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LUX(ラックス)35年目の革新 :グローバルブランドが見出した、日本市場の可能性

2025.02.19
日本のヘアケア市場で、8年連続売り上げNo.1[1]を誇るLUX(ラックス)。イギリスに本社を置くユニリーバが多くの国や地域で展開するブランドだが、実はLUXのヘアケア製品は日本発である。その基幹製品である『ラックス スーパーリッチシャイン』が日本で誕生して、早35年が経った。
今回は世界的人気を誇るイギリス発のブランドが、ヘアケアを日本で開発、マーケティングを展開した背景を取材。ヘアケア市場で独走するLUXの人気の秘訣に迫った。

PROFILE

田中 瑞樹(たなか みずき)

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社
マーケティング - ビューティー&ウェルビーイング
ビジネスパフォーマンス&イノベーションデザイン
ブランドマネージャー

LUXが日本でヘアケアをローンチした理由

1972年、LUXは化粧品石鹸として日本に上陸した。世界各国で展開されているLUXだが、なぜ36年前にLUX初のヘアケアアイテムが日本で開発されたのだろうか。
「開発時、イギリス本国から見ても日本のヘアケア市場は大きく、重要なマーケットという位置付けでした。
当時の日本はバブル景気の影響もあり、女性の社会進出が目覚ましかった時代です。当社が競合の動きをリサーチするなかで、日本では女性向けの美しさ訴求のヘアケアにチャンスがあると判断したと聞いています」
時代の変化とともに、女性の社会進出が加速し、外で活躍する女性が増加していった。それに伴い、多くの女性たちが美しく輝く髪を求めるようになった。
イギリスには化粧品開発の技術とマーケティングの豊富な実績があったにもかかわらず、なぜ日本での開発とマーケティングを選んだのだろうか。
「イギリスと日本では、環境や文化、価値観が大きく異なります。ヘアケアの開発においても、洗髪や消臭への考え方のほか、ニーズやトレンドにも違いがあります。これらを敏感にキャッチして製品化するには、日本での開発とマーケティングが重要でした。
イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国と日本では、髪を洗う頻度も違います。日本人の多くは毎日洗髪するのが習慣になっていますが、海外では1日おき、または1週間に1回の場合も少なくありません。水質の違いもあり、泡立ちや使用感にも影響が出るので、処方には工夫が必要です。
また、日本ではヘアケアに対するニーズも非常に多様化していて、商品の数も大変多くなっています。そのため、LUXのヘアケアが誕生した当時から、次々とアイテムの種類が増えていった印象です」

"ヘアケアのゴールデンタイム"に着目した髪の導入美容液

2024年にはベストコスメ賞など多数受賞経験[2]のある「ラックス バスグロウ シリーズ」より、ヘアケアのゴールデンタイムを訴求する『ラックス バスグロウ ストレート&シャイン ヘアブースター』が発売され、ヘアケアに新たな価値観を生み出した。
シャンプー後、トリートメント前に使用する髪用の導入美容液として開発された同商品は、"ヘアケアのゴールデンタイム"という新しい概念を提案し、発売以来「VOCE月間コスメランキング」トリートメント部門で1位を獲得するなど、急速に支持を集めている。
「髪の表面は魚の鱗のようなキューティクルで覆われています。乾いた状態では閉じているキューティクルが、髪がぬれると開き、ヘアケア成分が浸透しやすくなります。そのため、シャンプー直後のぬれた状態を"ゴールデンタイム"と呼び、効率的なヘアケアが可能なタイミングとして提案しています。
スキンケア領域では、すでにブースターや導入美容液が一般的に認知されています。このことから、ヘアケア製品でも"ブースター"という言葉を製品名に採用し、"髪の導入美容液"として分かりやすく訴求しています」
ラックス バスグロウ ストレート&シャイン ヘアブースター
ぷるぷる浸透ウォーターゼリー[3]を配合したこの製品は、シャンプー後に使用することで髪の土台を整え、トリートメントの浸透を高める。これにより、傷んで乱れた髪を内部まで補修する効果が期待できるという。
LUXの消費者調査によると、ヘアケアへの関心は高まっているものの、新たなケアアイテムの追加に煩わしさを感じる消費者が多いとのことだ。
「アウトバスアイテム(浴室外で使用)の市場は拡大していますが、インバスアイテム(浴室内で使用)は導入のハードルが低く、重要な市場となっています。消費者の考える課題に対し、お風呂の中で完結できる製品を目指しました」
その結果生まれた『ラックス バスグロウ ストレート&シャイン ヘアブースター』は、導入のハードルの低さから高い評価を得ている。ユーザーレビューでは「髪のうるおいが持続する」「まとまりやすくなった」など、保水力とまとまり感に関する好評価が多く寄せられているという。

LUXのブレないビジョン

日本のヘアケアトップブランドとして走り続けるLUXだが、ユーザーから支持され続ける秘訣は何だろうか。
「LUXの強みは、消費者ニーズと市場の変化に迅速に対応しながら、ブランドの核となる価値観を守り続けていることです。私たちは『輝き』を大切にし、女性に一歩踏み出す勇気を与えたいという思いをブランドの根幹に据えています。
マーケティングにおいては、グローバルでの大規模調査と並行して、日本市場向けの定量調査も頻繁に実施しています。技術面では、日本にラボを設置し、グローバル本社の特許技術を活用しつつ、日本独自の処方開発を行っているのが特徴です。
日本向けの製品開発では、日本人特有のニーズや好みをグローバル本社に理解してもらうことが課題となります。しかし、グローバル企業としての強みと、日本ならではの繊細な市場理解を組み合わせることで、お客様が求める価値を提供できていると考えています」
LUXは大切にしているブランドビジョンとして、『BRAVE VISION 2030』を掲げている。自分らしい美しさを楽しみ、それが自信となることで、勇気を持って一歩踏み出してほしいという思いが込められているそうだ。
「LUXは創業以来、"輝くことが美しい"というメッセージを発信してきました。しかし、これは美しさの固定観念を生み出してしまった面があるかもしれません。
現代は多様な価値観と選択肢が存在します。そこで『BRAVE VISION 2030』では、ひとつの理想像だけにとらわれず、"内面の美しさを含めた自分らしい輝き"を大切にしてほしいと伝えています。
当社の調査によると、多くの人が"やりたい髪型"を諦めている実態が明らかになりました。他人の目を気にして自分に似合うスタイルを制限するのではなく、自分らしく輝ける人を増やすことで、社会の固定観念も変えていきたいと考えています。そこでLUXはヘアオートノミー『髪の自己決定権』を実現するため、2023年にブランドスローガン『#BeHairself 私の髪は、私が決める。』を発表し、メッセージを発信し続けています」
LUXはブランドの核となる価値観を守りながら、グローバルと日本の強みを最大限に生かし、変化する時代のニーズに応え続けている。その支持の理由は、髪の美しさを追求するだけでなく、内側からの輝きと前に進む勇気を与えてくれることにあるのかもしれない。

[1] INTAGE SRI シャンプー・コンディショナー市場2017年1月~2024年12月金額
[2] バスグロウ ストレート&シャイン シャンプー 「VOCE月間コスメランキング2023年4月期シャンプー&コンディショナー部門1位」、バスグロウ ストレート&シャイン シャンプー 「VOCE月間コスメランキング2023年5月期シャンプー&コンディショナー部門1位」
[3]スイゼンジノリエキス、アルギニン、グリセリン水溶液:保湿成分

Text by 継田 理恵(美容家/ライター)

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