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2024.10.09

アスリートのシューズを真っ二つ ! ASICS SKATEBOARDING編 ~プロスケーター石塚拓也さん~

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アスリートの足元を支えるシューズ。アスリートの自身の能力を後押しする武器ともなるそのギアは、いったいどんなテクノロジーが使われているのだろう。今回は日本切断研究所の協力の下、若手実力派スケートボーダーの石塚拓也さんの履く「ASICS SKATEBOARDING(アシックス スケートボーディング)」のシューズを真っ二つに切断! 自身が履いているシューズにどのようなテクノロジーが込められているのかを実際に内側から確認してもらった。
切断動画はこちら!

石塚拓也の履く「ゲル ビッカー プロ」とは?

「アシックス スケートボーディング」のシューズを愛用する石塚拓也さん。北海道出身の彼は、父のロングボードで遊んでいたことがきっかけでスケートボードにハマったそう。
石塚拓也(いしづか たくや) 1998年生まれ、北海道出身。小学生から日本中で開催されるさまざまな大会に出場し、その実力を磨く。中学生にしてAJSA(日本スケートボード協会)公認のプロスケーターとなる。
石塚拓也(いしづか たくや) 1998年生まれ、北海道出身。小学生から日本中で開催されるさまざまな大会に出場し、その実力を磨く。中学生にしてAJSA(日本スケートボード協会)公認のプロスケーターとなる。
「北海道なので、小学校2年生までは並行してスノーボードもやっていましたが、それ以後はスケートボード一本に絞りました」
日本中で開催されるさまざまなスケートボードの大会やコンテストで入賞するなど、幼少期期から頭角を現し、中学生でAJSA公認のプロスケーターとなる。現在は日本のみならず、海外でもストリートでのパフォーマンスを撮影するなど精力的に活動している。
そんな彼が愛用するのが「アシックス スケートボーディング」の「ゲル ビッカー プロ」だ。どんなシューズか彼に聞いてみるとこう答えてくれた。
1980年に発売されたクラシックなトレーニングシューズ「ビッカー」をスケートボード仕様にアップデート。ワンピース構造のアッパーを採用することでボードとのフィーリングを高める。ヒール部分には「アシックス」ではお馴染みの“ゲル”が内蔵される(石塚さん私物)
1980年に発売されたクラシックなトレーニングシューズ「ビッカー」をスケートボード仕様にアップデート。ワンピース構造のアッパーを採用することでボードとのフィーリングを高める。ヒール部分には「アシックス」ではお馴染みの“ゲル”が内蔵される(石塚さん私物)
「『ゲル ビッカー プロ』はトリックするときに足の裏がスケートボードに触れている感覚がダイレクトに伝わるのがお気に入り。回し系やテクニカル系のトリックで自分的に調子がいいです。日本のブランドなので、自分の足にも合っている感覚があります。数年前に大怪我をしたのですが、『アシックス スケートボーディング』を履き出してからは、怪我も減ったような気がします。
今回は自分のシューズが真っ二つになるということで想像がつかないですけど、どんな感じになるのか本当に楽しみです」

アスリートが愛用するシューズが真っ二つに!

何でも切断するという研究所には、日々、いろいろなものを切断してほしいとの依頼が殺到している
何でも切断するという研究所には、日々、いろいろなものを切断してほしいとの依頼が殺到している
いよいよ「ゲル ビッカー プロ」を切断していくのだが、今回協力してくれた日本切断研究所にも触れておきたい。
東京・麻布十番にある日本切断研究所は、依頼があれば何でも切断してくれるという研究所。製品メーカーなどから自社の商品をカットしてほしいという依頼が殺到しているとのこと。
日本切断研究所でさまざまなものを切断するのが「フナソーダイヤカットマシン」と呼ばれる機械。所長の舟久保正榮さんが開発を手掛けた帯状のダイヤモンド刃を回転させることでどんなものでもキレイに切断することが可能な仕組みになっている。
ダイヤモンドの刃を回転させる「フナソーダイヤカットマシン」の刃が「ゲル ビッカー プロ」のつま先部分に吸い込まれていく
ダイヤモンドの刃を回転させる「フナソーダイヤカットマシン」の刃が「ゲル ビッカー プロ」のつま先部分に吸い込まれていく
所長の舟久保さんが少しずつスニーカーを押すことで、順調に「ゲル ビッカー プロ」を真っ二つにしていく。舟久保さん曰く「やわらかいものほど切りにくい」とのこと
所長の舟久保さんが少しずつスニーカーを押すことで、順調に「ゲル ビッカー プロ」を真っ二つにしていく。舟久保さん曰く「やわらかいものほど切りにくい」とのこと
カットもほぼ終盤。ヒールのタブの部分をカットする��ため、所長がタブを広げてテンションを掛けている
カットもほぼ終盤。ヒールのタブの部分をカットするため、所長がタブを広げてテンションを掛けている
自身のシューズが真っ二つになる様子を正面から直視する石塚さん。「こんなにスパッと切れるんですね」
自身のシューズが真っ二つになる様子を正面から直視する石塚さん。「こんなにスパッと切れるんですね」
プロスケーターの愛用する「ゲル ビッカー プロ」が真っ二つに切断された。これは貴重な瞬間だ
プロスケーターの愛用する「ゲル ビッカー プロ」が真っ二つに切断された。これは貴重な瞬間だ
切断されたシューズはまるでCTスキャンの画像のようにシューズの構造が丸見えになっている
切断されたシューズはまるでCTスキャンの画像のようにシューズの構造が丸見えになっている

