

Articles
ニューヨークの感性と日本の技術が融合する究極の「軽さ」:レスポートサック「エッセンシャルコレクション」開発の裏側
1974年の創業以来、軽量性と機能性を追求し続けてきたニューヨーク発のバッグブランド、レスポートサック。その中でも、現代のライフスタイルに特化し、究極の「軽さ」を実現したシリーズとして支持を集めているのが「Essential Collection(エッセンシャルコレクション)」だ。
洗練されたデザインと機能美を兼ね備え、オンオフを問わず活躍する本コレクションは、いかにして生まれたのか。その開発背景には、ニューヨークのクリエイティブと日本の高度な技術力の融合があった。デビュー10周年を迎える今年は、「軽さで毎日をもっと自由に」をキーメッセージに展開していく。
レスポートサックジャパン・マーケティング部の神代香織さんに、コレクション誕生の経緯から素材へのこだわり、そして10周年を迎える今後の展望について話を聞いた。
PROFILE
神代 香織
株式会社 レスポートサックジャパン
営業統括本部 マーケテイング部 シニアマネジャー
移動を快適にするブランドのDNAと「エッセンシャル」の誕生
レスポートサックというブランドの歴史を紐解くと、その根底には常に「移動」というテーマが存在する。創業は1974年。創業者の夫妻がビーチでヨットの帆(セイル)を目にし、「あの丈夫で軽い素材でバッグを作れないか」と考えたことがブランドの始まりだ。この「移動を快適にする」というポリシーは、今も変わらず根幹に流れている。そして2016年、ブランドの新たなスタンダードとしてデビューしたのが「エッセンシャルコレクション」だ。

「2010年代は、スマートフォンの普及とともにモビリティが劇的に変化した時代でした。働き方も多様化し、場所を選ばずに仕事をするスタイルが定着し始めた時期でもあります。そうしたライフスタイルの変化に合わせて、バッグも進化する必要がありました」
エッセンシャルコレクションが掲げるスローガンは「Lighten Your World」。物理的な荷物の重さを軽くすること、そして気持ちまで軽くすること――その両方を目指している。
「軽くありたい、快適に移動したいという根源的なニーズに応えること。それが、このコレクションが体現している最大の価値なのです」
その最大の魅力である「圧倒的な軽さ」を実現するために、開発チームは素材選びから徹底的なこだわりを見せた。
探し求めて辿り着いた「日本の技術」
手に取った瞬間に分かる軽さと滑らかな手触り。その質感を決定づけているのが「マイクロリップストップナイロン」だ。
レスポートサックの通常ラインがハリのある質感であるのに対し、マイクロリップストップナイロンは非常に薄く、柔らかく、しなやかだ。これは高品質なダウンジャケットなどにも使用される素材で、圧倒的な軽量性を誇る。
開発当初、ブランドのクリエイティブチームは世界中のサプライヤーを探索した。多くの生産拠点を検討し、彼らが求める「軽量でありながらチープに見えず、十分な強度を持つ」という条件を満たす生地を見つけるため、長い開発プロセスを経た。
この難題を解決したのが、日本の北陸地方に残る高度な繊維技術だった。石川県で特殊な極細糸を設計通りに配列して織り上げ、福井県で染色とコーティングを施す。それぞれの工程において、極めて高い専門性が要求される分業体制が敷かれている。
特に困難を極めたのは、設計段階で定められた糸の太さや配列を、量産レベルで忠実に再現することだった。極細の糸を均一なテンションで織り上げる技術や、薄い生地に対して色ムラなく染色し、微光沢を生むコーティングを均一な厚みで施す加工技術。これらは一朝一夕に獲得できるものではなく、模倣しようともできるものでもない。
北陸の職人たちが持つ卓越した技術力が、エッセンシャルコレクション特有の「しなやかさ」と「微光沢」を生み出し、圧倒的な軽さと上質な肌触りを両立させている。

