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細菌の増殖を抑え、臭いの発生を抑制する、ワークマン「エアロクラスタースラブパーカー」の開発秘話
ワークマンといえば、機能服。撥水やストレッチなど、ワークの現場で求められる機能性の高さを武器に、日本のアパレルシーンに旋風を巻き起こしている。
今回紹介する「エアロクラスタースラブパーカー」も高い機能性が魅力だが、数あるワークマンの製品のなかでも一風変わった機能を有している。「エアロクラスタースラブパーカー」の全貌について、同製品の開発に携わった株式会社ワークマン 製品開発第6部チーフバイヤー 仲野雄一朗さんに、ワークマン公式アンバサダーである山田耕史が話を伺った。
カーテンが着想源となった機能服
山田耕史(以下、山田)「エアロクラスター」シリーズはどういった機能の製品なのでしょうか?
仲野雄一朗(以下、仲野)繊維上の花粉やダニの排泄物由来のタンパク質を低減するという機能です。
山田他のワークマン製品とはまったく違う機能ですね。どういったところから企画が始まったのでしょうか。
仲野「エアロクラスター」シリーズが始まったのは2023年春夏シーズンです。それまで、ワークマンには抗菌機能を謳った製品はありましたが、花粉やダニをテーマにしたものはありませんでした。
山田発売当初の売れ行きはいかがでしたか?
仲野非常に好評で、全アイテム売り切れになりました。
山田具体的に、どういった方法で服に機能を与えているのですか?
仲野製品によって違うのですが、「エアロクラスターハイジップフーディ」や「エアロクラスタールームウェア」などには、V-CATという加工を施しています。
酸化チタンに光が当たることで光触媒性を発揮し、繊維上の花粉やダニの排泄物に由来するタンパク質を低減させます。また、繊維上の細菌の増殖を抑え、臭いの発生を抑制します。


仲野そして、「エアロクラスタースラブパーカー」にはRepur SWEPTという特殊加工を施しています。
こちらは、銀イオンを使用した特殊加工が繊維上の花粉やダニの排泄物に由来するタンパク質を低減させます。また、繊維上の細菌の増殖を抑え、臭いの発生を抑制します。

仲野製品の下げ札に掲載しているイラストを見ていただくと、わかりやすいかもしれません。あくまでもイメージですが、花粉やダニの排泄物に由来するタンパク質には、左のイラストのようにトゲトゲが付いています。薬剤を生地に塗布することで、このトゲトゲを右のイラストのように丸くする、というような感じです。
生地に付着した花粉やダニの排泄物を落としやすくする加工は割とポピュラーなのですが、「エアロクラスター」シリーズのようにタンパク質自体を低減する機能を備えた衣服は、自分の知る限りほとんどないと思います。

仲野実は、「エアロクラスター」シリーズの着想源はカーテンなんです。花粉やダニの排泄物に由来するタンパク質を低減する薬剤を塗布したカーテンがあることを知って、衣服にもその薬剤が使えないかと考えたんです。空気清浄機のフィルターなどにも使われている薬剤なんですが、その薬剤を服に使えるようにするのは、かなり大変でした。
衣服はカーテンとは違い、人間の肌に密着します。そうすると、薬剤が人体に何かしらの影響を与える可能性が高くなるんです。ですので、塗布する薬剤の分量は、薬剤メーカーと一緒に入念に調整しました。

山田こういった機能の製品は、その性能をアピールするのが難しいと聞きます。
仲野花粉やダニの死骸の減退率については、第三者機関できちんとエビデンスを取っていますが、その効果を薬機法で定められた範囲内で、どうやってお客様に下げ札や店頭POPでお伝えするかは、かなり模索しました。
今の表現方法が100点満点ではないと思うので、この辺りはまだまだ改善していきたいですね。
ワークマンらしさを残したデザイン
山田機能だけでなく、デザインも他のワークマン製品とは一風変わっているようです。
仲野ワークマン製品は、ワークを起点にアウトドアやスポーツなど、着用していただくシーンが多彩になっていますが、この「エアロクラスター」シリーズはガーデニングのときなどにも着用していただきたいと思い、シンプルなデザインを心がけました。
老若男女を問わず、誰でも普段着としてデイリーに着ていただけるスタンダードなアイテムに仕上がったと思います。


仲野とはいえ、やはりワークマンらしさは必要だと考えたので、ガーデニングのときも重宝するハンマーループをワークマンの象徴として残しています。

仲野また、虫隠しというフロントのジップを覆う部分は、ジップが見えないようにすることで、花粉やホコリなどができるだけ入り込まないようにしています。


山田「エアロクラスタースラブパーカー」の売れ行きはいかがでしょう?

仲野同製品を初めて発売したのは2024年春夏シーズンでしたが、そのときは生産分は完売しました。2025年春夏シーズンでは、2024年の1.5倍の量を用意していますが、現時点(取材時の3月上旬)で去年と同じかそれ以上の売れ行きです。

山田今後、開発してみたい製品などはありますか?
仲野「エアロクラスター」シリーズのような薬剤を塗布する生地は、ワークマンが得意とする撥水加工とは相性が悪いんです。ですので、他のさまざまな機能と両立ができるような方法を模索していきたいですね。
山田個人的には、抗菌機能を備えたレインウエアや折り畳み傘があったらいいなと思います。レインウエアって使った後そのままにしておくと臭ってきたりするので、臭わないレインウエアがあったらうれしいです。
仲野「臭わないレインウエア」は、面白いかもしれません。検討してみます。
PROFILE

仲野 雄一朗(なかの ゆういちろう)
株式会社ワークマン 製品開発第6部チーフバイヤー
PROFILE

山田 耕史(やまだ こうじ)
ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)




















