自分の足にフィットしたシューズを作ることができる
足幅が広い、狭い、左右差が大きいなど、シューズ選びに困っている人は案外多い。足幅が広いタイプのシューズを選ぶと、踵がゆるくなってしまった。左足に合わせてシューズを買うと、どうしても右足がブカブカになる。といった経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。「3D U-Fit」は、そんな悩みを解決してくれるものだ。
これまでの製造工程では、シューズの機能のほとんどを担うソールは、個人に合わせて簡単に変えられない技術的な制約があった。「3D U-Fit」は、3Dプリント技術を活用することで、その制約を解消。個人の足型を測定し、一体ソールをそのデータに合わせて作ることで、それぞれの足にフィットするオリジナルのシューズを作ることができるのだ。
どうして「3D U-Fit」が生まれたのか。そこには、開発担当者の
ミズノ株式会社 グローバル研究開発部・北 憲二郎さんが経験したとある出来事が関係している。
「20年以上前の話になりますが、あるお子さんのシューズを作ってほしいという依頼がありました。それは一般の方なのですが、その子は足に障がいがあり変形していて、ふつうのシューズが足に合わなかった。それで、その子の足に合うスポーツスタイルのデザインの靴を作ってほしいという話でした。
実際に作ってはみたものの、当時の技術では時間もコストもとんでもなくかかってしまい、トップアスリートのための世界に一足のシューズは作れたとしても、一般の人のためのオーダーシューズを提供するのはビジネス的には現実的ではありませんでした。
それから随分と時間が経ちましたが、最新の技術を使えばもっとリーズナブルに、もっとスマートに、それぞれの足にフィットしたシューズが作れるのではないかと考えたのが3D U-Fitの開発をスタートしたきっかけになります」