2017年にイタリアのモンツァ・サーキットで開催された「Breaking2(ブレーキング2)」。エリウド・キプチョゲ選手がナイキの厚底シューズとともに、非公認ながら当時の男子マラソンの世界記録を上回る2時間0分25秒をマーク。これを機に、長距離用ランニングシューズは、カーボンプレートを搭載した厚底シューズが主流になっていった。
キプチョゲ選手はその後、2019年の非公認の特別レースで1時間59分40秒を、そして2022年のベルリンマラソンでは2時間1分09秒(当時の世界新記録)をマークしている。
東京五輪で5000mと10000mで金メダル、1500mで銅メダルを獲得したシファン・ハッサン選手。マラソンデビュー戦となった2023年4月のロンドンマラソンで優勝、10月のシカゴマラソンでは世界歴代2位の2時間13分44秒というタイムで優勝を果たした。先日の東京マラソンにも出場した男女のトップ選手は、シューズにどのような機能を求めているのだろうか。
「ナイキ アルファフライ 3」はどんなシューズなのか
キプチョゲ選手とハッサン選手は現在、マラソンレースでは「ナイキ アルファフライ 3」を選択している。キプチョゲ選手は「アルファフライ 3」のプロトタイプを履いて出場した2023年9月のベルリンマラソンで、史上最多となる5度目の優勝を果たした。一方のハッサン選手は同シューズでマラソンデビュー戦となった2023年4月のロンドン、2戦目となった10月のシカゴで優勝している。2人は「アルファフライ 3」にどのような印象を持っているのだろうか。
「アルファフライ 3はとても素晴らしいシューズですね。インパクトをしっかりと吸収してレース後のリカバリーを助けてくれますし、とても軽いシューズです。新しいカラーは目を惹く色でとても好きですね」(キプチョゲ選手)
「アルファフライ 3は、エリウドたちマラソンランナーのために作られたシューズで、私もマラソン挑戦を決めてから履くようになりましたが、私のために作られたのではないかと思うほどフィットして、初めて履いたときから大好きになりました。
マイルを走ったときも、長い距離を走ったときもリカバリーが早くて翌日のコンディションが凄くいいんです。普通は長距離を走ると1週間ぐらい苦しむものですが、それがとても短くて済みます。もちろんエネルギーリターンも素晴らしくて、最高のシューズだと思います」(ハッサン選手)
アスリート、科学者、デザイナーたちが一丸となって不可能に挑戦したナイキのプロジェクト「Breaking2」。2017年5月、イタリアで開催されたこのイベントで、キプチョゲ選手が、ナイキの厚底シューズとともに2時間0分25秒という前人未到の記録をマーク。そこから、厚底シューズ時代が始まった。進化し続けるナイキのシューズについて、キプチョゲ選手はどのように感じているのだろうか。
「Breaking2から、私はずっとナイキとともに走ってきました。アルファフライ 3に至るまで、たくさんのシューズをテストしてきました。そして、新しいものが出てくる度に、少しずつの進化ではありますが確実に良くなっています。
実際、私自身、アルファフライ 3は過去のアルファフライやヴェイパーフライよりも好きですし、優れたシューズだと感じています。プロのチームが最善を尽くして努力している結果、ステップバイステップで良くなっているのです」(キプチョゲ選手)
トップ選手たちのシューズの履き分け術
キプチョゲ選手とハッサン選手がトレーニングでどんなシューズを履いているのかも、ランナーなら気になるところだろう。