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着けた方が涼しい、は本当だった! ヤケーヌが実現した「−3℃」の遮熱アームカバーの機能とは
日焼け防止専用フェイスカバーとして確固たる地位を築いた「ヤケーヌ」。その開発元である株式会社丸福繊維は、長年にわたり、農作業現場の紫外線対策として信頼されてきた実績をもとに、日焼け対策で悩むユーザーの最後の砦として支持を集めてきた。
今回、同社はフェイスカバーで培ったノウハウを注ぎ込んだアームカバーのリニューアルを敢行した。その背景には、単なる機能向上だけではない、製造現場における課題解決と「ヤケーヌ」というブランドとしてのプライドがあった。そこで同社代表の村瀬智之さんに取材を行い、リニューアルの全貌と、同社が目指す紫外線対策の未来を聞いてきた。
PROFILE

村瀬 智之(むらせ ともゆき)
1980年 株式会社丸福繊維 代表取締役(3代目)
2008年 株式会社丸福繊維 入社
2016年 株式会社丸福繊維 代表取締役就任
フェイスカバーから全身の保護へ

今ではフェイスカバーの代名詞として定着した「ヤケーヌ」。昨年私たちが取材をしたときから、街中でフェイスカバーを見かける光景が増えてきた。だが同社が掲げるミッションは、「日焼け防止」という課題に対し、あらゆる部位で「ヤケーヌ」の安心感を提供することだという。
その一環として展開されてきたのが「アームカバー」だった。フェイスカバーと同素材を使用し、高いUVカット率と快適性を両立させたこの製品は、知る人ぞ知るアイテムとして徐々に支持を広げてきた。特に昨年の夏、SNSでの拡散をきっかけに爆発的な注目を集め、短期間で市場から姿を消した。
ところがその成功の裏で、開発チームは1つの大きな課題に直面していた。それが、製品の根幹に関わる資材調達の問題である。今回のアームカバーのリニューアルは、機能追加に加えて、安定した品質を永続的に提供するためでもあった。

製造現場の試練と仕様変更の決断
リニューアルの直接的な契機となったのは、ベトナムの生産拠点で発生した資材調達の困難さだった。旧モデルで使用されていた「ストレッチバインダー」という部材の調達が難航し、品質の安定化が危ぶまれる事態となったのだ。ストレッチバインダーは、生地の縁取りに使用される伸縮性のあるテープ状の資材である。これがなければ製品として成立せず、品質が安定しなければ「ヤケーヌ」の名を冠して世に出すことはできない。開発チームは半年という短い期間の中で、設計レベルから見直しを迫られた。
そこで下された決断は、調達が不安定なストレッチバインダーの使用を取りやめ、本体と同じ生地で縁取りを行う仕様への変更だった。ヤケーヌの生地は、洗濯を繰り返してもUVカット率が低下せず、高い遮熱効果を持つ高機能素材である。この生地を縁取りにも採用することで、肌当たりの柔らかさを向上させつつ、製品全体での品質統一を図ることが可能となった。
「お客様に長く使っていただく上で、一定の品質で安定供給ができることは非常に重要です」と村瀬さんは語る。「ヤケーヌ」ブランドとして、クオリティの担保はなによりも優先されるべきものなのだ。
“MかLか分からない”を終わらせる。フリーサイズ化の狙い

資材変更という課題を解決する過程で、サイズ展開の見直しとパターンの刷新も図られた。旧モデルではMとLの2サイズを展開していたが、多くの顧客から「どちらを選べばよいか分からない」という声が寄せられていたという。
アームカバーにおけるサイズ選びは、締め付け感や長さの好みも関わるため、通販などでは特に判断が難しい。そこで今回のリニューアルでは、サイズを統合し「フリーサイズ」のみの展開へと舵を切った。
もちろん単にサイズを統一しただけではない。パターンを根本から見直し、フリーサイズであっても美しいシルエットを保ち、かつ機能性を損なわない設計を追求した。
特に注力されたのが、親指周りの形状である。ヤケーヌのアームカバーは、手の甲まで覆う形を採用しているが、旧モデルでは指を通すアーチ部分に生地の余りやダボつきが生じることがあった。
今回のリニューアルではこの部分のカット形状を微調整し、手の甲に沿うようなフィット感を実現している。ループに指を通しても生地がヒラヒラと遊ばず、作業やスポーツの際にも邪魔にならないよう配慮されている。

