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2024.04.18

HOKA「MACH 6(マッハ 6)」が 反発性の強化でさらに爽快な加速感を実現

HOKA(ホカ)の人気スピードモデル「MACH(マッハ)」。トレーニングやレースにスピードを求めるランナーを中心に支持されているシリーズだ。プレート非搭載モデルならではのナチュラルな反発が魅力の「マッハ」が、新しいフォーム素材をミッドソールに採用することで、さらに反発力と推進力を高めたという。「マッハ 6」は、前作からどのようにアップデートされたのだろうか。
より速く走りたいランナーのために開発された「マッハ」は、クッション性と反発性を両立しながら、軽量性にも優れたシリーズ。軽やかなライド感と、スピードを出しやすい設計が、中上級レベルのランナーからも支持されている。
昨年の夏には「トレーニングの質を高めたい」というHOKAアスリートの要望に応え、「マッハ」の特徴である柔らかさと瞬発力に、推進力のあるPebax®プレートを組み合わせた「MACH X(マッハ エックス)」が登場し話題となった。今作「マッハ 6」は「マッハ 5」の純粋な後継モデルで、プレートは非搭載だ。
プレート非搭載のスピードモデル。マッハ 6。22,000円(税込)
プレート非搭載のスピードモデル。マッハ 6。22,000円(税込)

新素材・スーパークリティカルフォームを採用

「もっとも大きなアップデートポイントはミッドソールのフォーム素材の変更です」と、HOKAのアシスタント マネージャー ,フィールド エクスピリエンス レップ、安藤正直さんは言う。
「マッハ 5はPROFLY+(プロフライ プラス)という2層構造のミッドソールで、上層に軽量で弾性に優れた素材を使っていましたが、マッハ 6には、スーパークリティカルフォームという新しいフォーム素材を採用した1層構造です。
スーパークリティカルフォームは、超臨界発泡をしたEVAベースの素材です。樹脂に高圧力と温度をかけて、超臨界流体と呼ばれる気体と液体の中間的な状態にしてから成型用の金型に流し込むのですが、それによってより高密度な発泡パーツが作れるため、より優れた反発性や強度を出すことができます。また、製造サイクルを短縮して生産効率を上げるといったメリットもあります」
スーパークリティカルフォームの採用により、エネルギーリターンが強化され、前作以上に軽やかで弾むようなライド感が得られるようになっている。
ミッ��ドソールにはスーパークリティカルフォームを採用。反発性が高く、軽量
ミッドソールにはスーパークリティカルフォームを採用。反発性が高く、軽量

軽量性とクッション性を両立した厚底モデル

「ソールの厚みは前足部、踵部ともにマッハ 5よりも8mm厚くなっていて、その分クッション性も増しています。重量についてはメンズ28cmで約232g。マッハ 5が27cmで約232gだったので、ソールの厚さが増したにも関わらず、さらに軽くなったということになります」
メンズ28cmで、ソールの厚さは前足部が32mm、踵部が37mm。「マッハ エックス」(前足部34mm、踵部39mm)よりは少し薄いが、ブランドを代表するクッショニングモデルである「BONDI 8(ボンダイ 8)」(前足部29mm、踵部33mm/27㎝)よりも厚い。ちなみに「ボンダイ 8」は27cmで約307g。「マッハ 6」が厚底でありながらも、非常に軽量であることがわかる。
アウトソールには耐久性、耐摩耗性に優れたデュラブレーションラバーを配置。前作「マッハ 5」ではミッドソール下部と一体化した、ラバライズド EVA アウトソールが採用されていたが、今作はミッドソールが1層なこともあり耐久性が重視されたようだ。
アッパーには通気性とサポート性を両立したクリールジャカードメッシュを採用。タンのズレを抑制するデュアルインターナルガセットが搭載されており、スピード走行時も足とシューズの一体感を得られる仕様となっている。
前作よりも前足部、踵部ともにソールが8mm厚くなっているにも関わらず、より軽く仕上げられている
前作よりも前足部、踵部ともにソールが8mm厚くなっているにも関わらず、より軽く仕上げられている
アウトソールにはデュラブレーションラバーが採用された
アウトソールにはデュラブレーションラバーが採用された
シュータンとシューズがバンドによって一体化されている
シュータンとシューズがバンドによって一体化されている

気持ちよく、軽やかに走れるシューズ

今年2月、HOKAの国内最大の直営ストア「HOKA Harajuku(ホカ 原宿)」が、神宮前交差点にオープンした。その2階はHOKAの公式ランクラブ「HOKA RUN CLUB」のコミュニティスペースとなっており、HOKAの最新ランニングシューズを試走するイベントが定期的に開催されている(更衣室・ロッカーもあり)。
「ホカ 原宿」で開催されたランニングイベントに参加し、「マッハ 6」を試したランナーからは、特に反発性の高さやスピードの出しやすさを評価する声が上がっているそうだ。
実際に足を入れシューレースを縛ると、中足部周辺のしっかりとしたホールド力を感じる。足入れがしやすい設計も好印象だ。
プレート非搭載モデルながら反発性が高く軽やかに走れる
プレート非搭載モデルながら反発性が高く軽やかに走れる
走り始めても中足部のホールド感は変わらない。スピードを意識したトレーニングを行うランナーにもこのブレにくさは高く評価されそうだ。「ボンダイ 8」よりも厚底な「マッハ 6」だが、沈み込むような柔らかいクッション性よりも、反発性の方をより強く感じる。それでも厚底ゆえ、アスファルトからの突き上げや着地衝撃は十分に緩衝されている印象だ。
プレート非搭載モデルゆえ、走行感は非常にナチュラル。それでも無理なくペースアップできる感覚がある。蹴り出し時、これはおそらくソール形状によるものだが、母指球から親指の先に向けてスムーズに足抜けできる感覚がある。
幅広いレベルのランナーが、軽やかに、楽しく走れるシューズなのではないだろうか。
PROFILE|プロフィール
安藤正直(あんどうまさなお)
安藤正直(あんどうまさなお)

デッカーズ ジャパン HOKA アシスタント マネージャー ,フィールド エクスピリエンス レップ。シューズのスペシャリストであり、ランナーでもある。写真は年2回デッカーズで行われるグローバルボランティアウィーク「アート・オブ・カインドネス」で走った距離だけ寄付をするプログラムに参加し、福島県の相馬市まで(約350km)を4泊5日かけて走ったときのもの。

Text by Fumihito Kouzu

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