である竹村伊央さんに、ファッション透明性インデックスの成り立ちや意義、欧米と日本における意識の違い、今後の取り組みなどについて伺った。

「ラナ・プラザ崩落事故」をきっかけに生まれた「FASHION REVOLUTION

はじめに、一般社団法人unistepsの活動について教えてください。
マルティン メンド当法人は2020年に設立した団体で、ミッションとして「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことを掲げています。
具体的には、大きく3つのプロジェクトを同時に行うことで、業界の変革を実現しようとしています。
1つ目は、企業・行政と取り組むプロジェクト、2つ目はクリエイターと取り組むプロジェクト、そして3つ目は生活者と取り組むプロジェクトです。
マルティン メンド具体的に言うと、企業・行政向けには、「Japan Sustainable Fashion Alliance」という業界団体の事務局を担当しております。
ファッション・繊維企業など50社以上が加盟しており、「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」を目標としています。環境省、経済産業省、消費者庁の方にもオブザーバーとして入っていただき、政策提言を一緒に行っています。
クリエイター向けには、デザイナーの中里唯馬さんが発起人である「FASHION FRONTIER PROGRAM」の事務局を担当しています。
これは、毎年新たなファッションデザイナーを表彰するアワードであるとともに、ファイナリストに向けて教育プログラムや技術支援等を行い、クリエイティビティとソーシャルレスポンシビリティの両立にスポットライトを当てることを目的としています。
そして、生活者向けのプロジェクトが、今回のテーマであるファッション透明性インデックスの翻訳などを行っている「FASHION REVOLUTION JAPAN」です。
私たちは、イギリスに本部を置く「FASHION REVOLUTION」の日本事務局として、「FASHION REVOLUTION JAPAN」を運営しています。
FASHION REVOLUTION」は2013年に起きた「ラナ・プラザ崩落事故」をきっかけに生まれた、ファッション・アクティビズムです。今では世界中で75を超える国が参加しています。
ラナ・プラザ崩落事故が起きた4月24日に合わせて、全世界で同時多発的にキャンペーンを行うとともに、2017年から「ファッション透明性インデックス」のレポートを発表しています。日本では、私たちが2020年から翻訳を行っています。
「ラナ・プラザ崩落事故」を契機に、なぜ「透明性」が問題になったのでしょうか。
竹村ラナ・プラザ崩落事故により、現地ではさまざまなグローバルブランドの服が作られていたことがわかったのですが、当のブランドはそのことを把握していなかったケースが非常に多くありました。
ファッション業界はサプライチェーンが長く、自分たちの服がどこでどのように作られているのか、ブランド自身がわかっていなかった。つまり、問題があっても対処できないファッション業界の現状が明らかになったのです。
それ以外にも、短期間で納品されるシステムなど、情報公開されていないものが多数ありました。これらを受けて、ファッションの透明性、サプライチェーンにおいて誰がどこで何をしているのかについて、誰でも見られるようにすることが目指されるようになりました。
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