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2023.01.19

音楽のための技術と想いはどう活きる? 「オーテックキャンプ」の実力を探る

2022年の6月にデビューした「オーテックキャンプ」は、あのオーディオテクニカが手がけるキャンプギアブランド。イヤホンやスピーカー、レコードプレイヤーなどのオーディオ機器で有名なメーカーがなぜ? そんな疑問とともに話題となった新進気鋭のブランドだが、プロダクトを見てみると実に緻密に設計されていて、革新的なギミックに溢れていることがわかってくる。
これまで最高の音を通して感動体験を届けてきた同社が、新規事業で届けるのはアウトドア体験を通じた感動。今回は「オーテックキャンプ」の発起人である廣水樹さんに、ブランドに託した想いとプロダクトの魅力についてインタビュー。同ブランドの成り立ちから今後の展望まで語っていただいた。

オーディオテクニカが誇る精密技術を、生活を彩るキャンプギアに落とし込む

2022年に創業60周年を迎えた、日本が誇る音響機器メーカー「オーディオテクニカ」。私たち一般消費者からすれば、ヘッドホンやイヤホンなど日常的に使われるものから、プロユースのマイクや音響機材、さらにはアナログオーディオ製品まで幅広く商品を展開している会社というイメージがある。しかし実は、食品加工機器も手がけていることはあまり知られていない。
「オーディオテクニカ内に特機部という部署があり、食品加工機器や産業用クリーニング機器など、オーディオ以外の特殊な機械を作っています。
なかでも『オーテック』というブランドではお寿司を握るロボットなどを製造開発していて、あまり世間一般的には知られていませんが、シャリ玉を製造する機械のメーカーとしては世界でもトップクラスのシェアを誇っているんです」と、同社の特機部・オーテックキャンプ担当の廣水さん。
もともとは「オーテック」のすしロボットなどの設計をしていたという廣さんだが、キャンプに対する情熱とアイデアとともに、今ではオーテックキャンプ専任の担当に。製品企画からブランディング、広報までマルチに担当している。
「オーディオテクニカの柱は様々な精密機械を作る技術力。それを活かしながら、自分たちが情熱を注ぎ込んで、なおかつユーザーの皆さんに喜んでいただけるものを作りたいと思い立ち、昨年誕生したのが『オーテックキャンプ』なんです。
この新規事業の企画を立案したのは、キャンプ好きの私ともう一人の先輩。最初はプロジェクト単位の小さな動きだったのですが、音響の設計者やデザイナーも巻き込み、ブランドを立ち上げるまでになりました」

機能性・収納性・耐久性を追求した美しいアウトドアブランドを目指して

キャンプが広く親しまれ、すでに数多くのキャンプギアが世の中にある中、見方によれば後発にも見える「オーテックキャンプ」だが、どの製品にも独自性があり、他社のヒット商品をまねて開発されたものではないことが伝わってくる。
「いつか音響に絡んだ製品も作りたいと考えていますが、現状は『変わった音を奏でる焚き火台』などではなく(笑)、まずは実直に、アウトドアファンの方に認めていただけるような使い勝手の良い製品を作っています」
そう廣さんも語る通り、デビュー時点のラインナップは焚き火台が二種類とコーヒードリッパーで、第二弾として焚き火ライフをサポートする二種のアイテムを追加。いずれも持ち前の高い金属加工技術を感じさせるステンレス製のギアで、機能性、収納性、耐久性を重視しながら、彼らのアイデンティティを感じさせる意匠に落とし込んだ。

最高のアウトドアコーヒーを実現するドリッパー

DRIPRO (ドリプロ)価格:7,700円(税込)
DRIPRO (ドリプロ)価格:7,700円(税込)
展開中のアイテムの中でも廣さんが特に思い入れがあるのが「ブランドの企画段階で一番に思いつき、真っ先に図面を描いた」と語る、「ドリプロ」というコーヒードリッパーだ。
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