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2023.04.04

ナイキの厚底カーボンシューズの最新作 「NIKE VAPORFLY 3(ナイキ ヴェイパーフライ 3)」 とは?

2017年7月にカーボンプレートを搭載した厚底のランニングシューズをリリースしたナイキ。トップアスリートは薄底で軽量のシューズを履くという従来の常識を覆し、正真正銘のイノベーションを起こした。それ以降、ランニングシューズシーンをリードし続けているナイキから新たな厚底カーボンシューズ「ナイキ ヴェイパーフライ 3」が登場。前作からどのような進化を遂げたのだろうか。

トップアスリートに選ばれ続けるヴェイパーフライ

まずは「ヴェイパーフライ」の名を持つランニングシューズについておさらいしておきたい。初代カーボンプレート搭載厚底シューズの「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ 4%」が登場したのは、2017年7月のこと。2018年2月に設楽悠太選手が16年ぶりに男子フルマラソンの日本記録を更新した際に履いていたシューズとして知られている。
「ヴェイパーフライ 4%」の後継として、2019年4月に発表されたのが「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」。「ヴェイパーフライ 4%」よりも前足部は4mm厚くなり、幅も広がったことでエネルギーリターンとスタビリティが増した「ヴェイパーフライ ネクスト%」は、より多くのランナーに履かれることとなった。
2019年9月に開催された東京五輪のマラソン代表選考レース、MGCに出場した男子選手30名中16名(トップ10のうち8名)が着用したピンクカラーの「ヴェイパーフライ ネクスト%」を覚えている方もいるだろう。
MGCで多くの選手が着用して話題となったピンクカラーのヴェイパーフライ ネクスト%
MGCで多くの選手が着用して話題となったピンクカラーのヴェイパーフライ ネクスト%
「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト% 2」が登場したのは、2021年の4月。アッパーの素材がエンジニアードメッシュに変更され、通気性と柔軟性の向上が図られた。大迫傑選手が東京五輪で6位入賞を果たした際に着用していたのが、「ヴェイパーフライ ネクスト% 2」だった。

エネルギーリターン、安定性、軽量性が向上

新作「ヴェイパーフライ 3」は、「ヴェイパーフライ ネクスト% 2」と比較してエネルギーリターン、安定性、そして軽量性が向上している。
ヴェイパーフライ ネクスト% 2の登場から約2年。さらなる進化を遂げたナイキ ヴェイパーフライ 3。29,700円(税込)
ヴェイパーフライ ネクスト% 2の登場から約2年。さらなる進化を遂げたナイキ ヴェイパーフライ 3。29,700円(税込)
「前足部のアウトソールのラバーが新しくなりました。従来のラバーは2mmの厚さがあったのですが、それが薄くなった分、ズームエックス フォームの容量が増し、エネルギーリターンが向上しています。アウトソールは薄くなっただけでなく、耐久性も高くなっていますし、トラクションも良くなっています。アウトソールとミッドソールを足したソール全体の厚さは変わっていません」と、ナイキ ランニング シニア フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒュース氏。
アウトソールが薄くなった分だけ、厚みが増したミッドソールは形状もアップデート。前足部に膨らみを持たせたことで、安定性が増している。
「ほんの少しの変更点ですが、とても意味のあるものだと思っています。内側に体重をかけても大きなエネルギーリターンが得られるようになりましたし、より自分の動きをコントロールしやすくなっていると思います。テストをしてもらったランナーからも好評で、“安定感がある”“エネルギーリターンが良くなった”というフィードバックをもらっています。
また、アスリートからは、汎用性が高まり、さまざまなタイプのランナーが履くことができるようになったという評価も得ています。私自身、出雲駅伝の1区を走ったときにこのシューズを履いて走りたかったなと思う仕上がりになりました」
アウトソールの前足部(オレンジの部分)のラバーが新しくなり、従来よりも薄く耐久性のあるものになった
アウトソールの前足部(オレンジの部分)のラバーが新しくなり、従来よりも薄く耐久性のあるものになった
ミッドソール前足部は膨らみのある形状になり、安定性が向上した
ミッドソール前足部は膨らみのある形状になり、安定性が向上した
メンズの10サイズで8g、4%の軽量化を実現。これはアウトソールが薄くなったことに加え、構造が改良されたこと(必要のない部分は穴のあいた形状に)、そしてミッドソールのデザインの見直しによる部分が大きい。ミッドソールはエネルギーリターンに影響の出ない部分が省略化され、側面や底面からフライプレート(フルレングスのカーボンプレート)が露出したデザインとなっている。
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