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ショルダーバッグが電子レンジに? 日常的に使える“防災バッグ”「WILLCOOK(ウィルクック)」

2025.03.11
「こんな◯◯があったらいいのに……」とは、ファッション愛好家の誰もがきっと一度は思い浮かべたことのあるトピックだろう。ことさら機能面において、まるで某アニメの “ひみつ道具”のごとく、鮮烈な印象を与えるアイテムがある。それこそが、WILLTEXの “持ち運べる電子レンジバッグ”、「WILLCOOK」だ。
その実を問うに、糸一本一本が発熱する異次元の布製ヒーター「HOTOPIA(ホットピア)」を使用することで、発熱するバッグを誕生させたのだという。ここでは、そんな「WILLCOOK」にまつわる “ひみつ” をじっくりと解き明かしていこう。

とある “空想” から生まれた、驚きのバッグ

今回お話を伺った株式会社WILLTEXの代表取締役社長・上田彩花さんは、8年ほど前の寒い冬の日に、ご子息が習っていた野球のグラウンドにて、ひとつの “空想” を脳内に広げていたという。
「冬のグラウンドはとにかく寒いんです。座って見ている親はもちろん、子どもたちも体を動かす前後は寒さに身を震わせていて。その光景を見ながら、ふと『布が発熱したら暖かさを保てるのではないか』と考えたんです」
そんな想いから、上田さんは当時勤めていた電子系の会社にて、発熱する布の開発を進めていくに至った。
開発に取り組む最中、上田さんはとある展示会で、自身が理想とする発熱する布「HOTOPIA」を、三機コンシスがすでに生み出していることを知る。はたして「HOTOPIA」とはどのような素材なのだろうか。
「一言で表せば、布そのものが発熱する特殊なヒーターですね。伸縮性のあるニット構造を採用しており、繊維の一本一本が発熱する仕組みになっています。発熱する布自体は他のメーカーにもありますが、通常は布の中に電熱線が1本だけ通っている状態なので、それが切れると電気が通らなくなってしまいます。
その点HOTOPIAは繊維同士が手を繋ぐように編み込まれているので、一部が切れてしまっても発熱を継続できるのが大きな特徴です。耐久性にも優れており、普通の布と同じように洗濯や縫製をしてもまったく問題ありません」
HOTOPIA
上田さんは元上司の木村さんと株式会社WILLTEXを立ち上げ、HOTOPIAを使ったプロダクト開発に乗り出す。HOTOPIAを手軽に持ち運ぶにはどうすればよいか──社内で検討するうち、バッグに発熱機能をもたせるアイディアが出る。そして「WILLCOOK」シリーズが誕生した。

サコッシュタイプで手軽に持ち運べる定番アイテム「WILLCOOK-HO-ON(ウィルクック ホーオン)」

ここでは、WILLCOOKシリーズの定番アイテムと特に人気のアイテムを紹介したい。まず第1弾としてリリースされた「WILLCOOK-HO-ON」は、専用バッテリーを繋ぐことでたった5分で80℃に到達するという驚きの性能を備えている。温度は約40℃から約100℃まで4段階の調節ができ、電源を入れなければ、断熱綿とアルミシートの働きで保冷バッグとしても使用できる優れものだ。
専用バッテリーをバッグのポケット内部の電源に繋ぐことで加温が可能。「WILLCOOK-HO-ON」29,500円(税込)。カラーはブラック、ホワイト、ブラウン、カーキの4色展開
「『WILLCOOK-HO-ON』の内部は最大約100℃まで上がるので、熱くて触れないのではと言われることもあります。電熱線が1本の線状だと、そこに熱が集中してやけどをしてしまうことがあるのですが、HOTOPIAは繊維の一本一本が発熱するため均一に熱が伝わります。
実は均一に熱が伝わった布は、100℃でも触ることができるのです。そのため手を入れても真っ赤にやけどするといったことはありません。表地に採用した『Agunino(アグニノ)』も難燃性と断熱性に優れているので、内部の温度が上がっても、表面温度は40℃ほどまでしか上がりません」
国内外から生地を多数取り寄せ、こだわりの5層構造を実現した。難燃性と断熱性の高い表地「Agunino」、遮熱効果の高いアルミシート、保温性の高い断熱綿、HOTOPIA、汚れがつきにくいようテフロン加工が施された裏地「MU-TECH(ムーテック)」を採用

