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伝統とアメリカンカジュアルが融合した「McGREGOR」の名品「Drizzler Jacket」が語り継がれる理由
「McGREGOR(マックレガー)」といえば、ジェームズ・ディーンが着用していた赤いジャケットを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
そのイメージももちろん象徴的だが、ここではあらためて、McGREGORの「Drizzler Jacket(ドリズラー・ジャケット)」が、普遍的なアメリカンカジュアルのスタンダードアイテムであることを再確認しておきたい。
今回は、双日インフィニティ株式会社 アパレル部門 メンズ企画課長の大久保 旬さんに、McGREGORの歴史や現在、そしてこれからについてお話を伺った。
スコットランド王家の血を引く創業者とブランドのルーツ
「McGREGORは1921年、アメリカ・ニューヨークで創業しました。創業者はデヴィッド・ドニガー氏です。スコットランド出身のドニガー氏は、アメリカに移り住み、このブランドを立ち上げました。ドニガー氏は、スコットランド王家の分家であるマックレガー家の子孫にあたり、それがブランド名の由来となっています。王家分家の子孫であるドニガー氏は、紋章やハウスチェックと呼ばれる、日本でいう家紋のようなチェック柄を所有しており、それらをデザインソースとして衣料を展開してきました。
こうした背景から、英国調のテイストを取り入れた大衆衣料ブランドとして発展していったのが、McGREGORの成り立ちです」

代名詞「Scottish Drizzler®︎(スコッティッシュ・ドリズラー)」と、3大アイテムの系譜
アメリカでも日本でも、McGREGORの代名詞といえば、「Drizzler Jacket」を思い浮かべる人が多いだろう。では、このジャケットはいったいいつ頃誕生したのだろうか。「Drizzler Jacketは1945年に誕生し、昨年80周年を迎えました。もともとはゴルファーの小雨対策として発表されたスポーツジャケットで、当初は『Scottish Drizzler®︎(スコッティッシュ・ドリズラー)』という名称で販売されていました。
1950年代にはアメリカで大ヒットを記録します。それ以降このタイプのジャケットは、アメリカでは“Drizzler”と称されるようになりました。
ちなみにDrizzler Jacketという名称は現在では広く知られていますが、これはMcGREGORの商標です。そのため、Drizzler Jacketと正式に呼べるのはMcGREGORの製品のみとなります」


「そして1955年公開の映画『理由なき反抗』の劇中で、ジェームズ・ディーンが『Lee(リー)』のデニムパンツにMcGREGORのジャケットを着用していたことは、象徴的な出来事として語り継がれています。
ただし、正確には着用していたモデルは『ANTI-FREEZE JACKET(アンチフリーズ・ジャケット)』といい、Drizzler Jacketに中綿を入れた仕様のモデルです。
この影響もあり、McGREGOR=赤いブルゾンというイメージが広く根付くことになりました」

「ブランドのルーツにはスコットランドの要素がありますが、アメリカで育ったブランドであるため、スポーティーで健康的なエッセンスとトラディショナルな要素を併せ持っている点が特徴であり、McGREGORならではの持ち味となっています。
その長い歴史の中で、McGREGORには『3大アイテム』と呼ばれているものがあります。
これまでご紹介してきたScottish Drizzler®とANTI-FREEZE JACKETに加えて、もう一つ『RAM JET JACKET(ラムジェット・ジャケット)』というモデルがあります。このアイテムの原型は、1940年に防寒用としてMcGREGORが開発したフライトジャケットにあります。
McGREGORは1940〜1950年代にかけてアメリカ軍に軍服を提供していた時期があり、その名残として、フライトジャケットをモチーフにしたアイテムも定番の一つとして展開されています」

