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2023.04.26

日本の伝統と現代性が融合した「AirJapan」の制服-オンワード商事が手掛けたデザインとは

2024年2月から就航を控えている、ANAグループの新しい国際線航空ブランド「AirJapan」。「ANA」「Peach」に次ぐANAグループ第3の航空ブランドで、日本人のみならずアジアを中心とした訪日旅行客をターゲットに、日本らしい発想や品質をブランドコンセプトにしている。機内スタッフが着用する制服もそのひとつだ。
AirJapanの初代制服はオンワード商事株式会社が製作している。そこで今回は、同社のデザイナーの安ヶ平悠里さんにその製作背景について話を聞いていく。
PROFILE|プロフィール
安ヶ平 悠里

オンワード商事株式会社 デザイナー
2014年に新卒でオンワード商事に入社。
化粧品業界、宝飾業界、サービス業界、金融業界などさまざまな業界で多数の企業ユニフォームのデザインを手掛ける。

多様な人材の活躍を目的に作られた制服

オンワード商事株式会社はアパレル関連事業、ライフスタイル関連事業を営むオンワードグループにおいて、BtoB領域の事業を展開している。「ヒトと地球(ホシ)の、明日(あした)の笑顔をデザインしつづける。」をパーパスに掲げ、顧客企業のユニフォームや販促品の製作を手掛けるなど、ファッションを切り口に顧客企業の課題解決に取り組んでいる。
そんな同社が、この度AirJapanの初代制服の製作を担当した。新ブランドのコンセプトやブランドカラーなどをAirJapanからのプレゼンテーションを通して確認し、それらの要件にあったデザインを提案し、製作に至ったという。
制服のデザインコンセプトは「移り変わる空の 美しいグラデーション」「優しく差す 太陽の光」「旅に寄り添う 日本の心からのおもてなし」の3つ。
この制服のコンセプトには、旅をするお客様にそっと寄り添い、記憶の一部となるような制服にしたいという気持ちが込められているという。
「『Fly Thoughtful』というAirJapanのブランドコンセプトに基づき、ブランドを象徴する藍色や曙色を使用し、『Comfort&Care』心地よい暖かさ、『Trust&Thoughtfulness』信頼と思いやりを視覚的に表現しています。ボーダレスなデザインは、当初よりAirJapan様のご要望としてお伺いしていました。」
デザイン、パターン、仕様等、制服に関わるすべてにおいて客室乗務員が自分らしく、自由な着こなしを楽しむことができることをモットーに、性別などを問わないボーダレスな制服、またAirJapanからの要件にあったシェアできる制服を目指した。そのため、シルエットの追求や、袖やパンツの丈調節機能などの目に見えない部分にも細かい工夫を凝らした制服にデザインされている。
「AirJapan様のブランドカラーである藍色と曙色を印象的に表現するために、染め始めの藍白、染めを繰り返した濃藍をベースカラーとしました。また、日本の伝統『結び』と 『重ね』をデザインに取り入れ、日本のおもてなしの心を表現。お客様とのご縁や思いやりを表現した『結び』はブランドカラーの帯ベルトで、空の色が変わりゆく様、自然が美しく重なる様を表現した『重ね』はジャケットの襟やスカートの裾、トップスの前見頃と袖口に取り入れています。」
左:「結び」のディテールを表現した帯ベルト、右:「重ね」のディテールを表現したスカートの裾
左:「結び」のディテールを表現した帯ベルト、右:「重ね」のディテールを表現したスカートの裾
安ヶ平さんはこれまで化粧品業界、宝飾業界、サービス業界、金融業界などさまざまな業界における多数の企業ユニフォームのデザインを手掛けてきた。昔から飛行機や空港が好きで、いつか客室乗務員の制服をデザインしたいと密かに思い描いていた夢が、AirJapanの制服のデザインを通じて叶ったという。
また、制服には原料の一部に植物由来のものを使用するだけでなく、必要数だけを生産し、在庫を抑えることで「衣服ロス問題」にも対応。さらに、ジャケットやボトムスの一部をシェアアイテムとすることで、使用する資源を最小限に抑えつつ、客室乗務員が気分に合わせて制服を選ぶことができる。
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#Sustainability
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