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2023.07.12

自由でストレスフリーな計測ができる ワコールの「3D smart & try」が下着選びを変える

人は自分自身のからだのサイズを完全に把握しているだろうか。特に、インナーウェアのサイズはなかなか知ることができないものだ。
そこで今回、驚くべき革新を遂げたワコールの独自開発、3D計測サービス「3D smart & try(スマート アンド トライ)」を紹介したい。このサービスを利用することで、自分自身のからだを立体的に把握することができるというのだ。「3D smart & try」について、同社の高山さんにその魅力を語ってもらった。
PROFILE|プロフィール
高山 達
高山 達

株式会社ワコール マーケティング本部イノベーション戦略室 室長

1988年、岡山県生まれ。株式会社ワコール マーケティング本部イノベーション戦略室 室長。関西学院大学商学部卒業後、2010年にワコール入社。
入社後10年間、社内IT部門にて社内SEとして、SCMや基幹システム、またITインフラ等、幅広くシステム業務を経験。
2020年、総合企画室イノベーション事業推進部に異動。2023年4月から現職。

一人ひとりに合わせたインナーウェアの購買体験を提供

「3D smart & try」は2019年5月より開始された、ワコールが独自に開発した3D計測サービスである。 
このサービスでは、3Dボディスキャナーを用いて3秒でからだをセルフ計測し、計測結果に基づきインナーウェアサイズや全身18ヶ所の採寸データ、体型特徴、おすすめブランドを知ることができる。2023年4月末時点で、約17万人の利用者がいると報告されている。
5月には、ワコールが運用する公式アプリ「WACOAL CARNET(ワコールカルネ)」と連動し、3Dボディデータをはじめとする計測データを顧客自身のスマートフォンでいつでもどこでも確認できるとともに、過去の計測データ[1]との比較や体型特徴の解説、おすすめアイテムも見られるようになった[2]
同社では、チャネルの垣根を越えて顧客と直接的につながることで、顧客が望む方法で商品やサービスを提供していくために、2016年から独自のDX戦略をスタート。その取り組みのひとつとして、「3D smart & try」の開発に着手した。
「これまでの下着売り場での採寸は、裸に近い状態で行われるのが当たり前でした。『初対面の販売スタッフと個室で二人きりになり採寸されるのは、お客様にとってストレスではないか?』『現在の体験でお客様に満足いただけるのか?』と考えたのが開発の最初のきっかけです。
それに加え、下着購買時に対面接客を求める人、販売スタッフとは会話せず一人で見たい人、接客をしてほしいタイミングで自分から声を掛けたい人など、さまざまなニーズがあることに着目し、一人ひとりに合わせたインナーウェアの購買体験を提供したいと考えました。」
「3D smart & try」は、顧客視点の発想でインナーウェアならではの対面接客のストレスに着目し、顧客体験をアップデート。これまで販売スタッフが手で行っていた顧客の採寸をデジタル化し、「よりストレスフリーに、より自由な」計測の提供をスタートした。
「このサービスはセルフかつ短時間でご自身のからだのサイズを知ることができ、自分に合ったインナーウェアをお選びいただけます。
従来のブラジャーの購入には、販売スタッフにサイズを計測してもらい、丁寧なコミュニケーションをしながら自分にぴったりのブラジャーを見つけていただくというメリットがある一方で、先ほどお伝えしたような、接客を必要とせずセルフで購入したいというニーズもありました。
このニーズにおいて、3Dボディスキャナーを使えば3秒という短時間で計測可能で、よりストレスフリーに自分に合ったブラジャーを選べるようになり、お客様の望むスタイルに合わせた購入体験の選択肢が広がりました。」
また、計測結果には平均値や比較等を出さない点や、リクエストシートを採用することで、自ら接客の有無を選べるようになっているのもこのサービスの特徴だ。

3ヶ月ごとの定期計測がおすすめ

「3D smart & try」で取得できるデータは主に4つ。
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