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2022.11.15

「歩容」でリアルとメタバースを変える:ORPHEのスマートシューズ「EASYRUN SHIBUYA」

ANREALAGEとのコラボや乃木坂46の全国ツアーでも着用された株式会社ORPHEのスマートシューズが新たな進化を遂げた。
「足元から世界を変える」をミッションに掲げる同社は、モーションセンサーをソールに搭載することで、簡単に歩行データを収集・解析するスマートシューズを発表した。今回、同社が発表したシューズにはNFTが同封されており、気軽にメタバースを体験することが可能となっている。
近年ではウェアラブル・デバイスの登場により、誰でも生活の記録を取ることができるようになったが、「歩行」を記録することにどのような狙いがあるのだろうか。先日アシックスとのコラボを発表し、注目を浴びる同社にスマートシューズの可能性について伺った。
PROFILE|プロフィール
宮田 知起(みやた ともき)
宮田 知起(みやた ともき)

ORPHE Inc. フットウェア プロダクトマネージャー

PROFILE|プロフィール
旭岡 瑠々(あさひおか るる)
旭岡 瑠々(あさひおか るる)

ORPHE Inc. アプリケーション プロダクトマネージャー

オルフェシリーズによる「歩容解析」

はじめに、「歩行」に注目された背景や起業の経緯を教えて下さい。
弊社は、代表の菊川が学生時代に「新しい楽器を作りたい」という思いから始まりました。元々菊川はインタラクションデザインを学ぶ研究室の出身で、ダンスの動きをセンシングして、音と光を出力するシューズを開発していました。
そこから「日常を表現する」をミッションに掲げ、ウェアラブルデバイスを軸としたサービスやプロダクトを作っていくために、2014年に株式会社ORPHEを設立しました。2016年には、「ORPHE ONE(オルフェ ワン)」というダンス・エンターテイメント向けの商品を一般販売しています。
その後、Chief Sprint Officerとして加入した元陸上競技選手の為末大さんからアドバイスを頂いたり、資本業務提携を結んだアシックスさんと実証実験を行いながら、試作を重ねてきました。その成果が、2019年に日常に寄り添うプロダクトとして販売した「ORPHE TRACK(オルフェ トラック)」です。
オルフェシリーズの鍵となる「ORPHE CORE(オルフェ コア)」の特徴を教えて下さい。
「ORPHE CORE」はモジュール・パッケージになっており、6軸のモーションセンサーや32ビットのマイクロコンピュータに加えて、bluetoothモジュール、バッテリー、フラッシュメモリー、フルカラーLEDなどから構成されています。
詰め込まれたモジュールの量に対して、手のひらサイズに収まっており、そのうえ20グラムと軽量ながら、ipx7相当の耐水性と衝撃に耐えられる設計になっています。消費電力も極力抑えることで、連続駆動時間は7時間ほどになります。そのため、フルマラソンでも安心してご使用いただけます。
弊社の強みは「歩容解析」にあります。普段の歩行で、どのくらいの角度で足が着地したのか、どれだけ足が上がっているかなどを独自のアルゴリズムで解析します。1歩ごとの着地を左右それぞれで算出できることが強みになってます。
また、センサーが動きに応じて光ることにも注目してほしいです。たとえば、つま先から着地すると青色に光り、足全体だと緑色に点灯します。また踵から着地すると黄色に光るなど、全身のモーションキャプチャを付けなくても、動きの判断ができるようになっています。

センサー+シューズ=スマートシューズ

リアルとバーチャルを行き来する新コンセプトシューズ「EASYRUN SHIBUYA 3.0」の特徴を教えて下さい。
もともと「楽しく運動する」という観点から、「ランニングやウォーキングを継続的に続けたいと思っているユーザー向けに開発をしたい」という思いがありました。そのためには、シューズの改革が必要でした。
センサーが入るシューズ設計になっていることだけでも、他社の製品には見られない特徴だと思います。ソールに穴をあけるとどうしても他の部分が弱くなってしまうため、中足部には樹脂パーツを設けました。
足の中央は歩いたり走ったりするときに、非常にねじれやすい箇所になりますが、そこをしっかりと剛性がある素材で支えることで、機能的な側面をサポートしつつ、外からセンサーの光を確認できるようにしています。
また、ストレスなく長時間着用いただくという観点から、センサーを入れる場所にもこだわっています。センサーの位置が踵に近いと違和感があったり、つま先に近いと足先が曲がらないという弊害が生じてしまいますが、そこを何も感じさせないような場所に配置することに成功しました。
そして、アッパー部分に通気性の高い2層構造のメッシュを用いることで、長時間の着用にも対応しています。
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#Wearable Device
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