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マドンナやマーク・ジェイコブスも魅了! 川尻メイが作る独創的なネイルアートの裏側

2025.01.22
「NAILS BY MEI(ネイルズ・バイ・メイ)」の名で活動している、ネイルアーティストの川尻メイさん。ニューヨークに活動拠点を置き、独創的なネイルアートで人々を魅了している。世界的な著名人からも熱い支持を得ており、マドンナやビョーク、マーク・ジェイコブスなどから直々に仕事を依頼された経験もある。
今回は、そんな川尻さんにこれまでのあゆみや制作スタイルを伺った。

PROFILE

川尻 メイ(かわじり めい)

2002年に出身地である京都でネイルアーティストとしての活動をスタート。その後、東京・原宿にてネイルサロンFOXXYを設立。2012年ニューヨークに拠点を移し、パリコレではBalenciaga、Miu Miu、Vivienne Westwoodのショーのネイルを担当。セレブリティのクライアントには、デュア・リパ、BLACKPINK、マーク・ジェイコブス、ビョーク、マドンナ、ジジ・ハディッド、FKA twigs、サブリナ・カーペンター、バッド・バニー、Lil Nas X、ブレイク・ライヴリー、ロザリアなど。
Instagram

“爪”というキャンバスに、自分のアートを

ネイリストを志したきっかけを教えてください。
ネイリストになることを決めたのは、18歳のときです。はじめてネイル雑誌を読んだときに、「なんて自由なアートキャンバス!」と衝撃を受けたのと同時に、「こんなアートはどうかな?」と次から次にアイディアが浮かんできたんです。
爪は体の中でも特に小さなパーツですが、一番目立つアートキャンバスだと気付きました。「爪に自分のアートを描いて街を歩き回りたい」と思ったのが、ネイルアートをはじめたきっかけです。
自分の頭の中に浮かんだものを次々に形にしていくと、3ヶ月ほどでファンがつくようになりました。23歳で独立を決め、私自身のスタイルに合う原宿でネイルサロンをオープンしました。
当時は主にファッション業界のお客様がいらっしゃっており、9時から24時頃までずっとネイルをする生活を送っていました。お客様の枠を超えて友達のようなお付き合いをしてくださる方が多く、本当にありがたかったです。
独創的なネイルが印象的ですが、以前からこうしたスタイルだったのでしょうか?
もともと人と自分を比べるタイプではなく、自分自身の感性やひらめきを表現してきました。
私は、“ネイルアート=自分が作りたい世界を爪の上で表現するもの”と捉えており、デザインを考えるときにはどのようなアートが面白いかという観点で考えています。
最近はいろいろなデザインのネイルアートがありますが、私がネイルスクールに通っていた頃は今ほど表現の幅は広くありませんでした。そんななか、スクールの卒業制作で指をモチーフにしたネイルアートを作ったので、先生は驚いていましたね。
指をモチーフにしたネイルアート 撮影:Robin Broadbent
活動の拠点をニューヨークに移された経緯を教えてください。
日本に生まれて、日本語を話して、日本で働く……その恵まれた環境に、居心地の悪さを感じたからです。そんなとき、たまたまニューヨークから来ていたアメリカ人のフォトグラファーから、「メイはニューヨークへ行ってメイクやヘアのモデル、フォトグラファーたちとコラボした方がいいよ」と言われました。
そう言われてからすぐにニューヨークへ一人旅をし、新しい世界への第一歩を踏み出しました。実はそのままニューヨークの弁護士のところにも足を運び、「ビザを取りたい!」と相談もしました。
もともと冒険が大好きな性格なので、ニューヨークで仕事をすることに対する不安はなかったんです。むしろ、「一人で誰も知らない街に住むってなんて自由なんだ!」と、新しい出会いやはじめて見る景色にワクワクしていました。

