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【リレーコラム】2.5次元伝説〜相沢梨紗とバトルドレス(相沢梨紗)

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PROFILE|プロフィール
相沢 梨紗(あいざわ りさ)
相沢 梨紗(あいざわ りさ)

アイドルグループ「でんぱ組.inc」のリーダー。
特技は料理でレシピ本も出している。ファッションブランド「MEMUSE」ではデザイナーを務める。ラジオDJを長年担当。ポップカルチャーの街・大阪応援隊長。

とんでもないタイトルにしてしまいましたが、2次元の完璧なキャラクターに憧れるあまり、3次元の自分を否定し、生きることが苦しかったヲタク女子が、「バトルドレス」と思える被服と出会い、自分の弱さと向き合うことで、生きる場所を少しずつ見つけ、広げていくお話です。

2次元絶対至上主義

小学生までは感情の起伏が激しく、感情が振り切れたときの記憶を少し無くしてるような子どもでした。
クラスのボスのような子が、控え目な子に強く当たるのが許せなくて、100倍くらいにして言い返し先生に呼び出されたり、面倒な子どもだったみたいです。
中学生になる頃に感情的・衝動的な行動が急に恥ずかしく感じ、いわゆる「陰キャ」になりました。発散できない感情で自分を攻撃しそうになる度、漫画やアニメ、ラジオなどのコンテンツに関わると癒やされ、救われていたように思います。
世界を救うビジュアルも精神も魅力的で完璧な2次元のキャラクターが私のヒーローとなり、絶対的存在になったのはこの頃でした。
少しでも2次元に近づこうと思い、日傘を差して登校するようになりました。
喋ったことがない人にも「あ〜日傘の子(笑)」なんて噂をされていましたが、そんなことより日焼けをせず、2次元のような白い肌を手に入れることが当時の私には何よりも重要なことでした。
いつからか教室では少し浮きつつも、幼馴染が趣味やこだわりを認めてくれる人だったので、気の合う仲間を大切にできれば良いと思えたことが、自分の人格を形成するために大切な経験になっていると思います。

ニーソと姫毛とロリータと

高校生になった私は、日傘に加え、ニーソックスと姫毛。休日はロリータ服を装備することで、より戦闘力を高めていきます。
周囲の生徒も、ギャル・ヲタク・優等生など、制服にアレンジを加えて、見た目にもわかりやすく個性を表現をする子が増えました。
自分らしいと思える見た目は、要らぬ争いや面倒な社交辞令を避けるバリアにもなり、自然と周りにはヲタク趣味を理解してくれる仲間が集まりました。
そして、同人誌の売り子を先輩に頼まれたのをきっかけに、コスプレイヤーとしてデビューします。
コスプレ衣装は、私を別の世界へ導き、何者でもない自分から一瞬でも離れていられる特別な時間をくれる被服との出会いでした。
コスプレイヤーとしての自分が充実するほど、現実の自分は何者でもなく感じて嫌いになっていきましたが、コスプレ沼に落ちていたその頃の私は現実逃避に没頭していきます。
生徒会長がコスプレイヤーなのをきっかけに、コスプレイヤーとヲタクの生徒会組織が出来上がり、生徒会室と美術室で週末のコスプレ衣装を制作しつつ学生生活をやり過ごしました。

アキバの住人

高校卒業とともに、服飾専門学生と秋葉原のメイドさんを掛け持ちすることになります。
コスプレイヤーとしての自分とリアルの生活をリンクさせることができれば、「何者でもない自分」の割合を減らせないだろうかと考えたのです。
人生初の秋葉原上陸!「何者でもない私」を消して、アキバの住人に生まれ変わることを決意します。
当時のメイドカフェの仲間は今も時折連絡を取り、同窓会をするほど気の合う楽しい仲間たちです。
そして数年後、メイドカフェの閉店とともに、大切な仲間や大好きなバイト先・自分らしく生きられる世界を一気に失ったと感じた私は、再び何者でもないものになってしまったと悲観し自宅警備員(引きこもり)になります。
ある日の真夜中、「メイドカフェでGO」(コンセプトカフェだけを取り扱ったアルバイト求人サイト)を見ていると、「秋葉原ディアステージ」のオープニングキャストの募集を知り、コンタクトを取ります。
深夜2時は過ぎていたと思いますが、直ちに連絡がきて「変なお店だな〜。面白そうだな」というのが第一印象でした。
面接時に「ライブバーではあるものの、ホールスタッフで良い」という説明を受けたので、アイドル活動経験がゼロの自分もやってみようと思ったのでした。
この時は自分がライブアイドルとして活動することになるとは1ミリも思っていませんでした。
アイドルとは、クラスの一番可愛いくて愛される子だけがなれる選ばれし者のみに与えられる役割だと思っていたので、自分がなれるわけがないと考えていました。
しかし、運良く受かった人生2度目の秋葉原でのアルバイトは、自分の人生を大きく変えることとなりました。
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