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なぜニューエラは“首まで守る帽子”を作ったのか? サンシェード付きキャップに見る新しい暑さ対策

2026.07.06
猛暑が当たり前になりつつある今、帽子は暑さ対策のギアとしても見直されている。そんななか、ニューエラが展開するのが「9THIRTY™ サンシェード(ナインサーティ サンシェード)」である。
最大の特徴は、日差しから首を守る着脱式のサンシェードだ。なぜニューエラは、“首まで守る帽子”を作ったのか。ニューエラジャパン合同会社に、開発の背景と製品に込めた狙いを聞いた。

熱中症リスクの高まりで見直される帽子の役割

暑さはもはや真夏だけの問題ではない。ニューエラが今年4月に発表したメディア向け参考資料によると、5〜6月の熱中症による救急搬送者数は、2021年の8,861人から2025年には1万9,843人へと増加。4年間で約2.2倍に達しているという。
さらに年間の熱中症搬送者数に占める5〜6月の割合は、2025年で19.7%。つまりおよそ5人に1人が、一年のなかでいわゆる“夏本番”を迎える前に搬送されていることになる。
春の熱中症は全国的な課題に。人口10万人あたりの救急搬送者数は沖縄が最多で、鹿児島・大分・和歌山・宮崎と続く。出典:ニューエラ「春の熱中症アラートマップ 」メディア向け参考資料
こうした状況のなかで、ニューエラはあらためて帽子の役割に注目している。2026年5月に武蔵野美術大学・北徹朗教授と実施した検証では、着帽から30分後の頭部表面温度において、帽子を着用していない場合と比べて39.2℃の差が確認された。帽子をかぶることが、直射日光を受けやすい頭部を守るうえで有効であることが示されている。出典:ニューエラジャパンと武蔵野美術大学 北徹朗教授による実証実験結果(2026年5月、人毛100%マネキンおよびニューエラのキャップを用いた頭部表面温度測定)
図.実証実験開始後 7 5 分( 14:40 )のサーモグラフィ撮像
もちろん、帽子をかぶれば熱中症を防げる、という単純な話ではない。熱中症には体調や疲労度合い、水分補給などさまざまな要因が関わるからだ。しかし、直射日光を受けやすい頭部を守ることが、日常の暑さ対策において重要な意味を持つことはたしかである。
こうした帽子の役割の変化は、ニューエラのものづくりにも影響を与えている。同ブランドといえば、MLB公式選手用キャップ「59FIFTYⓇ 」を筆頭に、ストリートやファッションの文脈で語られることが多いブランドだ。
一方で近年は、アウトドアやゴルフ、キッズスポーツなど、使用シーンに応じた機能的なヘッドウエアも拡充している。帽子を暑さと日差し対策のギアとして捉える視点を強めているのだ。
1920年にニューヨークで創業したニューエラ。MLB公式キャップを手がける老舗ヘッドウエアブランドとして知られ、現在はスポーツ、ファッション、カルチャーを横断して展開する
「近年は『春=過ごしやすい』という前提が崩れ、暑さ対策が長期化・前倒し化していると認識しています。生活者の意識も、『夏になったら』から、『気温が上がる前から』へとシフトしており、ヘッドウエアも気温と紫外線に合わせた商品展開が必要です」

キャップに“首を守るため”のサンシェードを装備

そうした考え方を落とし込んだのが、「9THIRTY™ サンシェード 」である。
首元までカバーする着脱式サンシェードを備えた「9THIRTY™ サンシェード 」。3色展開。各6,050円(税込)
サンシェード付きのキャップというと、アウトドアや作業用のイメージが強い。実用性が高い一方で、日常のファッションに取り入れるには少しハードルがある。そこでニューエラが意識したのは、そうした機能性を日常にも取り入れやすいデザインに落とし込むことだった。
その鍵となるのが、サンシェードを固定式ではなく着脱式にした点である。
「屋外で強い日差しを受けるときは装着し、屋内や日差しが弱い場面では取り外して、通常のキャップとして使う。日傘のような感覚で使うことができます」
サンシェードはクリップ式になっており、スムーズに着脱できる
では、そのサンシェードはどこまでカバーできるのか。
「アウトドアのアクティビティでは、全方位から日差しを受けることが想定されます。首の後ろだけでなく、日焼け止めを塗り忘れがちな耳も含めてカバーできるように意識しています」
無防備になりがちな首の後ろから耳までも覆うサンシェードを装備
ただし、サンシェードのサイズによっては、首元にまとわりついたり、動きにくさを感じたりする可能性もある。そこで本作では着用テストを重ね、キャップに適した幅と長さを検証したという。

洗える・持ち運べる。日常使いを支える設計

扱いやすさにも工夫が凝らされている。フロントパネルには芯を入れず、バイザーにも柔らかい素材を採用した。形を崩しにくい範囲でコンパクトに扱えるため、バッグやポケットに収納しやすい。
「サンシェードは、首の後ろから耳まわりまで覆いやすい形状にしています。髪が短い人でも肌が露出しにくく、日差しを受けやすい部分をしっかりカバーできます」
フロントパネルには芯が入っていないため、折り畳むことができる
通勤や自転車移動、スポーツ観戦など、強い日差しを受ける場面は日常の中にいくつもある。かさばらずに持ち運べることで、帽子による暑さ対策を日々の習慣にしやすくなる。
素材には、帝人フロンティアが開発したSOLOTEX®(ソロテックス)と、リサイクルポリエステルECOPET®(エコペット)を組み合わせたストレッチ素材を採用した。軽く、しなやかで、シワになりにくい。さらに撥水性も備えており、小雨にも対応できる。
“洗える”ことも、夏のキャップにとって大きなアドバンテージとなる。
「このモデルはハンドウォッシャブル仕様です。夏場は、『洗濯できますか?』というお問い合わせを多くいただきます。汗をかく季節には、自宅で手洗いできることは大きな安心材料になります」
スウェットバンドには抗菌効果のあるMICROERA™(マイクロエラ)を採用した。トップボタンはプラスチック製で、錆びにくさにも配慮している。
定番のバケットハットをベースにした「バケット01 パッカブルサンシェード」もラインナップ。7,700円(税込)
ニューエラは、帽子をファッションアイテムとして定着させた代表的なブランドのひとつだ。しかし、暑さや紫外線環境が変化するなかで、帽子に求められる役割は確実に広がっている。
「我々はヘッドウエアを“自分を表現しながら、自分を守るもの”として、日常に欠かせない存在へ進化させていきたいと考えています」
「かぶりたいからかぶる」と「必要だからかぶる」をスムーズにつなぐこと。「9THIRTY™ サンシェード」は、ファッションと暑さ対策を両立するヘッドウエアの新しい形を示している。

Text by Ryota Osujo

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