ファッションにおいても人種差別は大きな問題であり、BLM(Black Lives Matter)との関連や文化の盗用をめぐって、特に2020年代に入ってから次々と問題化されている。
もちろん、人種差別はいけない。だが、私たちはなにに目を向けて、なにを行うべきなのだろうか?日常や産業構造に巧妙に隠れている差別の問題にたいして、私たちはどのように立ち向かうべきなのだろうか?今回は、“ハーフ”の人びとの日常的な実践に着目し研究を行っている社会学者のケイン樹里安さんにお話を伺った。
社会学者のケイン樹里安さんが2022年5月13日、逝去されました。ご生前のご功績を偲び、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
PROFILE|プロフィール
ケイン樹里安
専門は社会学/文化研究。主たる研究テーマ「ハーフ」や外国にもルーツのある人々の日常的実践。コーラと唐揚げが燃料。主著は『ふれる社会学』(共編著、北樹出版2019年)など多数。HAFU TALK ハーフトーク共同代表。
潜む「人種秩序」と行われない「反差別」
まずはケインさんのご関心やご研究について教えてください。
僕の研究は、いわゆる「ハーフ」や「ダブル」「ミックスルーツ」外国に(も)ルーツを持つ人々が日常生活で直面するしんどいことに対して、どのような対処をしているのか、というものです。