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2024.09.02

ワークマンの大ヒットアイテム「超撥水シェフパンツ」が累計77万枚も売れた納得の理由

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数あるワークマン製品の中で、2021年春夏に発売されてから約3年で累計77万枚を売り上げた、大ヒットアイテムがあることをご存知だろうか?
それは「超撥水シェフパンツ」。近年はトレンドを反映した打ち出しも強めているワークマンだが、実は「超撥水シェフパンツ」が出るまでは、ファッション性に重点が置かれた製品は存在していなかった。
今回は「超撥水シェフパンツ」に隠された秘密を、株式会社ワークマン製品開発第1部チーフバイヤーの川田真之輔さんに、ワークマン公式アンバサダーで同製品の共同開発者でもある山田耕史がお聞きした。

ファスナー選びにこめられたワークマンのこだわり

山田耕史(以下、山田)「超撥水シェフパンツ」は、僕がアンバサダーとして提案させていただいたアイディアから生まれた製品です。当時、多くのファッションブランドやショップでシェフパンツが人気となっていました。
シェフパンツは読んで字の如く、料理人が着用するワークウエアなので、ワークマン流のシェフパンツがあってもいいのでは、と思ったのがきっかけでした。
川田真之輔(以下、川田)それまでのワークマンには、現場作業の邪魔にならない細身シルエットか、伝統的なニッカボッカーズのような極太シルエットのパンツしかありませんでした。「超撥水シェフパンツ」のような、ファッショナブルなシルエットのアイテムは存在していなかったのです。
我々としてはかなりチャレンジングなアイテムだったので、売れるかどうか半信半疑だったのですが、結果的に年間20万点も売れるモンスター級のヒットアイテムになりました。
ロングパンツにも関わらず、夏も売れているのが「超撥水シェフパンツ」の特徴です。毎シーズン新色を追加しているのですが、リピーターがかなりたくさんいらっしゃるようで、継続して売れています。
今もワークマンの店頭で一番良い場所に並んでいるのが「超撥水シェフパンツ」です。
もちろん、現場で職人さんに着用していただけるように、ワークマンならではの要素もたくさん盛り込んでいます。夜間の視認性を高めるリフレクターや、ペットボトルが3本入る大容量ポケットなどは、ファッションブランドのシェフパンツにはないワークマンならではの機能だと思います。
また、洗濯しても機能が持続する超撥水加工に加え、毛玉ができにくい生地を使うなど、頑丈さには非常にこだわっています。
山田個人的に「超撥水シェフパンツ」で一番気に入っているのが、ウエスト部分です。ゴムが入っているだけでなく、ベルトループと紐も備えられているので、着用シーンによってさまざまなトップスとの合わせ方を楽しめます。
さらに、フロントファスナーがあることも、この価格帯のシェフパンツでは珍しいと思います。
川田実は、全てのワークマン製品のフロントファスナーにはYKK製のファスナーが使われていることをご存知でしたか?
山田それは知りませんでした!
川田この「超撥水シェフパンツ」で言えば、サイドの大容量ポケットのファスナーはYKK製ではありません。それぞれの箇所の特徴や、コストを考慮したうえでYKK以外のファスナーを用いることはありますが、フロントファスナーは信頼性の高いYKKのものを使うことは、ワークマンのルールとして決まっているんです。
その理由は非常にシンプルで、フロントファスナーが壊れてしまったら、服として着用できなくなるから。低価格であることももちろん重要ですが、少しでも長く着用していただけるようにすることは、最優先事項だと考えています。

「中の人」も知らなかった気づかいのディテール

川田また、後面左右に設けられているポケットの深さがそれぞれ違うことにはお気づきでしたか?
取材に同席していたワークマン広報担当者はポケットに手を突っ込んで、「本当に深さが違う!知らなかった!」とリアクション
取材に同席していたワークマン広報担当者はポケットに手を突っ込んで、「本当に深さが違う!知らなかった!」とリアクション
川田裏返して見ると、左後ろポケットのほうが深くなっていることがわかります。これは、長財布などの大きめのサイズのものを入れられるように。とはいえ、両方とも深いとそれはそれで使い勝手が悪くなるので、左右で深さに変化を付けています。
「超撥水シェフパンツ」を裏返した状態。右に見える左後ろポケットのほうが深いのがわかる
「超撥水シェフパンツ」を裏返した状態。右に見える左後ろポケットのほうが深いのがわかる
川田紐やゴムを通して、裾を絞るためのディテールです。実は、職人さんのワークウエアの着こなし方って、地方によって違うんです。
九州では作業用のズボンは裾上げせず、ゴムを入れるという文化があるんです。たとえば、同じズボンでも大阪では100%裾上げを求められるのですが、九州だと80%くらいの方がゴムを入れることを希望されます。
山田面白いですね。初めて聞きました。
川田全国に1,000以上の店舗があり、お客様の声を直接聞けるのが、ワークマンの強みです。この「超撥水シェフカーゴパンツ」は、サイドポケットを設けたことにより職人さんから支持をいただき、大ヒットしました。
川田サイドポケットを付けたことにより、コスト面でフロントファスナーは省略したのですが、「やっぱりフロントファスナーが欲しい」というご要望をいただいたので、次シーズンからはフロントファスナーを付けることにしました。

長く着用できるキッズシェフパンツ

川田2024年秋冬からは、キッズサイズのシェフパンツも展開されます。
山田フラッシャーも小さいのが可愛いですね(笑)。
左:超撥水シェフジョガーパンツKids 1280円(税込)。右:超撥水シェフパンツ 1780円(税込)
左:超撥水シェフジョガーパンツKids 1280円(税込)。右:超撥水シェフパンツ 1780円(税込)
川田最近人気の親子コーデもできますよ。パンツが多少大きくても、裾上げせずに着用できるように、キッズは最初から裾にゴムが入っています。
川田また、ウエストのゴムにはボタンホールが多数空いていて、お子さんの成長に合わせてウエストの大きさが調節できるようにしています。これらのディテールにより、かなり長い期間の着用が可能になっています。
山田我が家には子どもが3人いるのですが、キッズ用のパンツはたいてい膝の部分に穴が空いて、着られなくなってしまいます。シェフパンツの生地だったらかなり頑丈なので、長く着られるだけでなく、お下がりにもできそうなので、期待しています。
川田キッズ以外に、180度開脚できる動きやすいシェフパンツも企画中です。「超撥水シェフパンツ」は、ワークマンの定番としてこれからもさらなる可能性を追求していくつもりです。
PROFILE|プロフィール
川田 真之輔(かわた しんのすけ)
川田 真之輔(かわた しんのすけ)

株式会社ワークマン製品開発第1部 チーフバイヤー(ワーク&アウトドア)

PROFILE|プロフィール
山田 耕史(やまだ こうじ)
山田 耕史(やまだ こうじ)

ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)

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