現在の定番となったMede in JAPANのScottish Drizzler®︎
1965年には日本でもMcGREGORの展開が始まり、その歴史はすでに60年を超えている。Scottish Drizzler®の誕生から80年、そして日本展開60年という節目を迎えた昨年には、1945年モデルを踏襲したMade in JapanのScottish Drizzler®が発売された。現在では定番アイテムとして高い人気を誇る存在となっている。
ここからは、このモデルのディテールについて、さらに深く掘り下げていこう。
「Drizzlerの由来は、『ドリズル(霧雨)』という意味からきており、霧雨に対応する撥水生地を開発・採用したのがScottish Drizzler®です。
1940年代には、現在のような高機能な撥水繊維の技術がなかったため、横糸にコットン、縦糸にレーヨンを使用することで撥水対策をしていました。コットン45%、レーヨン55%という混率も、当時から現在まで変わっていません。
仕様についてお話ししますと、まず背中のバックヨークは、雨が滴り落ちやすいように二重仕立てになっています。また、ポケットも特徴的です。片玉縁仕様のポケットを逆方向に取り付けており、雨が入りにくい構造になっています。
さらに『囲みポケット』と呼ばれる仕様で、ポケット周りをパイピングで四角く囲っていますが、これも雨粒がポケットに入りにくくするための当時の工夫です。現在では、Scottish Drizzler®といえばこのポケットデザインを思い浮かべる方も多く、アイコン的な仕様の一つになっています。
もう一つの特徴として、シャーリングカフスがあります。カフスボタンの間にゴムが入っており、ゴルフの際に袖をまくってもずり落ちないようにするための仕様です。現在でも、デイリーウエアとして着用するうえで便利なディテールだと思います。
このようにScottish Drizzler®は、1940年代当時としては非常に機能性の高いアイテムだったのではないでしょうか」


次世代へつなぐ、McGREGORの未来像
ここまで、McGREGORの歴史を中心に話を聞いてきたが、ここからは、2026年春夏シーズンの展開についても話を伺っていく。「現在展開中のScottish Drizzler®は、D.RED、KHAKI、CAMEL、S.GRAY、BLACKの5色展開ですが、この春にG.BLUEとNAVYが加わり、7色展開となります。
さらに、背中に刺繍が入ったモデルと、イギリスの老舗シャツ生地メーカー『Thomas Mason(トーマス・メイソン)』の生地を使用したリミテッドモデルもリリースされるため、合計で9タイプの展開となります。
背中に刺繍が入ったモデルには、“Rowing Crew(ローイング クルー)”という文字が施されています。McGREGORには『普遍的なプレッピースタイル』というコンセプトがあり、爽やかなプレッピースポーツや、アメリカの健康的なスポーツカルチャーを象徴するものとして、ボート競技が挙げられます。
このモデルでは、そうしたボート競技のチームをモチーフにした刺繍があしらわれています」

「もう一つのThomas Masonモデルは、シャツ好きであれば誰もが知る、イギリスの歴史あるシャツ生地メーカーの素材を使用しており、夏場でも羽織れる一着です」


「昨年の秋冬に『Mc McGREGOR(エムシー マックレガー)』という新たなラインが立ち上がりました。ブランド名のMcGREGORの“Mc”には子孫という意味があるのですが、“Mc”には“次世代”という意味合いも込められています。
それを踏まえて新ラインはMc McGREGORというブランド名とし、文字通り次世代に向けたコンテンポラリーなアイテムを展開しています。
古き良きMcGREGORへのリスペクトを大切にしながら、今のMcGREGORを表現するラインです」

ここまで、McGREGORの歴史を中心に、さまざまな話を聞いてきた。
Scottish Drizzler®が、アメリカンカジュアルの王道としてブランドを象徴する永遠の定番であることをあらためて実感するとともに、リミテッドアイテムや次世代ラインなど、過去だけでなく現在や未来に向けた取り組みにも強い魅力を感じた。
変わらぬ良さを大切にしながら、時代とともに進化を続けていく。その姿勢こそが、McGREGORというブランドの魅力だといえるだろう。
PROFILE

大久保 旬(おおくぼ じゅん)
双日インフィニティ株式会社
アパレル部門 メンズ企画課長
2006年入社。販売、営業を経て現在はMcGREGORメンズ企画を担当。現場経験を活かした商品開発を行う。

















