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2024.06.17

デニムに漆器、美容成分も! 株式会社 明治が「食品以外」のカカオの可能性に着目する理由

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1926年に「明治ミルクチョコレート」の販売を開始した株式会社 明治
これまで数えきれないほどのチョコレート商品を世に送り出してきた同社だが、現在は「ひらけ、カカオ。」をスローガンに、“食品以外”のカカオの活用にも力を入れている。そのラインナップは、デニムに漆器、コースター、タオルなどさまざまだ。しかも今年の1月には世界初となるカカオセラミドの素材化に成功したことを発表した。
今回は、同社グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部の晴山健史さんと本間由香里さんに、カカオが秘める可能性について語っていただいた。
PROFILE|プロフィール
晴山 健史(はれやま たけし) 
晴山 健史(はれやま たけし) 

株式会社 明治 グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部CXS G

PROFILE|プロフィール
本間 由香里(ほんま ゆかり)
本間 由香里(ほんま ゆかり)

株式会社 明治 グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部CXS G

カカオの魅力を高めていく

食品以外にカカオを活用するという発想を得た背景を教えてください。
晴山当社はこれまで100年近くチョコレートを製造・販売してきました。その原料であるカカオ産地を社員が訪問する中で、カカオ農家さんの生活を目の当たりにし、少しでも力になりたいと、2006年から「メイジ・カカオ・サポート」として支援を続けてきました。
しかし、児童労働や森林減少といった社会課題には、さらに進んだ取り組みが必要だと考え、2022年から「ひらけ、カカオ。」というスローガンで、カカオの新たな価値創造に取り組み始めました。
チョコレート以外にもカカオの新たな可能性をひらくことができれば、カカオ農家さんの負担を増やさずに、カカオの価値を高め、カカオ産地に還元していけるのではないかと考えています。
活動のひとつである「CACAO STYLE」は、いつ頃に構想されたものですか。
晴山2021年頃から始まり、正式にブランドとして発表したのが2023年6月です。
チョコレート製造現場の経験から、日々排出されるカカオハスク(カカオ豆の皮)をどうにか活用できないかと考えていました。家畜の餌や肥料、燃料として使っていただけるようにはなっていましたが、そこからさらに一歩進んで、付加価値を高めていきたいと考えました。
ですが、カカオハスクはチョコレートを作るときに出てくる副産物なので、それを原料として他社さんに提供するとなると、社内の仕組み作りや品質面など、いくつかの課題がありました。
それでも、「ひらけ、カカオ。」の考えに共感いただいた協業先様のご協力で、CACAO STYLEというブランドの発表にまでたどり着くことができました。
「CACAO STYLE」のコンセプトを教えてください。
晴山「カカオが新しい価値を生み出す、ライフスタイルブランド」を掲げ、これまで有効活用できていなかったカカオハスクを使った商品開発を行っています。
カカオハスクがデニムになったり、漆器になったと聞くと、多くの方に興味を持っていただけます。驚きや、そこから来る楽しさやワクワク感も大切にしたブランドにしていきたいと思います。
カカオハスクによって作られた漆器
カカオハスクによって作られた漆器
どういった商品に注目が集まっていますか。
晴山デニムなど身に着けるものは注目度が高いと感じていますが、今はまだ商品化に至っていません。販売しているものでは、コースターが100%食品素材からできており、カカオの香りがすることに加え、コンクリートと同等以上の強度を持っているので、実際に手に取っていただくと驚かれる方が多いです。
また、漆器は外国の方にも興味を持っていただけます。ろくろ挽きの際に出る木くずとカカオハスクをアップサイクルする形で商品化しました。
2023年にはカカオスタイルのアイテムを展示するポップアップを開催した
2023年にはカカオスタイルのアイテムを展示するポップアップを開催した
カカオハスクを使うメリットはありますか。
晴山カカオがチョコレートの原料だというのは強みだなと感じます。アンケートを取っても、チョコレート好きの方は多いですからその原料からできていると伝えると、興味関心を持ってもらえることが多いです。
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