ニューモデル「Fresh Foam X More v4(フレッシュフォーム エックス モア v4)」は、シリーズ史上最も厚く、最もソフトなミッドソール設計を採用。クッション・反発性に優れたフォーム素材、Fresh Foam X(フレッシュフォーム エックス)が最大限のクッショニングをランナーに提供するという。
また「Fresh Foam X 1080 v12」はソフトなライド感を実現したモデルで、ファンランからウルトラマラソンまでをサポート。また2層構造のミッドソールで安定性に優れた「Fresh Foam X 860 v13」といったモデルもラインナップされている。
ニューバランスはシリアスランナーをサポートする「FuelCell(フューエルセル)」シリーズも展開しているが、「Fresh Foam」シリーズと「FuelCell」シリーズでは何が違うのか。そして「Fresh Foam」シリーズのそれぞれのモデルには、どのようなテクノロジーが秘められているのだろうか。
以前、Fashion Tech Newsで取り上げた「FuelCell SuperComp TRAINER(フューエルセル スーパーコンプ トレーナー)」などの「FuelCell」シリーズのシューズには、反発弾性に優れた「フューエルセル」というミッドソール素材が採用されている。弾むような推進力でランナーをサポートするモデル群で、主にレースで記録を狙いたいランナーや、スピードトレーニングに取り組むランナーが、「FuelCell」シリーズのターゲットとなっている。
一方の「Fresh Foam」シリーズは、クッション性に富んでいるのが大きな特長だ。
「Fresh Foamシリーズは、砂浜を走るようなクッション性と、第二の皮膚のように感じられる足馴染みの良さを追求したコレクションになっています。フレッシュフォームはフォーム素材ではあるのですが、どちらかといえばプラットフォームという認識です。フレッシュフォームは凹凸構造も一つの特長なのですが、構造はモデルによって異なります。また、フォームの硬度や組み合わせもモデルによって最適なものが選択されています」
と、ニューバランス ランニングフットウエア担当の間宮葵さんは言う。
「FuelCell」シリーズを競技志向のコレクションと言うならば、「Fresh Foam」シリーズは健康志向のコレクション。よりリラックスして、より快適に、体に負担をかけずに楽しく走りたいというランナーに適している。もちろん、エリートランナーやシリアスランナーのリカバリーランやジョグにも活用できる。
「Fresh Foam」シリーズ史上、最も厚く最も柔らかいを謳い文句としているのが、「Fresh Foam X More v4」だ。ミッドソールに採用されているのは、フレッシュフォーム エックスという素材。従来のフレッシュフォームよりもさらにクッション性に優れており、適度な反発性も備えている。
「“もっと”楽しく、“もっと”快適に、“もっと”いろいろなシーンでといった意味がモデル名のMoreに込められています。機能性はもちろんなのですが、デザイン性も重視しており、走るときもかっこよくいたい、自分のスタイルを確立したいといったニーズにも応えられるモデルになっています」
確かに「フレッシュフォーム エックス モア v4」は、タウンユースしたくなるデザイン。ニューバランスの直営店では、ランニング目的ではなく、ファッション目的で購入する人もいるそうだ。最も厚く最も柔らかいと聞くと、安定性に不安を覚える人がいるかもしれないが、その辺りも考慮された設計になっている。
「アウトソールは横幅を大きくとり、接地面積が広くなっています。また、靴底にガイドラインになる溝が刻まれていて、スムーズで安定した足運びをサポートしてくれます」
実際に「フレッシュフォーム エックス モア v4」で走ってみると、まず感じるのがソフトな接地感。硬いアスファルトの上を走っているのを忘れてしまうほどのクッション感があり、着地衝撃を十分に緩衝してくれている。そして、ここが個人的に「フレッシュフォーム エックス モア」の魅力だと思うのだが、クッション感があるのに沈み込みが少なく、ブレも感じない。おそらくフレッシュフォーム エックスが備えている反発性と、接地面積の広さのおかげだろう。
ガイドラインやミッドソールの凹凸構造も効いていて、オーバープロネーション(着地時に踵が内側に過度に倒れ込むこと)などの心配もなさそうだ。
スピードを出しやすいシューズというわけではないが、適度な反発とつま先のロッカー形状(つま先が反り上がってカーブしている)により、コロコロと転がるように足が前へと出ていく。かなり気持ちの良い走り心地で、ダイエットやコンディション維持を目的に走るランナーには申し分ないシューズだろう。
「フレッシュフォーム エックス 1080」は、プレミアムなクッション性能を備え、ビギナーランナーの日々のランニングから、ウルトラマラソンまでを快適にサポートする定番モデルだ。
「3D解析を基に設計されたソフトで通気性に優れたハイポニットアッパーが特長です。最新作となるv12では、踵周辺の形状もアップデートし、より足当たりの良さとフィット感が向上しています」
ミッドソール素材は、フレッシュフォーム エックス。ナッツ型の凹凸形状が採用され、最上級のクッショニングとソフトな乗り心地を実現している。その快適性から、通勤用のシューズとして活用しているユーザーもいるそうだ。
楽に、快適に走ることを追求して開発されたのが、スタビリティモデルの「フレッシュフォーム エックス860 v13」だ。安定性、サポート性を重視したスタビリティモデルはパーツが多く、ギア感の強いルックスになりがちだが、デザインはシンプルにまとまられ、安全かつファッショナブルに走りたいというランナーのニーズに応えたモデルとなっている。
「ミッドソールの踵部の内側には、オーバープロネーションを抑えるために硬度を高めたMedial Post(メディアルポスト)を配置しています。また、ミッドソールは硬度を変えたフレッシュフォーム エックスの2層構造で、クッションを感じながらも、蹴り出しは安定するような作りになっています」
2層構造のフレッシュフォーム エックス ミッドソールで衝撃吸収性と弾むような推進力を両立。安定性よりもクッション性と反発性に重きを置いている「フレッシュフォーム エックス880 v12」というモデルも存在する。860か880かは自分の走りにマッチするかどうかで選べば良いそうだ。
「Fresh Foam」シリーズは抜群のクッショニングという共通部分がありながら、さまざまなシーン、用途に対応するよう個性的なシューズがラインナップされている。あなたのライフスタイル、ランニングスタイルに最適なシューズがきっと見つかるはずだ。
ニューバランス ジャパン フットウエア企画部でランニングカテゴリーを担当。高校まで陸上部に所属して1500mを中心に競技をしていた。社会人から再び走り始め、フルマラソンのPBは3:12:00。 街ラン~トレイルまで幅広く楽しんでいる。
Text by Fumihito Kouzu