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2022.11.21

「体験から逆算してファッションを楽しむ」SHIBUYA109 lab.が探るZ世代のトレンド市場とは

東京・渋谷の象徴であり、長きに渡り若者の流行の発信地として愛され続けているSHIBUYA109。株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する、新しい世代に特化した若者マーケティング調査研究機関「SHIBUYA109 lab.」では、そんなSHIBUYA109のターゲットである「around20(15~24歳)」を中心に市場調査を行い、独自の視点から分析している。
今の若者、特にZ世代のマーケットにはどのような特徴があり、どのようにファッションを楽しんでいるのだろうか。SHIBUYA109 lab.で所長を務める長田麻衣さんにインタビューを実施し話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
長田 麻衣
長田 麻衣

SHIBUYA109 lab.所長
総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPR サポートを経て、2017年に株式会社SHIBUYA109エンタテイメントに入社。
SHIBUYA109マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人の「around20(15~24歳)」と接する毎日を過ごしている。

今の若者がわからなくなった

はじめに、SHIBUYA109 lab.が設立された経緯について教えてください。
もともとSHIBUYA109は、東急系の商業施設を運営している会社のいち事業部の中で運営していましたが、2017年に分社化という形でSHIBUYA109に関連する事業を中心に取り組んでいく、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが誕生しました。
同年から、現在の事業の先駆けとなるマーケティング活動を行っていまして、毎月SHIBUYA109に訪れる来館者200人に聞き込み調査をしていました。そこで得た情報を外部企業にも提供できることになり、2018年に本格的な若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立しました。
その当時はまだマーケティング部がなく、若者へのアプローチは店舗様の強さや、「ギャルの聖地」のイメージに依存していた部分がありました。しかし、SNSの利用率が上がることで外部環境が変わっていき、今の若者が分からなくなってしまったという背景があったのです。
現在も来館者アンケートは実施しておりまして、月に一度、SHIBUYA109にいる15歳から24歳の方に直接インタビューをしています。声をかけた方にアンケートを記入してもらいまして、その項目で気になったことだったり、「ファッションはどんな系統が好きなの?」「今は何が流行ってるの?」といったことを聞いています。
他にも週に一回以上、アンケートに協力いただいた方の何名かに声をかけ弊社に来ていただき、グループインタビューも実施し、若者を知るために必要な情報を集めています。たとえば、「コスメはどうやって買ってるの?」「オタ活はどうやって楽しんでるの?」といった、SHIBUYA109に限らず色々なテーマでみんなのリアルなところを深堀りしていくという活動を続けています。
SHIBUYA109 lab.での役割はSHIBUYA109でのマーケティング活動のための様々なデータを集めるという目的の他にも、マーケティングコンサル事業をやっておりまして、様々な企業様の商品開発などにも携わっています。
来館者アンケートを設立当初から続けているなかで、やはりトレンドの流れは早いと実感されますか?
すごく早いですね。毎月200人の方にアンケートをしたなかからトレンドをピックアップしたリサーチレポートを作っているのですが、年々そのサイクルが早くなっていると実感しています。
特にインフルエンサーに関しては、調査当初は半年に1回のペースで顔触れが変わると思っていたのですが、今は2週間でがらりと変わっていますね。その辺りはTikTokの影響が大きいと感じています。次々にいろんな人や流行りが出てきて、若者がその流行に対しての消化もとても早いので、定期的な調査を続けていかないとすぐに追いつけなくなってしまうなと感じています。
マーケティング調査した内容はどのように反映されているのでしょうか。
たとえば、SHIBUYA109渋谷店の地下2階にある「MOG MOG STAND」は、調査結果に基づき若い子が好きな「食べ歩き」を切り口にした食のフロアとして誕生しました。
あとは各フロアに思わず写真を撮りたくなるフォトジェニックなスポットを設置したり、期間限定のポップアップストアとして調査で人気だった“骨格診断”関連の店舗を出店させるなど、データを活かしています。
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