「糸の太さや配列に至るまで、設計段階で緻密に計算されています。それを忠実に再現できる技術力が日本の工場にはありました。ほんのりと上品な微光沢を放つ表面感は、カジュアルになりすぎず、ビジネスシーンでも違和感なく使える洗練された印象を与えてくれます」

ニューヨークのデザインチームが描いた理想を、日本の職人技術が具現化する。エッセンシャルコレクションの品質は、この協業によって支えられているのである。
究極の「軽さ」を支えるパーツと構造の革新
素材だけでなく、バッグを構成するパーツや構造の一つひとつにも、「軽さ」と「使い心地」へのこだわりが徹底されている。まず注目すべきは、金具パーツに採用されたアルミニウムだ。独自開発のアルミパーツを採用し、軽量で、輝きを抑えた光のニュアンスが上質感を引き立てる。通常、バッグの金具にはプラスチック素材や、耐久性を重視して重みのあるメタル素材が使われることが多い。
しかし、エッセンシャルコレクションではアルミを採用した。これにより、金属特有の高級感と輝きを保ちながら、驚くべき軽量化を実現している。
「プラスチックでは出せない高級感があり、かつ通常のプラスチックやメタルパーツよりも圧倒的に軽い。アルミパーツの採用は、エッセンシャルコレクションだけの特別仕様です」

また、ストラップやハンドルで使用している「ウェビング」にも大きな特徴がある。一般的なバッグのストラップは硬く、長時間背負っていると肩に食い込むことがあるが、このウェビングはしなやかな素材で非常に柔らかく、荷重を分散させる幅を備え体に吸い付くようにフィットする。
「触っていただくと分かるのですが、とにかく柔らかくてしなやかなんです。これが肩に当たったときの肌触りの良さや、体への負担軽減につながっています。荷物が重くても、体感的な重さがかなり軽減されるのです」

さらにこのウェビングは、機能的な補強の役割も果たしている。たとえばバックパックでは、ウェビングが側面から底面まで回り込む構造のモデルがあり、重い荷物を入れても底が沈み込みにくく、美しいフォルムを保てる。軽い生地の良さを生かしつつ、疲れにくさにも寄与する設計だ。

デザイン面では、ロゴサイズを通常よりも小さくし、シルバーカラーで統一することでシックでモードな印象に仕上げている。

裏地もすべてシルバーで統一されており、これにはバッグの中が明るくなり、荷物を見つけやすくする視認性の向上の意味も込められている。

シームレスな現代のライフスタイルに寄り添う機能美
エッセンシャルコレクションが支持される要因は、その高い機能性とデザイン性が、多様なライフスタイルにフィットしている点にある。特に人気が高いバックパックには、現代人の必須アイテムであるPCやタブレットを収納できるクッション付きスリーブが完備されている。また、ユーザーにとってうれしいポイントとして挙げられたのが、ハンドルの長さだ。バックパックであっても、上部のハンドルが長めに設計されているため、電車内などで背負いたくないときにはトートバッグのように腕にかけて持つことができる。ジム用トートバッグは、マチがありA4サイズが楽に入る。ヨガマットを挿せる機能も付いているので、通勤や通学バッグ、ジムバッグとしても便利な設計だ。

仕事とプライベートの境界が薄れる今、ひとつのバッグで移動をシームレスに完結できる。性別や年齢、オンオフを問わず馴染む汎用性も、このコレクションの強みだ。

デビュー10周年を迎えるコレクションの次なる展望
2016年のデビューから、今年で10周年を迎えるエッセンシャルコレクション。ブランドのスタンダードとして定着した今も、その進化は止まらない。今後の展開については、新型のトートバッグやリュック、過去のコレクションでの残反を活用したサステナブルポーチなど、トレンドを意識した新しいスタイルも登場予定だという。さらに、過去に人気を博したモデルの復刻や、日本国内での体験型ポップアップストアの開催も構想中だ。
「Lighten Your World」というスローガンのもと、日本の技術とニューヨークの感性が生み出したエッセンシャルコレクションは、これからも私たちの日常に寄り添い、軽やかな自由を与えてくれるだろう。
















