最近ではシャワーだけで済ませるという人も多いようだが、湯船に浸からないとお風呂に入った気がしないという人も多いだろう。古来、日本人は温泉に浸かることで疲れを癒やしてきた。いまでは「ととのう」を求めて、サウナめぐりがブームになっているのも、似たようなものと考えていいだろう。
今回、株式会社イフミックウェルネス(総代理店)の代表取締役社長である畠山進之介さんに「IFMC.」の発見から研究、商品開発に至るまでの苦労、そしてこの結晶体がもつ可能性を語っていただいた。ここに新たな健康サポートの可能性が見られるだろう。
株式会社イフミックウェルネスを設立された経緯を教えてください。
「IFMC.」を発見したのは、株式会社テイコク製薬社です。1926年の創業当時は、帝国陸軍に薬や栄養剤を供給していました。現在はIFMC.事業の他に、ドラッグストアや調剤薬局のチェーン展開をしています。この株式会社テイコク製薬社と、ヘルスケア業界のコンサルティングを事業の柱とする株式会社リグアの合弁会社として、昨年の10月に株式会社イフミックウェルネスを創設しました。
テイコク製薬社が長年培ってきた開発力と、リグアが20年培ってきた営業力を掛け合わせることで「IFMC.」を使った健康サポートを行っていきます。
テイコク製薬社が温泉の研究に着目したのは、どのような理由だったのでしょうか。
温泉に入ると血流が良 くなったり、リウマチ症状の緩和が期待されたりしますが、それは皮膚から温泉の成分が浸透することによるものと考えがちです。ところが、皮膚にはバリア機能があるので、必ずしも有効成分が十分に体に取り込まれているわけではありません。
それならば、皮膚から成分を吸収する以外にも作用するメカニズムがあるのではと考えました。目に見えない放射性の元素や物質などが人体に影響を与えているかもしれない。そのような仮説から全国の有名な温泉地を渡り歩き、温泉水や鉱物、岩石などを採取したのが始まりです。さまざまな調査を行った結果、複数の鉱物を温泉水に浸漬した溶出液を特殊処理すると、シングルナノサイズの非常に小さな結晶体が発現することがわかりました。この結晶体を「IFMC. (Integrated Functional Mineral crystal)」と名付け、2019年には特許を取得することができました。
2018年に東京都市大学に「ミネラル結晶体研究センター」を設置し、6年間共同研究をさせていただきました。現在は京都大学院の生命科学研究科と一緒に研究をしています。
「IFMC.」の発見に至るまで、どのような苦労がありましたか。
私の入社以前のことなので、開発者の父(株式会社テイコク製薬社 代表取締役・畠山 兼一郎)に聞きました。温泉の研究 を始める前は健康増進に役立ちそうな技術や物質を十年近く探していたようです。ところが、そういった情報は広く世間には公開されておらず、ましてや部外者となると簡単に情報を教えてはくれません。そこで自分たちの原点に戻り、研究開発を一から行おうと決意し着眼したのが温泉です。古い歴史を持つ火山国・日本の温泉は多くの国民の疲れや傷を癒し、昭和初期には温泉療法の研究が盛んでした。大阪市立大学工学部の名誉教授である野邑奉弘様を顧問に迎え、研究がスタートいたしました。
言葉で説明するのは簡単ですが、ここに至るまでに相当な苦労があったと思います。