最近、多くのファッションブランドが採用している素材がある。雑誌でも特集が組まれ、多くのデザイナーやファッションライターがその素晴らしさを認めている。それが帝人フロンティア株式会社が取り扱う「ソロテックス®」だ。 「ソロテックス®」とは、従来のポリエステルやナイロンでは表現できなかった風合いや高機能を持つ素材とのことだが、なぜこれほどまでに人気なのだろうか。
その秘密を探るべく、今回は、同社技術開発部長の竹下皇二さんと、衣料マーケティング部長の岡田美由紀さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
竹下 皇二(たけした こうじ)
帝人フロンティア株式会社 技術・生産本部 技術開発部長
帝人ファイバー株式会社入社後、ポリエステル短繊維、紡績糸、ポリエステルテキスタイルの開発などを経て、2017年4月より現職。衣料用途および産業資材用途向けの商品開発部署を統括している。
PROFILE|プロフィール
岡田 美由紀(おかだ みゆき)
帝人フロンティア株式会社 衣料マーケティング部長
帝人株式会社入社後、東京でレディーステキスタイルの営業部署に配属。その後、大阪に異動し、京都の卸売り向けテキスタイル販売を担当後、マーケティング部署に異動。出産を経て新事業開発や北陸の産元への原糸販売や国内外へのテキスタイル販売を担当した後、再びマーケティング部署に異動。2016年頃から「ソロテックス®」等の素材のブランディングをメインに従事し、2020年より現職。
クッション材や車両用シートなど産業資材にも使われる「ソロテックス®」
竹下「ソロテックス®」は、帝人ファイバー株式会社(現:帝人フロンティア)と旭化成せんい株式会社の合弁会社であるソロテックス社が、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の繊維化事業として製造販売を開始しました。
1990年頃から、ポリエステルやナイロンの生産地が中国や、東南アジアに移り、コスト競争が生まれます。それにより、日本は質の高い素材を提供しなければ生き残れない状況になりました。当時、PTT繊維の製造コストは高く、糸にする技術の確立が困難など大きな障壁がありましたが、ソロテックス社では、それらの課題を解決し、新たな繊維である「ソロテックス®」として製造販売を開始しました。