また、アームカバーの宿命とも言える「ずり落ち」と「締め付け」のバランスについても、社内での検証とモニターによるテストが繰り返された。ゴムの太さやストッパーの形状など、数多くの組み合わせを試した結果、最終的には旧モデルの仕様が最適解であるという結論に至ったという。変えるべきところは変え、変える必要のない優れた部分は維持する。この冷静な判断こそが、リニューアルの質を高めているのだ。

遮熱と冷感を実現する素材技術の粋
ヤケーヌのアームカバーが支持される最大の理由は、その圧倒的な機能性にある。使用されている素材は、糸に酸化チタンを練り込んだ特殊なフルダル糸を用いたものだ。このチタンが紫外線を物理的に反射・散乱させることで、半永久的なUVカット効果を実現している。さらに特筆すべきは、その遮熱効果である。一般的なポリエステル素材と比較して、内側の温度が約-3度になるという試験結果が出ている。猛暑が当たり前となった現代の夏において、アームカバーを装着するとより暑いのでは? と思われがちだが、「ヤケーヌ」の場合は直射日光を遮り、かつ素材自体の遮熱効果によって、素肌をさらすよりも涼しく感じられるのだ。
また、今回のアームカバーには、通常ラインとは別に「ブラックレーベル」というハイエンドラインも用意されている。「最高の素材と最高のUVカット率」をコンセプトに掲げており、UVカット率99.9%を誇る特別な生地が使用されている。

黒い生地だと熱を吸収しやすいのではとの懸念もあるが、ブラックレーベルの素材は編み方を工夫して接触冷感性を高めている。肌への接触面積を調整し、高いUVカット率による安心感と、着用時の涼しさを両立させることができた。実際に着用したユーザーからは、黒色でありながら涼しさを感じるという声が多く寄せられているという。
「ファッション性」と決別した機能特化の美学
アームカバー市場には、レース素材や装飾を施したファッション性の高い商品も数多く存在する。だが、ヤケーヌのアームカバーは、そうしたトレンドとは一線を画す。そこには「ファッション性よりも機能を優先する」という明確なブランド哲学があるからだ。
「今の気候変動を考えると、日焼け対策はもはや美容のためだけでなく、健康を守るための必須事項になっています。中途半端にファッション性を追求して機能が落ちるくらいなら、徹底的に機能を追求すべきだというのが我々の考えです」と村瀬さんは強調する。
かつては、重装備な日焼け対策が奇異な目で見られることもあった。しかし、生命の危険を感じるほどの猛暑が続く昨今、「なりふり構わず守る」ことが正義となりつつあるなかで、ヤケーヌの仕様は、むしろ現代の必需品として受け入れられている。
無理にファッションアイテムとして訴えるのではなく、機能を極めることで生まれる「機能美」。それこそが、ヤケーヌが多くのユーザーから信頼される理由だろう。結果としてその潔い姿勢が、「ヤケーヌなら間違いない」というブランドへの信頼へと繋がっている。
全身防護ブランドの未来図

今回のアームカバーのリニューアルと並行して、同社は「UVカットパーカー」の展開も開始した。テスト販売的な位置づけであったにもかかわらず、発売直後に予想を上回る反響を呼び、急遽再販が決定するほどの人気を博している。これは、ユーザーが「顔」だけでなく「全身」の保護をヤケーヌに求めていることの表れだろう。
村瀬さんは今後の展望について、帽子などのヘッドウエア展開も視野に入れていると語る。頭頂部から顔、腕、そして上半身まで。ヤケーヌが提供する安心感は、身体のあらゆる部位へと広がりを見せようとしている。
資材調達の危機を乗り越え、より使いやすく、より高品質に生まれ変わったヤケーヌのアームカバー。その進化の過程には、製造者としての誠実さと、ユーザーの健康を守り抜くという強い意志が刻まれていた。今年の夏も記録的な暑さが予想されるなか、この進化したアイテムは、多くの人々にとって手放せない存在となるはずだ。














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