2010年以降、企業からファッションブランドまで規模に問わず、Instagramやtiktokなどビジュアルを通したオーディエンスとのコミュニケーションは欠かせないものになった。むしろ、その一瞬でオーディエンスが共鳴するか否か決まるといってもいいほどの影響力をもっている。
そのある種の依存関係のようなブランドもしくはデザイナーとSNSの密着度は、2021年にBottega VenettaのInstagramが閉鎖したニュースへの反響からも窺いしれるだろう。この一件は、ケリングの表明によれば、SNSはアンバサダーやコミュニティに託すものだと語り、一方でブランド側からはデジタルジャーナル「Issue」を刊行することで、雑誌をめくるようなインタラクティブな仕掛けがSNSの規定のフォーマットを超えたブランドの世界観を表現できる最適なツールとして導入し始めている。それは、SNSのスピーディーな競争とは逆行しながらも、ブランドのペースに合わせて独自のコミュニティを形成するようにも感じられ、その新たなビジュアルコミュニケーションの力は、しっかりと売り上げの数字にも反映されている。