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“ファン付き作業着”はここまで進化した! リベルタ×ハイドサインが生んだ「FREEZETECH Air」

2026.05.01
近年の猛暑により、暑さ対策は快適性だけでなく、健康管理の観点からも意識されるようになってきた。この課題に対して、リベルタ社の冷感テクノロジー「FREEZETECH(フリーズテック)」とハイドサイン社が協業し、電動ミニファン付きウエア「FREEZETECH Air(フリーズテック エアー)」を開発した。次世代の暑さ対策として、どれほど画期的な技術が搭載されているのだろうか。
そこで今回、株式会社リベルタの大津さんとハイドサイン株式会社の吉井さんに、従来のイメージを刷新する製品開発の背景と、デザインと機能性を両立させるための技術について話を伺った。

PROFILE

大津 奈々(おおつ なな)

株式会社リベルタ

機能衣料商品戦略部ブランドコミュニケーション課マネージャー 

入社以来、機能衣料分野における商品企画・販促・PR業務に従事。冷感ウエアを中心に、ブランド戦略の立案からプロモーション設計までを担い、市場における認知拡大と売り上げ創出を推進している。

PROFILE

吉井 秀雄(よしい ひでお)

ハイドサイン株式会社
代表取締役社長 兼 チーフデザイナー

企業向け制服のデザイン会社として2005年にハイドサイン社を設立。多くの大手企業制服のデザイン実績を有する。

デザインチーム・パターンチーム・サンプル縫製チームで構成され、一気通貫の服づくりが可能な社内体制を確立する。

一方ファッション分野では、2022年よりFashion Week TOKYOでワークウエア由来のコレクションを発表。

The Vogue Business 100 Innovators 2025選出。

“ファン付き=作業着”の常識を覆す、新しい暑さ対策へ

ファン付きウエアの新たな常識を生み出す「FREEZETECH Air」
ファン付きウエアと聞くと、多くの人が建設現場や工場で働く人々が着用する、大きく膨らんだ作業着を想像するだろう。しかし、熱中症のリスクはもはや屋外労働者だけのものではないはずだ。ハイドサインの吉井さんは「熱中症による症例が出た方々は、案外コンシューマーの方が多い」と指摘し、日常における暑さ対策の必要性を語る。
これまで、一般消費者向けにファン付きウエアが広く浸透しなかった背景には、特有の課題があった。「膨れすぎ、音がうるさい、バッテリーが重たいといった点が、日常着として考えたときに非常に難しい」と吉井さんは語る。機能性を優先するあまり、ファッション性が犠牲にされてきたというわけだ。
この固定観念を打ち破り、誰もが日常的に使えるウエアを作るという挑戦が「FREEZETECH Air」開発の原点だった。それは、機能性とデザイン性の二者択一ではなく、その両立を目指すという強い意志の表れでもある。

異業種タッグが挑む次世代の暑さ対策ウエア

この新製品誕生のきっかけは、リベルタ社が2025年に住友化学株式会社の共創ラウンジSYNERGYCA(シナジカ)で実施されたハイドサイン社のコレクションに招待されたことだった。
吉井さんは当時をこう振り返る。「住友化学さんが間に入るかたちで、リベルタさんとお話したのがきっかけです。我々のコレクションでプロトタイプのミニファンを多数使用しており、そこに興味を持っていただきました」
この出会いは、両社にとって重要な転機となった。ハイドサイン社は、長年ワークウエア業界で培った知見と、空気を効率的に循環させる衣服の設計技術を持っていた。一方のリベルタ社は、電動ファンウエアとの相性の良いクーリングウエア「フリーズテック」ブランドや豊富な販路、工業製品の製造能力を保有しており、製品開発・マーケティング力があった。
デザインの思想を持つ企業と、それを具現化する製造能力を持つ企業、両社の強みが「社会課題の解決」という共通の目的の下で結びつき、革新的な製品開発へとつながった。

