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【連載】多層なるゲームチェンジ:Culture Studies: Fashion after 2010 #001

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PROFILE|プロフィール
Yoshiko Kurata
Yoshiko Kurata

ライター / コーディネーター
1991年生まれ。国内外のファッションデザイナー、フォトグラファー、アーティストなどを幅広い分野で特集・取材。これまでの寄稿媒体に、Fashionsnap.com、HOMMEgirls、i-D JAPAN、STUDIO VOICE、SSENSE、VOGUE JAPANなどがある。2019年3月にはアダチプレス出版による書籍『“複雑なタイトルをここに” 』の共同翻訳・編集を行う。CALM & PUNK GALLERYのキュレーションにも関わっている。[Photo by Mayuko Sato]

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700年程の歴史をもつファッションは、これまで時代の潮流と同期して、呼応するようにプレイヤーたちが数々の「ゲームチェンジ」を起こしてきた。例えば、退屈な雰囲気にスッとメスを入れるようにじわじわとさざ波をたてるものもいれば、ド派手に登場して話題を巻き起こすものもいれば、多種多様なスタイルで時代をひっくり返し、新しい着地点へと促す。
それは決してファッションデザイナーだけではなく、フォトグラファーもモデルもジャーナリストもみんなが「ゲームチェンジ」させるために熱を込めていくものだと思う。
 さらにこの10年を振り返ると、ファッションはよりファッションの言語を越えて、デザイナーたちと彼らを取り巻く周りのコミュニティ ーアーティスト、ギャラリー、ミュージシャンなど ー が持つバックグラウンドこそがブランドの個性と価値として強く映り、SNSや公の場での彼らの声が幾度となく広がることで多重にも新しい息吹をもたらしてきた。

「ゲームチェンジ」の原点

わたしがその洗礼を始めて肌で感じたのは、2012年に訪れたロンドンファッションウィークだった。
 当時は、まだ学生ということもあり、ショー会場には入れなかったもののメイン会場「サマーセットハウス」に行けば、たまり場のように同世代の学生がたむろして、そこでお互いの装いを通して、コミュニケーションが自然発生するような光景があった。(もちろんこっそり入れたアフターパーティもしかり)
 当時きゃりーぱみゅぱみゅがDAZED & CONFUSED の表紙を飾るといった様相の時代である。同じ時代を過ごすわたしも当時「THE 原宿ファッション」を装っていた。すぐさま現地の同世代に声をかけられ、お揃いの「TOKYO BOPPER」のシューズを持っていること、同じ速度で東京のファッションデザイナーを知っていることを話し、そして現地にも東京のブランドを取り扱うセレクトショップ「PRIMITIVE LONDON」が存在することなど色々な場所へと連れていってくれた。(のちに彼らは、MACHINE-AのスタッフやKiko Kostadinovの初期アシスタント兼モデルになるなど着実に活動を広げていくこととなる)

新しい「言語」の提示

といっても、彼らとの会話を思い返せば、当時のロンドンファッションウィークは終息のときを迎え、次の新しい才能が出てこないかと退屈したムードだったと記憶する(いま思えばロンドンだけではなく、ファッションウィーク全体的にも同じようなムードが流れていたのかもしれない)。
そこで「ゲームチェンジ」を持ち込んできたのは、2013年1月に2013F/Wコレクションを発表したJ.W.Andersonだった。
ショーを発表した次の日には、各メディアそれぞれに賛否両論の意見を放ち、まだ当時「ジェンダーレス」「ユニセックス」という言葉が今ほど普及していなかったことで定義もさまざま。(2021年ともなった今となっては、ファッションとしてこのようなキーワードに抵抗を示すような人は、もはやいないであろう)もちろん、それまでも女性がメンズウェアを着たり、古着によるジェンダーのミックスは日常的に行われてきたが、メンズウェアのコレクションから強いメッセージを放つことは当時稀なことだった。いま振り返れば、スタイルが反復し更新し続けるように、ファッションにおけるキーワード的な「言語」もこうして「ゲームチェンジャー」の登場とともに生み出されていくのだと実感する。
 一方、当の本人は、
「メンズウェアのデザイナーがウィメンズウェアに踏み入れることにみんなが慣れていなかったんだと思います。常に僕のブランドはAndrogynyであると考えています」
「僕にとって、男性と男性、女性と女性、女性と男性、そのように性別と服がミックスしていることは当たり前のこと。物語や感情を伝える服を着るということだけで、性別はあまり関係ありません」
と、2013年のショーが終わった直後のBussiness of Fashionの記事 *1で語っている。「Androgyny」は、日本語直訳としては「両性具有」に翻訳され、ほかにもGUCCIやThom Browneのコレクションなどにも多用され、スタイル、言語、そして美的感覚ともに10年をかけてじわじわと認知されていったように思う。(この10年間の「言語」の変化ものちに詳しく語っていく)
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