自身を支えるギアのテクノロジーを知る

自身が履くシューズが真っ二つになった姿を見た石塚さんに感想を聞いてみた。
「実際に切断されたソールを見ると本当に薄いですね。だからこそ足の感覚がダイレクトに伝わってトリックしやすかったのだと実感しました。またヒール部分にスポットのように入る“ゲル”ですが、このわずかなスポットで、10段ぐらいの階段からジャンプして着地する衝撃を吸収していたかと思うと、本当にスゴイ」
切断されたシューズを見ながら感想を言う石塚さん。かなり刺激的な体験だったとのこと
切断されたシューズを見ながら感想を言う石塚さん。かなり刺激的な体験だったとのこと
ミッドソールの内部は青い部分と白い部分がフォーム素材。かかと部分にスポットのように入る緑の層が“ゲル”なのだ
ミッドソールの内部は青い部分と白い部分がフォーム素材。かかと部分にスポットのように入る緑の層が“ゲル”なのだ
実は今回「アシックス スケートボーディング」のご厚意で、パリ五輪のために開発された新作の「ゲル フレッキー プロ 2.0」も切断させてもらった。
「ゲル フレッキー プロ 2.0」は、プロスケーターの意見を取り入れながら、アシックススポーツ工学研究所でスケートボード競技における選手の動きを分析し、一から開発されたモデルだ。19,800円(税込)
「ゲル フレッキー プロ 2.0」は、プロスケーターの意見を取り入れながら、アシックススポーツ工学研究所でスケートボード競技における選手の動きを分析し、一から開発されたモデルだ。19,800円(税込)
切断するとミッドソールもかなり厚く、かかと部分に配置されたゲルも「ゲル ビッカー プロ」より範囲が拡大されていることがわかる
切断するとミッドソールもかなり厚く、かかと部分に配置されたゲルも「ゲル ビッカー プロ」より範囲が拡大されていることがわかる
今回の切断したシューズに関して「アシックス スケートボーディング」のチームマネージャーである赤地さんにお話を伺った。
赤地正光(あかち まさみつ) 日本のトップスケートチームとして90年代初頭に活躍した「NEWTYPE(ニュータイプ)」のオリジナルメンバーでもあり、黎明期からスケートボードシーンを見てきたレジェンド。現在は「アシックス スケートボーディング」にてチームマネージャーを務める
赤地正光(あかち まさみつ) 日本のトップスケートチームとして90年代初頭に活躍した「NEWTYPE(ニュータイプ)」のオリジナルメンバーでもあり、黎明期からスケートボードシーンを見てきたレジェンド。現在は「アシックス スケートボーディング」にてチームマネージャーを務める
「現在も『アシックス スケートボーディング』に所属するかなりのライダーに支持されているのが『ゲル ビッカー プロ』です。石塚くんも語ったとおり、ダイレクトに足の感覚が伝わるのが人気の秘訣ですね。元々『アシックス』にあったモデルをスケート仕様にアップデートしているのですが、かかとにスポットで内蔵された“ゲル”が着地の衝撃を吸収してくれます。
また新作の『ゲル フレッキー プロ 2.0』は元からあったシューズを使うのではなく、プロスケーターの声を吸い上げて、一から開発されたモデル。ソールに屈曲性が出るようにソールの外側に溝を入れているのがポイントです。またタン部分を折り返して靴ひもを切れにくくするなど、随所に耐久性の面にもアプローチしています。
赤地さんは、シューズの細部を細かく解説してくれた
赤地さんは、シューズの細部を細かく解説してくれた
切断面を見てみると、外側から見るミッドソールよりもかなり薄い構造になっているのがわかりますね。フォーム材の厚みを比べると、ほぼ『ゲル ビッカー プロ』を同じぐらい。ただ、“ゲル”が広範囲に配置されているので、その分衝撃吸収力も高いと思います」
切断して内部を見てみるとシューズのテクノロジーが本当に丸裸になる。これらはシューズデザイナーとエンジニアのクリエイティブの結晶だ。この構造を知れただけでも価値がある。
今回はアスリートの足元を支えるシューズの真相に迫ったのだが、アスリートの足を守りながら、さまざまなテクノロジーを駆使したそのクリエイティビティには脱帽するしかない。

Photo by Riei Nakagawara
Edit & Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

■撮影協力
日本切断研究所
東京都港区麻布十番4丁目4-1
http://www.cutting-labo.co.jp/
営業時間:10:00~16:00  休:金,土,日,祝日(不定休有)
※完全予約制

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