

Articles
ナイキの最新レーシングモデル 「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 4」の凄さ
以降、ランニングシーンを牽引し続けているナイキから、新しいレーシングモデル「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 4(NIKE ZOOMX VAPORFLY NEXT% 4)」が登場した。
前足部が2mm厚くなりながらも、シリーズ史上最軽量を実現。フライプレートの形状も見直されたという。「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 4」(以下ヴェイパーフライ 4)は一体どんなシューズなのだろうか。
ランニングシューズの新時代を切り拓き牽引してきたシューズ
2017年にイタリアのモンツァ・サーキットで開催された「Breaking2(ブレーキング2)」。エリウド・キプチョゲ選手がナイキの厚底シューズとともに、非公認ながら当時の男子マラソンの世界記録を上回る2時間0分25秒をマーク。これを機に、長距離用ランニングシューズは、カーボンプレートを搭載した厚底シューズが主流になっていくのだが、それをリードしてきたのが、初代モデルが2017年7月に発売された「ヴェイパーフライ」である。
前作「ナイキ ヴェイパーフライ 3」の登場から約2年。「ヴェイパーフライ 4」はどのように進化したのかを掘り下げていきたい。
「ヴェイパーフライが初めて世界に披露されたのは、エリウド・キプチョゲ選手が前人未踏のフルマラソン2時間切りに挑戦したブレーキング2のとき。そこからナイキの新しいスピードシステムの歴史がスタートしました。超軽量で高反発のズームX フォームとカーボン製のフライプレート、そして一部のプロダクトには、エア ズーム ユニットを組み合わせたスピードシステムを用い、多くのアスリートたちがさまざまな新記録を打ち立ててきました。
ヴェイパーフライはオリジナルのスーパーシューズであり、その技術革新がすべてのシューズの進化を加速させてきたのです。ヴェイパーフライ4の開発でも多くのアスリートの声を聞き、すべてのランナーに最高レベルのパフォーマンスを提供するために、細部まで最適化しました」とナイキ グローバル ランニング フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒース氏。


プレートの形状が見直され推進力がさらに高まった
今回の大きなアップデートポイントは、シューズのエンジン部分、スピードシステムの改良にある。「歴代のヴェイパーフライには同じ形状のフライプレートが搭載されていましたが、今回初めて形状を見直しました。カーブの角度が少し大きくなり20度になったのですが、このアップデートによってより自然で効率的な推進をサポートし、ランナーは後押しされているような感覚が得られます。
またミッドソールは前足部が2mm厚くなり、オフセット(前足部と踵部の高低差)は8mmから6mmに。前足部のズームX フォームの厚さが増したことでエネルギーリターンが高まりました」


前足部の厚みが2mm増したにも関わらず、ヴェイパーフライ 4はシリーズ史上もっとも軽量なシューズとなっている。軽量化。これも大きなアップデートポイントと言えるだろう。
「ヴェイパーフライ 4の重量は169g(メンズ26.5cm)。前作よりも約10%軽く、初代ヴェイパーフライよりも20g軽量になっています」
カーボンプレートを搭載した厚底シューズの登場をきっかけに、2020年に世界陸連がシューズに関するルールを策定。ロード用のランニングシューズ(トラック用のルールとは異なる)には、ソールの厚さは40mm以下、プレートの搭載は1枚までといった規制が設けられている。
そのルール内でシューズを大きく進化させること、他社のシューズと差別化することはなかなか難しいように思えるが、どのようにしてヴェイパーフライを進化させているのだろうか。
「ルール内でイノベーションを起こすのが難しいのは確かですが、小さな改良がとても大きな変化に繋がるのも事実です。私たちには長くスーパーシューズを作り続けている歴史と積み重ねがあります。新しいシューズを開発する際にはアスリートの声を聞きながら、NSRL(ナイキスポーツ研究所)で取得してきた過去のデータも活用しています。
そして今まで作ってきたすべてのスーパーシューズを見通して、改良、改善を考えます。今回はプレートの角度を約3度変更しましたが、それによってまったく新しい履き心地が生まれました。ヴェイパーフライ 3は最速のシューズのひとつでしたが、ヴェイパーフライ 4は、より軽く、よりエネルギーリターンの大きなシューズとなりました」

軽量で反発性が高く足の回転を維持しやすい
足を入れてまず感じるのは高いフィット感。アッパーの設計も新しくなっており、従来モデル以上に足にやさしく馴染む印象だ。筆者の走力ではシューズのポテンシャルを引き出し切れないのだが、前作よりも扱いやすくなった印象。また、フライプレートの角度変更の効果によるものだと思われるのだが、蹴り出し時に脚を畳みやすく、ハイピッチをキープできる感覚がある。フォームを維持する体幹力、持久力があるランナーにとっては良いリズムで走り続けることができるシューズだと思われる。
すでに正月の駅伝でもヴェイパーフライ 4を履いて記録を更新した選手がいたが、今後もヴェイパーフライ 4とともに好記録をマークするアスリートが登場しそうだ。
PROFILE

エリオット・ヒース
ナイキ グローバル ランニング フットウェア プロダクト マネージャー
ナイキ ランニング フットウェアのシニア プロダクト エキスパートであり、トラック、フィールド、ロードモデルを含むナイキのレーシングポートフォリオを統括している。ナイキ フットウェアの仕事につく以前は、全米大学選抜の長距離ランナーであり、プロのナイキ ランニング アスリートだった。オレゴン州ポートランドに住み、ナイキの最高峰ランニングチームであるバウワーマン トラック クラブのコーチも務めている。
Text by Fumihito Kouzu













