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日本で復活した幻のアメリカブランド 「ロッキーマウンテン フェザーベッド」の“クリスティベスト”のこだわりとは

2024.11.30
1960年代後半にアメリカ・ワイオミング州で誕生した「Rocky Mountain Featherbed(ロッキーマウンテン フェザーベッド)」。一枚革のウエスタンヨークがアイコンであるダウンウエアは、カウボーイを中心に高く評価された。
 
しかし1980年代にブランドは消滅。その後2005年に日本のサーティーファイブサマーズが復活させたのをきっかけに、日本からの発信で本国アメリカをはじめ世界中で人気を獲得している。
 
ブランド復活にはどういう経緯があったのか、そしてプロダクトへのこだわりなどをブランド復活のキーマンの1人、サーティーファイブサマーズの信岡淳さんにお話を伺った。

ヴィンテージコレクションをサンプルにして再現

1980年代にブランド自体が消滅したが、2005年に世界有数のヴィンテージコレクターであり、サーティーファイブサマーズの代表である寺本欣児氏が復活させた「ロッキーマウンテン フェザーベッド」。現在では憧れのアウトドアブランドのひとつにもなっているが、復活から今までにどんな苦労があったのかを、サーティーファイブサマーズPR担当の信岡さんはこう語る。
サーティーファイブサマーズ代表である寺本欣児氏。「アナトミカ」のディレクターのピエール・フルニエ氏と親交があり、「アナトミカ」に関してはデザイナーとして参画し、日本での小売業、また世界への卸売り業を一手に引き受ける。ヴィンテージコレクターとしても有名だ
「『ロッキーマウンテン フェザーベッド』に関しては、創設者が資料を一切残していなかったので、情報はゼロでした。90年代には全く姿を見せなくなったので、きっと80年代にブランドは終了していたと思われます。
 
復刻するにあたり、とにかくヴィンテージの現物を見て作るしかなかったんです。そこでインポーターでありコレクターである当社(サーティーファイブサマーズ)の代表・寺本欣児が、長年にわたり収集してきたコレクションがサンプルとなったわけです」
 
70年代頃のスキー用品の卸売りカタログのコピー。ブランドの顔となる襟ボア付きのダウンベストである“クリスティベスト”の名前はここから判明したとか
当時、日本で輸入卸売をしていたスキーグッズのカタログと、寺本氏のコレクションの現物を解体しながら研究を重ね、2005年に完成させたファーストプロダクトは「ユナイテッド アローズ」と「ベルベルジン」とのトリプルコラボで実現させたものだったという。
 
ブランドの顔でもあるアイコニックな“クリスティベスト”。襟にボアがついているのが大きな特徴だ。77,000円(税込)
「当時のバイヤーさんも知らない方が多かったのが正直な印象です。今、2005年の最初に作ったプロダクトをみると急いで作ったということもあり、本当に恥ずかしいものです(笑)。2005年にスタートさせましたが、日本では新しいブランドとして位置づけされてました。ただ、そういう市場だったからこそ、新しくスタートできたのも事実だったんです」

生地と一枚革ヨークなどこだわりが詰まったディテール

市場に認知されるようになる転機は2007年に開発した、現在ボディに使用されているものと同じ70D(デニール)ナイロンタフタを完成させたことだった。信岡さんはこう続ける。
 
「当時、生産担当にナイロンを作っていた会社出身のスタッフがサーティーファイブサマーズに入り、オリジナルのナイロン生地開発をはじめました。オリジナルナイロンもヴィンテージを研究し、風合いを再現するために何度も試行錯誤して今の70Dのナイロンタフタに着地しました。
 
一般的に使われるナイロンよりも打ち込み本数を多くすることで高密度になり、羽の抜けを防ぎました。そして織り上がったナイロンにコーティングするのが普通の処理ですがダウンウエアを作るには通気性が必要で、コーティングは通気性が無くなり不向きです。そこで圧力と熱によって表面を滑らかにするシレー加工が施された素材なんですよ。」
2007年からボディに使われているのは適度に光沢感がある中肉の70Dナイロンタフタ。この生地を再現するのにも苦労したとのこと
実はこのナイロンを開発していた時期に、人気を博していた「デュベティカ」や「モンクレール」が採用していた本当に薄くシャイニーなナイロンが流行りでした。そのため70Dのような中肉のナイロンが生地屋から消えていたんです。時代と逆行する動きにもいろいろな面で苦労しましたね。」
 
