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2022.06.06

ビジネスウェアに快適さをもたらすREON POCKET 3

日本の夏は湿度が高く、じめっとした暑さで不快な思いをしている人が多いだろう。特にビジネスウェアを着る人にとっては、いかに快適な服装を取り入れるかが永遠の課題としてある。この状況をテクノロジーによって解決しようと立ち上がったのが、ソニーグループ株式会社のREON事業室だ。
新たに開発された「REON POCKET 3(レオンポケット)」は小型の冷温機器で、年間を通じて快適なウェア環境をもたらしてくれる。今回、REON事業室の統括課長である伊藤健二さんとマーケティング担当の居山知紗さんに、REON POCKET 3の特徴とその活用について伺った。

自動で温度調整をするウェアラブルデバイス

片手に収まるほどの大きさしかない「REON POCKET 3」。一見すると新たなスマートフォンのようにも見えるが、これは体表面を直接冷やしたり温めたりすることのできるウェアラブルデバイスだ。第3世代になり、大幅な進化を遂げている。
新たに開発されたサーモモジュールと放熱機構によって、従来比※1最大約2倍※2の駆動時間と最大約1.5倍※3の吸熱性能を実現した。さらに、本体搭載のセンサーにより、冷温部の状態やユーザーの行動を検知して、好みの温度を持続させる「SMART COOL MODE(スマートクールモード)」機能を新たに搭載するなど、ハードの進化だけでなく使い勝手も大幅に進化したとのこと。
これまで多くの企業がウェアラブルデバイスを発表してきたが、「REON POCKET 3」は温度調整を可能にするという、まったく新しい体験をもたらしてくれる。だからといって、複雑な操作は一切必要ない。搭載されている「SMART COOL MODE」によって、個人の好みに合わせて冷却温度を自動調整できるだけでなく、脱着の動作を感知することで冷却・温熱を自動で開始・停止する機能も備わっている。
「幅広い服装で、意識することなく長く使い続けて頂けるためのコンパクトさ・目立ちにくさがREON POCKETの強みです。対応アイテムである専用ネックバンドや専用ビジネスシャツ、専用インナーウェアも、REON POCKETの冷却機能をいかに発揮しながら生活に溶け込む着用方法を実現するかを軸に設計しました」と伊藤さんは語る。
もちろん、細かい設定を行いたいという利用者のニーズにも応えており、専用アプリではSMART COOL MODE(冷却の自動調整モード)以外にも、マニュアルで好きな温度レベルを選べるCOOL(冷却モード)とWARM(温熱モード)や、好きな動作時間を指定するMY MODEなどが搭載されている。このことからも、徹底して快適性を追求したことが窺える。
この商品の開発エピソードを紹介しよう。伊藤さんが出張で中国・上海に行った際、暑さに驚愕したことがきっかけだった。当時、現地の気温は38℃という猛暑である一方、ホテルでは空調が効きすぎていたこともあり、体調を崩す懸念だけでなく地球温暖化への不安も感じたとのこと。そこから「未来のためにテクノロジーを使って課題を解決できないか」と考え始めることになる。
帰国してから、すぐさま現在の「REON POCKET 3」のベースとなるウェアラブルの小型温冷機器のプロトタイプに着手した。「屋外での冷感の付与だけでなく、屋内では空調に対する依存を少しでも減らし、省エネに貢献したいというビジョンのもと、プロジェクトを開始しました」という信念があった。
制作された「REON POCKET」は、当初クラウドファンディングで販売された。ここには明確な戦略があった。いわゆるアンケートとは異なり、クラウドファンディングならば購入者は実際にお金を払うことになる。それゆえ、精度の高い市場ニーズを把握することができ、より利用者の要望に合わせた商品を開発することができる。
実際、この狙いは大成功した。温暖化が進むなかで、パーソナルに温度をコントロールできるという、これまでにありそうでなかったウェアラブルデバイスということもあり、6日で目標金額6600万円を達成、4200台を完売し、市場から高い評価を得ることができたとのこと。購入者からは「ビジネスシーンだけでなく、ゴルフやレジャーで使いたい」といった感想が国内外から寄せられ、今後のビジネス展開の弾みとなったと伊藤さんは振り返った。
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#Wearable Device
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