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【連載インタビュー】「CLO」を世界中に広めて、ファッション業界のものづくりの革新を目指す:CLO Virtual Fashion

デジタルファッションの時代」連載の第5回は、ファッション業界向け3Dソフトウェア「CLO」についてお届けする。
CLOは、「CLO Virtual Fashion Inc.」が2009年に韓国で開発し、現在ではadidasやHUGO BOSS、Carhartt、Desigual、DIESEL、FJALLRAVEN、LEVI’S、MANGO、New Balance、patagonia、UNDER ARMOURなどのグローバル企業をはじめ、10,000以上の企業や個人への導入実績があり、ファッション向け3D分野においては業界ナンバーワンとなっている。日本国内においても大手アパレル企業やベンダー、サプライヤー、教育機関などで活用されている。
2022年には、日本法人である「CLO Virtual Fashion JAPAN G.K.」を設立し、日本のユーザーの声により耳を傾けるとともに、さらなるシェア拡大を目指している。
そこで今回、同社のEmily Choiさんと小松亜未さんにインタビューを行い、CLOが世界的に導入されるようになった経緯や、ファッション業界にもたらした影響、日本の現状と課題、今後の取り組みなどについて伺った。

CLO Virtual Fashionが展開するソフトウェア

最初に、CLOを中心とする貴社が展開しているソフトウェアについて、ご説明いただけますでしょうか。
Choi弊社が提供しているソフトウェアは「CLO」、「Marvelous Designer」、そして「Jinny(β版)」の3つで、すべて「3Dクロス(生地)シミュレーション技術」が特徴となっています。この技術を活用すると、2Dで作成したパターンを3Dで縫い合わせ、さまざまな3D衣装を作成できます。
Choi3Dでは現実世界と同じ重力が適用されますので、生地の動きや質感がリアルに再現されます。実際に生地を裁断・縫製することなく、PC画面上でファッションデザインを行えるのです。
CLOがファッション業界向けのソフトウェアである一方で、Marvelous Designerはおもにゲーム・CG業界で活用いただいています。
また、JINNY(β版)は3D衣装制作の裾野を広げるため開発されたソフトウェアで、ファッションデザインの知識のない方でも簡単に操作できるインターフェースを特徴としています。
これらのソフトウェアを活用すれば、これまで以上にファッションの可能性を追求できます。また、CG作品やメタバース上のアバターに着装するための3D衣装を制作するハードルも非常に低くなりました。

CLOを活用するメリット

3Dの活用は、ファッション業界にさまざまなメリットをもたらしていますが、CLOの利点について、教えてください。
小松3Dを活用するメリットは大きく3つあります。第1に「製品企画での活用」です。
通常、現物サンプルでの製品開発では、縫製にかかる作業時間、また生地や副資材といった素材調達の待ち時間が発生します。このプロセスの一部だけでも3Dで代用できれば、リードタイムを大幅に短縮することができます。
また、3Dの製品イメージをチームや取引先と共有することで、より具体的なコミュニケーションが可能になり、ものづくりの精度を高められます。
さらに、作成した3Dデータを蓄積しておけば、次シーズン以降にアレンジして新しいデザイン開発に活かすなど、長期にわたって使用できます。
実物サンプルを3Dに置き換えることは、原料廃棄の削減にもつながります。近年はファッション業界の環境負荷が過大視されていますが、3D活用が広がることで、業界のサスティナビリティに寄与できると考えています。
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