 この70Dのナイロンタフタは高密度のためコーティングしなくても羽が抜けにくく、かつ通気度も高いのでダウン素材のように空気を含む材料には最適。コーティングしたナイロンは通気性がなくなり、中に注入したダウンが膨らまなくなるのだそう。
 
他にもこだわりはたくさんあるが、特筆すべきはシンボリックな一枚革ヨークだ。
前身頃から後ろ身頃にかけて繋がっている一枚革ヨークも大きな特徴のひとつ
「スタートした最初の頃に使用した革は、クローム鞣しを入れないヌメ革っぽい仕上げにして雰囲気を出そうと考えていました。ですが、その革だとお客様が触ると指紋のような跡がついたり、蛍光灯の光で焼けてしまったりしてクレームも来ました。そこで試したのが、クロームとタンニンをいい塩梅で配合し鞣した革だったのです
スナップボタンの開発も試行錯誤の末、このダブルニーの爪付きボタンになったそう。これもオリジナルを忠実に踏襲している
この一枚革ヨークは本国でも“ワンナッパ”と呼ばれて親しまれていたそうなのですが、生地の取り都合で、かなり贅沢な使い方をしなければならないので、コストもかかります。ボタンも爪付きで固定された回らないものを使ってダウン抜けを防いだり、本当にこだわりが詰まっているんですよ」

今後は欧州へ出店などの海外進出を見据える

今季はブランド創設から、節目である50周年を迎える年となっている。2024年秋冬の全アイテムに50周年ラベルを付けるなど特別な仕様も好評だ。
袖付きで襟にボアがついたダウンジャケットは“クリスティジャケット”と呼ばれている。これもブランドの顔として現在も大人気なのだ。104,500円(税込)
「実は『ロッキーマウンテン フェザーベッド』の節目に加え、内輪のことではありますが当社も35周年を迎えるので、ブランドの50周年を記念するプロダクトと会社の35周年を記念するアイテムがごっちゃになっています(笑)」
 
50周年を記念して、現在プロダクトには、ダウンベスト&クリスティベストで“50”を象ったなんともポップなタグがつけられている
最後に、今後の展開について信岡さんに伺ってみると、こう答えてくれた。
 
「現在は日本のみならず、本国アメリカやヨーロッパから特に好評いただいております。ロッキーマウンテン フェザーベッド直営WEBサイトでは海外シッピングも送料無料で発送しているので、海外からのお客様のオーダーが全体の8割以上になりつつあるんです。だからこそ海外のお客様に実物を見ていただく機会を増やすために海外出店も考えています。
 
ただ、海外では国ごとに小売販売のルールや常識が違うので、難しい問題はたくさんあると思います。まずは日本製のプロダクトを輸出するのか、また現地で同じ材料を調達し縫製して出すのかなどの問題でコスト感が変わってきたりと、まだまだ問題は山積です。
 
世界の皆さんに『ロッキーマウンテン フェザーベッド』を知っていただけるように動くしかないですね」
 
 
アメリカで生まれ、日本で復刻された「ロッキーマウンテン フェザーベッド」。既に海外からのオーダーが多くなりつつあるこのブランドに海外に拠点ができれば、海外でも話題になることは必然だ。こだわりが詰まった日本がリプロダクトするアイテムが海外でも爆発的な人気となるのは、もう遠い未来ではなさそうだ。

PROFILE

信岡 淳(のぶおか じゅん)

サーティーファイブサマーズ プレス
愛媛県松山市出身。高校卒業し地元の古着屋でバイトし、買い付けなどにも携わる。服飾専門学校を卒業後、レディスのOEM会社に入社し、モノ作りのイロハを学ぶ。30歳のときにサーティーファイブサマーズに入社。現在は「アナトミカ」や「ロッキーマウンテン フェザーベッド」のPRをメインに幅広く活躍中。

Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

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