2WAY仕様で一番人気の「WILLCOOK PACKABLE(ウィルクック パッカブル)」

「WILLCOOK PACKABLE」は、その高い機能を継承しつつリュックにもトートにもなる2WAY仕様のバッグだ。「WILLCOOK-HO-ON」のヒーターよりさらに昇温スピードをアップさせ、10分で100℃まで到達するという。温度は40℃から150℃まで、4段階の調節が可能だ。
「WILLCOOK PACKABLE」29,500円(税込)。肩ベルトを収納すればトートバッグとしても使用できる。市販のモバイルバッテリーで加温が可能
「『WILLCOOK PACKABLE』は、ガジェット感のある色や素材をイメージして作りました。表地にはテントや軍事用品にも使われる『CORDURA®fabric』を採用し、軽さと耐久性を両立させています。パッカブル仕様なので、内側のポケットに折りたたんで収納も可能です」
「専用のバッテリーではなく市販のモバイルバッテリーが使用できるほか、発熱部分の生地(HOTOPIA)を本体から取り外せます。あらゆるシーンで活用できるので、性別を問わず人気の製品ですね」
発熱部分の素材を取り外し、ブランケットのように使用することもできる
ところで、WILLCOOKは高い機能性だけではなく、そのスタイリッシュなデザイン性にもこだわり抜いている。聞くと、上田さんがにこやかな表情で答えてくれた。
「やはり、普段から使えるものこそが非常時に役に立つと思っています。デイリーユースにもぴったりなアイテムにしたかったので、どちらかといえば『THE 防災アイテム』のようにはせず、ファッション性があるカラーリングやデザインを意識して作っています。どんなときにも寄り添えるようなアイテムとしてご活用いただけたらうれしいですね」
WILLCOOKは、日常時も非常時も活用できる「フェーズフリー」な製品として「フェーズフリーアワード2022 アイデア部門 オーディエンス賞」を受賞している

心にも体にも、温かさを届ける

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる。「WILLCOOK」はそんな言葉を具現化したかのような、画期的な製品である。取材の最後に、上田さんが話してくれた。
「昨年1月に発生した能登半島地震で被災された方が、余震が続くためカセットコンロを使用するのが怖いということで『WILLCOOK』を使ってくださったという声をいただきました。どんな方にも、たったひとつのスイッチを押すだけで温かさを提供できることが、わたしたちの強みです。温度を自由にコントロールし、いかなる環境下でも快適さを感じていただける製品を提供し続ける。今後も皆様に温かさを届けられるブランドでありたいです」
自然災害の多い日本だからこそ、定期的に防災アイテムの見直しは行うべきだ。その際、ぜひ「WILLCOOK」を検討してみてほしい。大切な人への贈り物として、自身のフェーズフリーなアイテムとして。その心や行動がきっと、次の温かさへ繋がるはずだから。

PROFILE

上田 彩花(うえだ あやか)

株式会社WILLTEX 代表取締役社長
神奈川県生まれ。元繊維商社勤務。当時、事務職から営業職に抜擢されたが社内の営業研修を理解できず、担当アパレルのショップに日夜通い、密かに生地の風合い・シルエット・着用感を肌で覚えた。営業先ではデザイナー・パタンナーからの体当たり、足引っ掛けなどの嫌がらせをうけながらも、翌年にはトップシェアを獲得した強者。現在は朝から家族の晩御飯まで作り、出社後は企画・開発に取り組む。

Text by 三浦 希

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