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2024.02.21

衣料廃棄品を水素化するプロジェクト「バイオテックワークスエイチツー」とは:BIOTECHWORKS-H2

有限会社やまぎんの子会社である株式会社BIOTECHWORKS-H2が、廃棄物のほとんどを再生可能エネルギーに変換し、サーキュラーエコノミーの実現を試みる「バイオテックワークスエイチツー」事業に取り組んでいる。
同社は、その第1弾プロジェクトとして、今年4月から商品回収時のCO2削減量を、商品販売前から可視化する「環境貢献度の表示サービス “REBORN” by BIOTECHWORKS-H2」をスタートすると発表した。
そこで今回、同社の代表を務める西川明秀さんに、「バイオテックワークスエイチツー」事業の概要や、環境貢献度の表示サービス、今後の展開などについて伺った。

「グレーゾーンのないサーキュラーエコノミー」を目指す

はじめに、貴社の概要について教えてください。
有限会社やまぎんは、2000年創業でアパレルのODM・OEM、生地開発などを手掛けている会社です。そのなかで、SDGsという言葉がない2012年からリサイクル素材に取り組み、リサイクルコットンやリサイクルナイロンの開発も行っています。
2023年には同社が開発した「ZERO-TEX」を使用した「ZERO-TEX Bi-Colour Over-Shirt」がヨーロッパ最大級のスポーツウェアの展示会ISPOで「ISPO Textrends Award Top Products」を受賞しました。
こうした取り組みと並行して、子会社である弊社バイオテックワークスでは、グレーゾーンのないサーキュラーエコノミーを目指しています。ヨーロッパではグリーンウォッシュの規制強化をはじめ、表面的ではないサステナビリティの推進に注目が集まっています。そうした流れを踏まえて、私も本当の意味でのカーボンニュートラルを構築したいと考えました。
具体的には、廃棄衣料品を水素にして、それを再生可能エネルギーにするプロジェクトに取り組んでいます。将来的には、衣料品だけでなく、廃棄物すべてを再生可能エネルギーに変えて、燃料として活用していくことを目指しています。

「燃やさず」に廃棄衣料品を水素化

廃棄衣料品を水素化するのは、具体的にどのような仕組みになっているのでしょうか。
まずは企業や個人から廃棄衣料品を集めて、私たちの倉庫に送っていただきます。その後、私たちは廃棄衣料品の量を正しく計測して、水素化したうえで、再生可能エネルギーに変換します。さらにこの回収によってCO2削減がどれだけできたかを数値化します。そして、このデータをエビデンスとしてきちんと提供するというのが、一連のサイクルとなります。
廃棄衣料品を水素化するプラントの仕組みですが、特徴は「燃やさない」点にあります。現在の廃棄物処理の課題として、燃やしてしまうことでCO2を大量に排出していることが挙げられます。そこで、弊社のプラントは「次世代のガス化」処理を行うことで、燃やす場合と比べてCO2を約80%削減することができます。また、衣服のボタンなど、付属品もそのままプラントで処理できます。
さらに、排出されたCO2に関しても、すべて回収して販売できます。このように、ゴミを出さずにサーキュラーエコノミーを実現させ、リジェネレーション(再生)を実現することが、私たちのプロジェクトです。
現在、アメリカのプラント企業と契約し、カリフォルニアで高さ15メートルほどのプロトタイプのプラントを使用し概念実証を行っております。そして、今年の末から来年にかけてマレーシアで本格的なプラントの建設を予定しています。日本でも、2026年の稼働を目指しています。

「環境貢献度の表示サービス REBORN」をスタート

プラントの稼働に先駆けて、4月から実施予定の「環境貢献度の表示サービス」について教えてください。
アパレル製品の販売前に、商品回収後のCO2削減量を見える化するサービスになります。具体的には、製品のラベルにQRコードをつけ、それを読み取っていただくことで、私たちの専用サイトでCO2削減量を確認できるという仕組みです。
ここで見える化されるCO2削減量は、弊社のプラントで処理した場合を想定した数値となり、各製品の素材をもとに計算するシステムとなっています。
ラベルとしてQRコードをつけるだけなので、販売側は既存の製品すべて、あるいは一部商品のみに付与するなど、柔軟な対応が可能です。
これにより、販売側は具体的な削減量を購入者側に示すことができます。
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