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レインウエアの常識を覆す! ワークマン「XShelter超透放湿ジャケット」
ワークマンが2024年に発表した、独自開発の新素材「XShelter」。「外部環境を無効化する」という、これまでの衣料の常識を覆す驚異的な機能が話題を呼び、同素材を採用した2024年秋冬製品は完売が相次いだ。
そんな「XShelter」を搭載したワークマン製品が、2025年春夏でも展開されている。今回はそのひとつである「XShelter超透放湿ジャケット」について、株式会社ワークマン製品開発部第1部長の中野登仁さんに、ワークマン公式アンバサダーである山田耕史がお話を伺った。
ワークマンのレインウエア進化の歴史
山田耕史(以下、山田)2025年春夏の「XShelter」は、「超透放湿」と「暑熱」の2つのシリーズが展開されていますね。「超透放湿」シリーズは防水性に加え、高い透湿性と吸放湿性が特徴。つまり、レインウエアの進化系と言えるアイテムだと思います。
まずは「XShelter」誕生に至るまでのワークマンのレインウエアの歴史を教えてください。


中野登仁(以下、中野)以前のワークマンで取り扱っていたレインウエアは、いわゆる「かっぱ」がほとんどで、その目的は雨や汚れから身を守ることでした。素材はビニールが大半で、高価格の製品ですら、ビニール生地の裏にメッシュ地が用いられていたくらいです。
当たり前の話ですが、レインウエアを使うのは雨のときですよね。雨で湿度が高いなか、過酷な現場作業でビニール素材のかっぱを着ていると、蒸れてしまってかっぱの下に着ている服が汗でビチャビチャになってしまうんです。
その頃によく、お客様から「かっぱから水漏れする」という声をいただいていたのですが、実はそれは雨水ではなくてお客様ご自身の汗だった、というケースが多かったんです。

山田どういったきっかけで透湿性を重視するようになったのでしょうか。
中野ワークマンプラスの展開をきっかけにワーカー以外のお客様が増え、アウトドアをはじめとしたさまざまなアクティビティでワークマンのウエアを着ていただくようになりました。そのタイミングで、アウトドアウエアで重視されている透湿性を強く認識するようになったんです。
冬場、体が汗でぬれた状態でいると低体温症になってしまう危険性があるので、透湿性はアウトドアシーンだけでなく、ワークシーンでも重要です。とはいえ、一般的なアウトドアブランドの透湿ウエアのような価格だと、ワークシーンで着用することは難しいので、ワークマンならではの価格での製品化にチャレンジしました。
山田防水透湿素材は、ゴア社のゴアテックスがその代名詞的存在になっていますが、その頃は他社の防水透湿素材はあったのでしょうか?
中野その頃はゴアテックスのほかに、知名度が高いところでは東レのエントラントという素材があったくらいでした。今はアウトドアブランドをはじめとした多くの会社が独自の防水透湿素材を打ち出しているので、隔世の感がありますね。
「透湿」と「放湿」をミックスした新発想の素材
山田秋冬製品を紹介した以前の記事では「断熱」という視点で「XShelter」について説明していただきましたが、春夏向けの製品の場合「XShelter」はどういったイメージなのでしょうか?
中野「XShelter」は家に使われている断熱材からインスピレーションを受け、「外部環境から身を守る」というコンセプトで開発しました。外が雨でも風でも、暑くても寒くても、家の中にいると快適ですよね。そんな家のような機能を服で実現させることが目標です。
「XShelter超透放湿」シリーズは、雨を防いだうえで、湿度をコントロールすることに挑戦しました。「XShelter超透放湿ジャケット」では、70,000g/m2/24hという非常に高い透湿度を実現させました。
山田 70,000g/m2/24hという透湿度は、本格的なアウトドアウエアでもなかなか聞かない数値です。どのような技術を用いたのでしょうか。
中野「透湿」と「放湿」という2つの機能を織り交ぜることで、実現させました。おおまかに説明すると、透湿はフィルムに開けた穴で蒸れをダイレクトに通気させること、そして放湿は蒸れをフィルムに吸着させて蒸発させる、というイメージです。
私の知る限り、他社さんを含めこういった仕組みを用いた素材はこれまでなかったと思います。それに加え、当然レインウエアとしての防水性も確保しなければなりません。このバランスを取るのが大変でした。
山田70,000g/m2/24hという透湿度は具体的にどれくらいの効果があるものですか?
中野単純計算で1時間で3リットルの汗をかいても問題ない、というくらいの数値です。これはこれでちょっとイメージしづらいかもしれませんが(笑)。また、「XShelter」は日本赤十字看護大学附属害救護研究所と連携しており、実際の災害時に着用していただいたときのレビューをフィードバックさせています。
「ウエアをつくって終わり」ではなく、命の危険性がある現場でより良い環境づくりができるように、今後もアップデートを重ねていきます。

