

Articles
PARKS PROJECTが創り出す新しい価値観:自然環境を守ることは、お洒落でカッコいい
最近、いろいろなセレクトショップで見かけるウエアが無性に気になる。
服自体はベーシックなTシャツやスウェットだが、雄大な自然をモチーフにしたグラフィックに心惹かれるのだ。タグを見ると、「PARKS PROJECT(パークス プロジェクト)」とある。
なんでも、世界各地の国立公園をテーマにしたプロダクトを作り、その売り上げを国立公園へ寄付しているという。
一体、どこで誕生して、どんな活動をしているのか? 知りたいことすべてをNational Park Solutionsの引地央行さんに聞いた。
PROFILE

引地 央行(ひきじ てるゆき)
National Park Solutions 取締役 CMO
国立公園を軸とした事業で⽣物多様性と循環型社会を目指す企業「National Park Solutions」で、PARKS PROJECT JAPANをプロデュースするほか、国内外へ向けての国立公園のブランディングを行う。Instagram
カリフォルニアからスタートした環境保全プロジェクト
PARKS PROJECTはどこで、どのようにして始まったんですか?
2014年にアメリカで、Keith EshelmanとSevag Kazanciが立ち上げたプロジェクトです。彼らは長年、サーフィンやトレイルランといったスポーツを続けているうちに、自然環境を守り、次世代に残したい、という思いを抱くようになりました。
そこで国立公園をテーマにした商品を作って販売し、売り上げの一部を公園の運営のために寄付する活動を始めました。

なぜ、国立公園をテーマに?
国の定めた法律によって、自然環境が厳格に維持・管理されている場所だからです。私たちの理想を体現する場所であり、数ある公園の中でも最上位のコンテンツだと考えています。
国立公園の魅力を発信するのに、なぜ、ファッションという手段を選んだんですか?
私たちのミッションは、「Leave it better than you found it (訪れたときよりも、よりよい状態で残そう)」というスローガンのもと、持続可能な自然と人間の共存社会を目指し、生物多様性や環境保全の大切さを広めていくことです。
ただ、こうしたことをストレートに発信しても、なかなか人々の心には響かないんです。特にプロジェクトを次世代へ受け継ぎ、持続していくためには、若い世代を巻き込む必要がありました。
そのためには、やっぱり「カッコよさ」がものを言うんです。
もともと創設者の2人は、グローバルなスポーツブランドで働いていたこともあり、サーフィンやスノーボードといったエクストリームスポーツのデザインメソッドに通じていました。
そうした横乗り系のスポーツカルチャーに、音楽やアートのカルチャーをミックスして、お洒落でカッコいいデザインを目指しました。
2020年からは日本の国立公園も活動の対象に

日本の国立公園もモチーフにしているんですね。
アメリカの次に進出した国が日本です。日本は国土の約7割が森林資源で、かつ国土全体が海に囲まれた世界でも有数の自然大国です。にもかかわらず、日本人の自然環境への意識は決して高いとは言えません。
だからこそ、PARKS PROJECTには日本の環境を守りたいという強い思いがあり、2020年に日本でのプロジェクトがスタートしました。
日本ではどんな国立公園を対象にしていますか?
日本では1934年に国内初の国立公園が誕生し、今では35ヶ所を数えます(2025年3月時点)。これまでモチーフにしてきたのは、阿寒摩周、上信越高原、日光、富士箱根伊豆、小笠原、中部山岳、やんばる、屋久島などです。
なかでも富士山がデザインされた富士箱根伊豆と上高地(中部山岳)のものが人気です。

国立公園でのボランティア活動にも力を入れているんですね。
私たちは売上金の一部を、各地域での自然保全活動に還元する形で寄付しています。ただ、寄付金の受け入れが難しい地域の場合は、ボランティア活動を行うようにしています。
登山道の清掃や外来種生物の駆除、清掃などのボランティアイベントも定期的に開催しています。

国立公園の自然や動物を存在感のあるグラフィックで表現
どのアイテムを見ても、グラフィックが目を引きます。
コレクションはTシャツとスウェット、フリース、ナイロンアウター、その他雑貨類を展開しています。アメリカと日本の国立公園をモチーフにしたグラフィックは、いずれも公園と紐づけられたストーリーになっています。
ただ、アートやミュージック、ボードカルチャー、アメリカンヴィンテージにインスパイアされたデザインのおかげで、従来のスーベニアとはひと味違う雰囲気に仕上がっていると思います。

アーティストや他ブランドとのコラボレーションも?
今シーズンは、世界的ロックバンド、レッド・ホット・チリペッパーズとのコラボレーションによるアイテムを展開しています。彼らのPARKS PROJECTへの共感から実現したもので、CDジャケットと自然を組み合わせた特別なグラフィックがデザインされています。

これまでにも、ニューバランスやテバとのコラボアイテムをリリースしてきました。

普段使いしやすいベーシックなアイテムが多い印象です。
私たちが目指しているのは、ファッションアイテムではなく、あくまでコミュニティウエアのようなポジションなんです。ロサンゼルスに住んでいる人がドジャースのキャップをかぶるように、お気に入りの国立公園のロゴが入ったスウェットを着てほしい。それだけで地域のブランディングや環境保護に対する意思表示やステータスになると思うんです。
そのため、コレクションはスウェットやTシャツなど着こなしやすいベーシックなアイテムが中心です。
もちろん、素材や製造方法、販売にいたるまで、できるだけ環境負荷を抑えることにも努力しています。

プロジェクトのスタートから11年が経ちますが、手ごたえを感じていますか?
本国ではInstagramのフォロワーが80万人を超えたほか、B-corp認証[1]を取得するなどスケールは大きくなっています。一方で、アメリカと日本では、国立公園に対する意識にまだ差を感じます。
日本では国立公園への認知度、理解度はまだまだ低く、ボランティアなどに積極的に行動できている人は一部にすぎません。
ただ、若い世代を中心に環境への意識の高まりは感じているので、PARKS PROJECTの活動を通じて、環境への意識を高めていきたいと思います。
自然環境を大切に思い、行動することはお洒落でカッコいい。PARKS PROJECTはそんな新しい価値観を創り出し、世界へ発信している。
《註》
[1]アメリカペンシルバニア州の非営利団体B Labによる国際認証制度。厳格な評価のもと、環境や社会に配慮した公益性の高い企業にのみ認証ラベルが与えられる。
Text by Ryota Osujo

















.jpg?w=328&fm=webp)