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登山の知恵を街に転用──グレゴリー「ジャーニーマン」が出張用バックパックの最適解である理由
アウトドアブランドのバックパックを出張や旅行に使う人は少なくない。ただ、タフさや背負いやすさといった恩恵は受けつつも、カジュアル色の強いデザインやオーバースペックな機能には目をつぶる必要がある。
アメリカ・アウトドア界を代表するアウトドアブランド、グレゴリーはそこに目をつけた。
登山用バックパックの強みはそのままに、タウンユースに適したスタイリッシュなデザイン性と機能性を付与した「ジャーニーマン」を生み出したのだ。
今やブランドを代表する旅行用バックパックとして地位を確立している。誕生の経緯から仕様まで、ブランドディレクターである中島健次郎さんがその魅力を語り尽くす。
PROFILE
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中島 健次郎(なかじま けんじろう)
サムソナイト・ジャパン株式会社グレゴリー事業部ブランドディレクター
日本の「グレゴリー」の責任者。山が好きでアウトドア業界に入りハイキングやキャンプを楽しんできたが、最近はマリンスポーツにも強い魅力を感じ、幅広くワンデイ・アクティビティを実践している。
出張や旅で使えるグレゴリー。ユーザーの声を具現化したジャーニーマン
ジャーニーマンは2017年にデビューし、名前は旅をする人という意味の造語が由来だという。「出張や旅行など、街をベースに移動するライフスタイルを想定したバックパックです。現在のグレゴリーユーザーには、学生時代からバックパックを愛用していた、という方が多いんです。
そんな方々が年齢を重ねてライフステージが変わると、仕事が忙しくなって、出張も増えてきます。『出張や旅行に使えるバックパックが欲しい』というグレゴリーユーザーのニーズに応えるために、このジャーニーマンを作りました。その後、2021年にリニューアルされました」

見た目はスタイリッシュでも、背負い心地はグレゴリー流
それでは、現行のジャーニーマンをチェックしていこう。デザインはシンプルなオールブラックのスクエア型で、サイズは縦49×横29×奥行き30cm。30Lという容量は、1~2泊の旅行や出張、荷物の多い日の通勤にちょうどよさそうだ。
「スクエア型にしたのはビジネスユースを想定しているため。端正な印象になるだけでなく、書類や資料の収まりのよさにも寄与します」
実際に背負ってみた感想は、重量は約1.2kgだが、ショルダーハーネスが肩にフィットするため、軽く感じる。
「肩に沿うようにカーブしたショルダーハーネスには、立体的なEVA素材のパッドが仕込まれており、荷重を均一に分散することで、長時間背負っても肩に負担がかかりにくい構造となっています」
また、ショルダーハーネス上部のスタビライザーストラップが背中へバッグを引き寄せることでフィット感を高めつつ、肩にかかる負担を軽減。ほかに位置調整可能なチェストストラップも装備されている。

登山用バックパック由来のディテールが随所に
ボディのメイン素材は、アメリカのインビスタ社が開発した高機能ナイロンだという。「一般的なナイロンよりも格段に耐摩耗性・引き裂き強度に優れた素材でありながら、軽量なのが特徴です。グレゴリーではバックパックのメイン素材としてこのコーデュラナイロンを使用しています」
引き手には、ブランドのシンボルというべきレザージッパープルが採用されている。
「牛革なので、使い込むほどに柔らかくなり、手になじんでいきます。交換も簡単にできるというメリットもあります」

「ジップはYKKの10号です。これは歯の幅が約10mmの大型ジッパーで、バッグやアウターなど頑丈さが求められるアウトドア用品に使われるもの。グレゴリーのアウトドア向けのバッグでは、荷重のかかるメインコンパートメントに多用しています」
使い勝手のよさもチェックしてみる。
メインコンパートメントは二枚貝のように大きく開くため、荷物の出し入れがスムーズにできる。
トップにはジップ付きのアクセサリーポケット、フロントにはオーガナイザー付きのジップポケットが設けられている。

PCスリーブを独立させているのもこだわりのひとつだ。
「その理由はビジネスとプライベートを分離させるため。商談や空港の保安検査場でパソコンを取り出さなければならないときに、仕事と関係のない着替えやお土産などを人に見られるのは気が引けます。
そこでPCスリーブは独立したコンパートメントにして、背面に設けました。上部にはメッシュのジップポケットもついていて、充電ケーブルやマウスも収納できます」
両サイドには4本のコンプレッションストラップを装備している。このストラップを使って荷物を安定させることで、背負いやすさを向上させることができる。
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出張や旅行用に最適化された現行モデルには2種類の素材が
2017年の発売以降、販売数は順調に伸びていたが、ビジネスユーザーのフィードバックを受けて、後継モデルの開発に着手する。「基本的なデザインやディテール、サイズは踏襲しつつ、出張や旅行のシーンに適した機能を追加しました」
背部のスリーブは追加された機能のひとつ。
「もともとグレゴリーユーザーは、旅のときに、バッグひとつに荷物を入れて機敏に移動する、というイメージがあったので、スーツケースとの併用を想定した仕様にはしていませんでした」
ただ、実際はスーツケースと併用したい、という声が多かったため、背部にスリーブをつけて、トロリーケースのハンドルにセットできるようにしたんです」
サイドのポケットの仕様も変更された。
「もともとはオープンポケットだったんですが、トロリーケースにセットして移動する際に、本体が斜めになってしまいます。そうすると、中のものが落ちやすくなるので、口にジップを取りつけました。
ボトルを入れるときは開けたまま、デジタルガジェットや貴重品を入れるときはジップを閉めて、といったふうに使い分けることができます」

さらに現行モデルには、2つのバリエーションが用意された。
「どちらもブラックなんですが、素材やディテールがちょっと違うんです。一方は420デニールのコーデュラナイロンで、もう一方はコーデュラバリスティックナイロンを使っています」

「コーデュラナイロンのモデルは、引き手もブラウンのレザージッパープルになっていて、まさにグレゴリーファンおなじみの顔つきになっています。
より耐摩耗性や引き裂き強度の高いバリスティックナイロンを使ったモデルは、黒いレザージッパープルやオールブラックのタグと相まって、ビジネスシーンにも合うスタイリッシュなイメージに仕上がっています」
ユーザーはビジネスパーソンから学生まで幅広い。
「グレゴリー製品に共通する美点でもありますが、とにかく頑丈にできています。そのうえデザインが普遍的でトレンドにも左右されません。だから少々値が張っても、長く使えるんです」
コンセプトから素材、縫製、パーツの一つひとつにまでグレゴリーのアウトドアスピリットが宿る本アイテム。街というフィールドを踏破するために、ジャーニーマンは最適解であり続けるだろう。
Text by Ryota Osujo