限界に挑んだ59.5mmの極小ファン開発

「FREEZETECH Air」の最大の特徴は、直径(ファンデバイスの外径)わずか59.5mmという極めて小型のミニファンだ。この小型化は、単にサイズを小さくしただけではない、明確な設計思想に基づいている。リベルタの大津さんは、その特徴を「コンパクトな設計による目立ちにくいデザインかつファッション性との両立」と説明する。
小型設計のファンにより、これまでに不可能だったさまざまな製品へ応用が可能に
もちろん、小型化にはトレードオフも存在した。従来の大型ファンと比較すれば風量はやはり弱くなる。しかし、吉井さんはこれを「意図的な選択」だと語る。「風量が弱い代わりに、電池が長持ちし、バッテリー自体も小型化できます。従来のファンの課題であった音や重さを解決するには、小型化が正解だったのです」
3年前から開発が始まったこのミニファンは、暑さ対策を作業者だけでなく、より多くの人々の日常に取り入れるための革新的な技術の結晶だった。目立たず、静かで、軽いという3つの要素が、ファン付きウエアを特別なガジェットから、日常に溶け込む衣服へと変える鍵となった。

“見せないファン”がデザインを変える。特許構造が叶えた両立

「FREEZETECH Air」の革新性は、ファンの小型化だけにとどまらない。それを「見えなくする」技術こそ、ハイドサイン社の真骨頂だ。吉井さんは「表から見たときにはまったく普通の服だが、内部ではしっかりと空気が循環する構造」だと自信を持って語る。
ハイドサイン社は、衣服内の空気流動を計算し、効率的に排気する技術を有している。この技術を活用することで、風量が控えめな小型ファンであっても、衣服内の温かく湿った空気を確実に排出し、十分な冷感効果を発揮する構造を実現している。
そこで実現したのが、両社が共同で特許を出願した「テントパーツ」と呼ばれる構造だ。ファンを覆うように設計されたこの立体的なパーツの上から、さらに生地をかぶせることで、外観を損なうことなく外気の取り込み口を確保する。これにより、風の通り道を確保しながら、ファン本体を完全に隠すことに成功した。
テントパーツと外から見えない設計により、より洗練されたデザインに
この構造により、外見上は通常の衣服と変わらないデザインを維持しながら、内部では静かにファンが駆動し、気化熱による冷感を促すことが可能になった。インナーとして着用が推奨される「FREEZETECH」の氷撃ウエアには、冷感プリントテクノロジーの他に、汗の臭いを抑える防臭機能も備わっている。大津さんは「汗をかいても臭いがしないという声は、ユーザーから多くいただく」と語り、夏の不快な悩みに多角的に応える製品であることを強調した。

日常着の未来へ。ファン付きウエアはここまで自然になれる

どこから見てもファンが付いているようには見えない「FREEZETECH Air」のベスト
これらの技術の結晶として、ワーク、アウトドア、ゴルフ向けのベストに加え、ポンチョ、そしてシャツタイプのファン付きウエアが発表された。特にシャツへのファン搭載は、従来のファン付きウエアの概念を大きく拡張する試みである。
吉井さんは「いずれは、普通のシャツなのかファン付きシャツなのか、境目がないレベルまで高めたい。日々ブラッシュアップを続けている」と、開発への情熱を語ってくれた。
外見からは、まったくファンが搭載されていることがわからないデザインに。
将来的には、ジャケットやパンツといったアイテムへの展開も視野に入れている。さらに、ファンの小型化により、これまでサイズや重量の制約から難しかった子ども服への応用も可能になる。外遊びやスポーツを行う子どもたちの熱中症対策として、親御さんにとってもこれほどうれしいものはないはずだ。
近年の猛暑は、安全性や健康管理の観点から深刻な社会問題となっている。大津さんは、従来の接触冷感素材だけでは対応が難しい過酷な環境に対し、「FREEZETECH」と「FREEZETHCH Air」の相乗効果による次世代の遮熱対策を提案していくと話してくれた。
猛暑が常態化する現代において、「FREEZETECH Air」は単なる暑さ対策グッズにはとどまらないだろう。異業種の知見と技術が融合して生まれた、次世代のクーリングウエアとして、私たちの夏のライフスタイルそのものを変える可能性を秘めている。

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