2022.08.30

カタールW杯で大注目! サッカー専用の「ズーム エア バッグ」を搭載した 「NIKE MERCURIAL」はプレーヤーに何をもたらすのか

ランニングシューズやバスケットボールシューズには搭載されることが多いナイキのズームエア。過去にサッカースパイクに搭載されたこともあるが、それは他のカテゴリー用に作られたものを流用したもの。「NIKE MERCURIAL(ナイキ マーキュリアル)」の最新モデルは、初めてサッカー用に開発されたズームエアバッグを搭載。従来モデル以上の推進力やエネルギーリターンが得られるという。今年のサッカーW杯でも、着用選手が活躍するだろう最新スパイクに詰まったテクノロジーに迫る。
 
初代「マーキュリアル」が誕生したのは1998年。“怪物”の異名を持つブラジルのロナウド選手が着用し、その圧倒的なスピードと創造性あふれるプレーとともに、世界中から注目されることになった。

マーキュリアルはスピードを探求し続けているシリーズ

 「来年25周年を迎える『マーキュリアル』は、プレーヤーを速くするというシンプルで大きな問題に取り組み続けているサッカースパイクです。アスリートの声を聞きながらイノベーションを追求し、陸上用シューズやバスケットボールシューズなどからもインスピレーションを得ながら、アップデートを続けてきました」と、フットボール フットウェア担当のナイキ シニア・プロダクト・ディレクターのコリン・エダー氏は言う。
 
サッカーの戦術は時代とともに進化し、プレーヤーに求められるものも変化する。現代のサッカー選手、特にスピードを武器とする選手のために作られたのが「ナイキ エア ズーム マーキュリアル」だ。

サッカーのプレーに適したズーム エア バッグを搭載

 「現代のサッカーでは1試合の間で12km走ることもあり、スプリントや激しいアクションを頻繁に繰り返します。そんなアスリートをサポートするために開発したのが、サッカー専用のズームエア バッグであり『ナイキ エア ズーム マーキュリアル』なのです。ズームエア バッグはプレートに埋め込むように搭載されており、長さはフルレングスではなくスリークォーター(4分の3)。必要な部分に屈曲溝を設けているため、足の自然な動きを妨げることはありません」とは、フットボール フットウェア担当のナイキ シニア・プロダクトライン・マネージャーであるベン・スチュワート氏の言葉。
 
ズームエア バッグの厚さは4.85mm。たとえばランニングシューズ「ナイキ エア ズーム ペガサス 39」に搭載されているものは8mmなので、かなり薄型ということになる。ズーム エアによる高いエネルギーリターンと接地感の両立を目指した設計だ。そしてズームエアの圧力は20psi[1]。クッション性を重視したランニングシューズ(ペガサス37や38のウィメンズモデルなど)では15psiのものが採用されており、それと比較すると反発性を重視しているということになる。

画像: プレート内に埋め込まれるようにズームエア バッグが搭載されている
プレート内に埋め込まれるようにズームエア バッグが搭載されている

アウトソールのスタッドはシェブロンパターンと呼ばれるV字型から、トライスターパターンという三角型に変更されている。
 
「現代のスピードを特徴とする選手は、狭いスペースの中でも速さを発揮する必要があり、あらゆる方向への動きに対応できるようなパターンを採用することになりました」(ベン・スチュワート氏)

画像: アウトソールにはトライスターパターンを採用。踵部分は急停止に対応するための形状になっている
アウトソールにはトライスターパターンを採用。踵部分は急停止に対応するための形状になっている

サッカー専用のズームエア バッグを搭載したソール部分が最大の特徴ではあるが、アッパーにもテクノロジーが詰まっている。ヴェイパーポジット+と名付けられたアッパーは、メッシュ素材を最低限のパーツで補強したもので、足をシューズ内でしっかりと安定せさる。ニットアッパーやレザーアッパーと比較すると軽量で、ボールタッチが繊細に行えるというメリットもある。
 
「補強パーツはアスリートの動きのテストや動画解析などから得られたデータを基に設計されたもので、フットボーラーが最も必要とする部分に最適なサポートを提供し、快適なフィットを実現しています」(コリン・エダー氏)

画像: アッパーは足に快適にフィット。シューズと足の一体感が味わえる
アッパーは足に快適にフィット。シューズと足の一体感が味わえる

長友佑都選手も仕上がりに太鼓判を押す

 筆者は都内で開催された「ナイキ エア ズーム マーキュリアル」のトライアルセッションに参加。実際にズーム エア バッグが搭載されたスパイクを履いてプレーしたのだが、明らかに弾むような感覚があり、気持ちよく走ることができた。また、おそらくズームエアのおかげで脚へのダメージも軽減されていたように思う。
 
そのトライアルセッションにサプライズゲストとして登場した日本代表の長友佑都選手は、既に「ナイキ エア ズーム マーキュリアル」でプレーしており、「ズーム エア バッグが搭載されたことでスピード、推進力が上がった印象。そして、軽い。さらにスタッドが上手く芝にかかるというか、グリップが良くて、アジリティが必要な場面、キレを発揮しなければいけない場面で頼もしいですね」と感想を述べていた。

画像: ナイキ エア ズーム マーキュリアルの魅力を語る長友選手
ナイキ エア ズーム マーキュリアルの魅力を語る長友選手

「ナイキ エア ズーム マーキュリアル」は、キリアン・エムバペ選手、クリスチアーノ・ロナウド選手、マーカス・ラッシュフォード選手、ジェイドン・サンチョ選手らが着用予定。11月〜12月にかけてカタールで開催されるW杯でも着用選手の活躍が見られるはずだ。

画像: エムバペ選手は新しいマーキュリアルについて「画期的なテクノロジーに興奮していますし、最高のパフォーマンスを提供してくれます」<br>とコメントしている
エムバペ選手は新しいマーキュリアルについて「画期的なテクノロジーに興奮していますし、最高のパフォーマンスを提供してくれます」
とコメントしている

[1]psi(ピーエスアイ)。pounds per square inchの略。ヤード・ポンド法の圧力の単位。1気圧はおよそ14.7psi。

PROFILE|プロフィール
コリン・エダー
コリン・エダー

ナイキ シニア・プロダクト・ディレクター フットボール フットウェア。ナイキ歴19年のベテラン。パフォーマンス及びライフスタイルのさまざまなフットウェアの制作を担当。2014年にリリースされたマーキュリアルにも携わっている。

PROFILE|プロフィール
ベン・スチュワート
ベン・スチュワート

ナイキ シニア・プロダクトライン・マネージャー フットボール フットウェア。10年のナイキのキャリアの中で8年間フットボールに携わっており、その思い入れ入れは人一倍強い。多くのアイコニックなスパイクを担当してきた。

Text by Fumihito Kouzu

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