求められるのは、スピード・クオリティ・アイディア

ネイルチップの制作過程を教えてください。
デザインを考えるときは、基本的に事前のスケッチをしません。まず頭の中で表現したいものをイメージし、メインとなるデザインから作り始めます。“レシピのない料理”を作るような感覚です。
デザインのインスピレーションは、日々の生活や世相、ファッション、アニメなど、いろいろなものから得ています。
使用するパーツは、既製品を使うこともありますが、3Dジェルを用いて自作することも多いです。可能な範囲で作りたいものの実物を購入して構造をリサーチし、それに近い仕上がりになるように意識しています。
ただ、事前の準備に時間をかけられるときばかりではありません。オーダーをもらってその場で考えて、周りにあるものを使って表現しなければならないことも多いんです。過去には、長く尖ったネイルを作るために乾いたパスタをたくさんつけたり、雪を表現するために塩の塊を使ったりしたこともありました。
人差し指にスプリンクル、中指にパスタ、薬指に塩を使用したネイルアート
限られた時間で作り上げるためには、その場での発想力が求められるのですね。
ネイルアートを制作する上で重要なのは、スピードとクオリティ、アイディアだと思います。
また、その場でオーダーを受けて制作するときには、相手が求めているものを瞬間的に理解する力も必要です。 ネイルカラーを選ぶ際にも、相手にすべて委ねるのではなく「あなたの今のモードに合っているのはこの色だと思う」と伝え、それを相手に納得してもらえるような提案力が求められます。
単に私の好みを提案すればいいわけではありません。「私だったらこっちを選ぶけれど、この人だったらこっちの方がいいな」と考える視点が重要です。会話を通して相手の好みを探るコミュニケーション力も必要です。
相手に合うものを提案するために、どのような準備をされていますか?
たとえば、マドンナに依頼されたときは、「まずは家に来てほしい」と言われたので、その場でどのようなオーダーをされるかがまったく予想できませんでした。そんなときには大容量のスーツケースに、ネイルに必要なものをできる限り入れて持っていきます。
特に著名人は分刻みのスケジュールで動いていることが多いので、すべての工程を30分以内に終わらせなければならないなど時間との勝負です。ですので、すぐにネイルのイメージを提示できるよう、事前に彼女の過去の写真や動画を見て、好きそうな色味やデザインをピックアップしておきます。ときには、ノートにデザインを試し描きして持っていくこともあります。
「あなたをリスペクトしているから好きにしていいよ」と言われることもありますが、気に入ってもらえるネイルアートにするために、ライブペイントのように「この色でいい?」とその都度会話しながら制作しています。
一方で、マーク・ジェイコブスはネイルにとてもこだわりを持っており、制作にも時間をかけます。マークが思い描いている理想のネイルを実現するために話し合い、一緒に作り上げていくような感覚で会話をします。

日本独自のカルチャーを誇りに

川尻さんのネイルは、日本のカルチャーを色濃く感じるものが多くあります。
私が日本のカルチャーに誇りを持っていることが反映されているからではないでしょうか。日本のカルチャーは特別で、アメリカにはない独特なセンスがあると思っています。
私は昔のアニメや、ヘアクリップやルーズソックスなどの日本の可愛いカルチャーが大好きなんです。これらを表現したネイルは、特にお気に入りです。
ただ、アメリカ出身の方で、かつこういったものに興味がない場合は、同じようなネイルをしてもあまりしっくりこないと思います。日本にルーツを持っている、かつ可愛いカルチャーが好きな私だからこそ、こうしたネイルアートを自分らしく楽しめているのだと思います。
川尻さんも特にお気に入りという、ヘアクリップのネイルアート
川尻さんにとって、ネイルとは何でしょうか。
ネイルは、自分を表す看板のようなものだと思っています。たとえば、遊びに行ったときに私の爪を見て、「Are you nails by Mei?」と言われることがとても多いんです。私自身よりも、ネイルアートの方が認知されている。作品が知られているのは、ネイルアーティストとしてとてもうれしいことだと思っています。
将来的に海外での活動を目指すクリエイターさんやネイリストさんがいたら、とにかく行動することをおすすめします。特にニューヨークでは、才能と自信、行動力が大切だと思います。

爪という小さなキャンバスに、さまざまなアートを表現する川尻メイさん。思わず目を奪われる彼女の独創的なネイルアートは、これからも世界中から注目を集めることだろう。

Text by 奥山 りか

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