皮膜×防衛×ファッション
漆とは、ウルシの木に傷をつけたとき、分泌する樹液のことをいう。植物を含むすべての生物には、個体を維持するための本能がある。ウルシの木に傷をつけると、その傷口から乳白色の液体(漆)がにじみ出る。樹液を掻き採り続けなければ、人間の血液と同じように、傷口をふさごうと、かさぶたのように漆は黒く変色して固まる。
ウルシの樹液は、その体内にあるときは、液体として流れて循環しているのに、体が傷つけられ外界に触れると硬化して流失を防ぐ。
——防御のためだけなら、美しさはいらないのに、その膜は美しく、艶をもつ。
外界からの攻撃に、自分の傷口を守ろうとするとき、そこに美しさを伴わせること、なぜそんな必要があるのか。
これは美しさが力、強さになり得るからで、これを纏うことはファッションの理念とも共通する。
人は外界に触れたとき、はじめて自分を認識し、幾度となく傷つけられていく自分を必死に守ろうとするとき、強さとしての美しさを表現しはじめる。
伝統工芸×ストリート
伝統工芸とストリート、このタイトルはまさに相反するふたつの分野が掛け合わされたかのようである。あるいは、ふだん混じり合わないものが新たにコラボするかのような印象を与える。