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2024.05.17

今後はAIもフル活用!? ナイキとエアの現在と未来

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4月にフランス・パリで開催されたナイキの新製品発表イベント「Nike On Air」。そこでは「NIKE PEGASUS PREMIUM(ナイキ ペガサス プレミアム)」や「NIKE MAXFLY 2(ナイキ マックスフライ 2)」など、エアを搭載した最新鋭のプロダクトがお披露目された。また、A.I.R(Athlete Imagined Revolution)と名付けられた新プロジェクトによるコンセプトモデルも公開。最先端のAIや3Dプリント技術を活用した作品は、新たな未来を予感させるものだった。
ナイキは今後どのような道を切り開き、プロダクトはどんな進化をしていくのだろうか。ナイキのチーフ・イノベーション・オフィサーを務めるジョン・ホーク氏、NSRL(Nike Sports Research Lab)のヴァイスプレジデント、マシュー・ナース氏に話を聞いた。
13人のアスリートとともに協力して作られたA.I.Rによるコンセプトモデル
13人のアスリートとともに協力して作られたA.I.Rによるコンセプトモデル

AIはものづくりを力強くサポートするテクノロジー

ナイキのチーフ・イノベーション・オフィサーであり、A.I.Rを指揮したジョン・ホーク氏は、AIや3Dプリント技術、コンピュテーショナルデザインなどあらゆる最先端ツールを活用したA.I.Rについて「ナイキにおけるイノベーションとデザインの未来は、ツールだけにあるのではなく、ナイキとそれらのツールとの結びつきにあり、またツールがアスリートとデザイナーの繋がりを深めるという点にあります。A.I.Rは先鋭的な想像力と熟練した職人技に、新しいテクノロジーとデジタル機能を掛け合わせたものなのです」と話す。
A.I.Rを指揮したチーフ・イノベーション・オフィサーのジョン・ホーク氏
A.I.Rを指揮したチーフ・イノベーション・オフィサーのジョン・ホーク氏
「Nike On Air」でその一端は披露されたが、AIはナイキのものづくりにどのような影響を与えるのだろうか。
「AIは私たちの力強いサポーターになってくれるでしょう。AIは人間の想像力にとって代わるものではないと思っていますが、想像力を増幅させてくれるだろうと考えています。デザイナーが、ラフなアイディアからもっと精密な美しいイメージを作り出すまでのスピードを速める助けをしてくれるでしょうし、イメージを3Dのコンプリートデザインにするサポートもしてくれるでしょう。
AIを活用すれば、デザイナーはもっとより良いデザイナーになれるのです。最先端のツールを使えば、今まで以上に速いペースで、アスリートの夢を形にしてくことができるでしょうし、それを凄く楽しみにしています」
コンセプトモデルの製作にはAIが活用された
コンセプトモデルの製作にはAIが活用された

イノベーションはアスリートの声から始まる

数々のイノベーションを生み、スポーツシーンを牽引しているナイキ。常に最先端であり続けられる理由はどこにあるのだろうか。
「ナイキのイノベーションというのは、未来が明るいものであるという楽観視から生まれるものだと思います。そして未来がスポーツにとって、アスリートにとってより良いものになるために、デザイナーやエンジニア、科学者が、熱意を持って、私たちがスポーツを進化させると思いながら仕事をしています。
そして、やはりイノベーションはアスリートの声から始まります。私たちは最高のアスリートたちと協力をしていて、彼らがさまざまな希望や夢を教えてくれます。アスリートの声を起点とし、どうしたら問題を解決できるのか、どうしたらスポーツを進化させることができるのか、どのようにアスリートをサポートできるのかを考え、探索と実験が始まっていきます。
探索と実験の間にはさまざまなことが起こり、もちろん失敗もします。しかし、失敗から学び、修正をして、進歩していきます。試行錯誤の中で学びを得ていくわけです。そして、探索と実験には終わりがありません」
サステナビリティもナイキの重要なテーマのひとつだ。
「私は15年間チーフ・デザイン・オフィサーの仕事をしてきましたが、仕事をするうえでの大きな理念が、機能を持ちながらも環境に良いものを作るというものでした。機能性に妥協することなく、環境への影響が少ないもの。最高レベルの機能性と、最低レベルの環境負荷ということを常に考えています。
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