山田製品の具体的な特徴を教えてください。
中野2025年春夏の「XShelter超透放湿ジャケット」は、2つのモデルを展開します。こちらはオーシャンモデル。釣りをするときに便利な仕様を取り入れています。

中野背中には、さまざまなグッズを収納できる大きめのポケットのほか、網などを引っかけられるD管と、反射材を付けています。


中野袖口の面ファスナーは薄型のタイプを採用し、針が引っかかりにくくなっています。

中野立体的な袖のパターンを採用することで、腕を上げ下げしやすくなっています。ツイストしているようなかなり特徴的なつくりになっているので、ぴたっと平置きすることができないんです(笑)。

中野場所によって、2層と3層の生地を使い分けています。背中と袖下、脇下に用いた2層の生地は透湿度が70,000g/m2/24h、耐水圧が10,000mmで、フードと肩、前身頃、袖上に用いた3層の生地は、裏地が肌離れが良いトリコット生地で、透湿度が50,000g/m2/24h、耐水圧が20,000mmです。

中野こちらは登山などのアウトドアを意識したトレックモデルです。

中野最大の特徴は脇下の大きなベンチレーションです。

中野また、フロントファスナーの下にスナップボタンを設けており、ファスナーを開けたままでもフロントを固定できるようになっています。

中野オーシャン、トレック両モデル共通で、フードはダイヤル式でフィット感を自在に調節できるようにしているほか、フロントファスナーの引き手は緊急時に役立つホイッスルになっています。


山田かなり凝ったディテールと仕様ですが、これらの製品はワークマンの一般的なワークウエアと同じ工場で縫製されているのでしょうか?
中野複雑な工程が多いので、アウトドアウエア専門の工場にお願いしています。製造コストは上がってしまいますが、他の工場ではできない専門的な技術を持っていますから。
たとえば、裾や袖口の部分は生地の重なりが増えると動きづらくなったり、生地にアタリが出てしまったりするので、縫製ではなく圧着で仕上げています。

山田圧着は時間が経つと剥がれてしまいませんか?
中野第三者機関に試験を依頼し、社内規定の回数以上洗濯を繰り返しても耐えられるようにしています。
山田スペック的には70,000g/m2/24hという高い数値を実現させましたが、今後「超透放湿」シリーズで目指していることなどはありますか?
中野確かに高いスペックではありますが、服単体として考えた場合、こういうシェルではなくTシャツ一枚だけのほうが楽ですよね。ですので、もっと軽くてもっと薄い服をつくりたいですね。
山田個人的に、高い防水性と透湿性を備えた生地で靴下をつくってもらいたいです。サンダルだろうが、スニーカーだろうが、どんな靴を履いていても、その靴下を履いていれば絶対に足はぬれないし、蒸れないという靴下が欲しいです。
中野「XShelter」を使った靴下は考えていませんでしたが、面白いですね。検討してみましょう。
PROFILE

中野 登仁(なかの のぶひと)
株式会社 ワークマン製品開発部第1部長
PROFILE

山田 耕史(やまだ こうじ)
ファッションアナリスト/ワークマン公式アンバサダー
「山田耕史のファッションブログ」を中心にフリーランスとして活動。著書に『結局、男の服は普通がいい 世界一かんたん、一生使えるオシャレの方程式』(KADOKAWA)
















