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2022.09.21

オンラインリセール市場を席巻してきた StockX(ストック エックス)が実店舗オープンで見据える未来

スニーカーにおけるオンラインの世界最大リセール市場で、確固たる地位を築いてきたStockX(ストック エックス)。7月にニューヨーク、香港、ロンドンに続く、常設ストア「StockX Tokyo ドロップオフ&ストア」をオープンした。いま日本にオープンした理由や狙いを、StockXジャパンの責任者であるシニア ディレクター、デュイ・ドーン氏に話を聞いた。

原宿はスニーカーとストリートカルチャーの結びつきが強い街

 現在、二次流通の市場規模はスニーカーだけでも100億ドルに達しているといわれる[1]。しかも2030年には、スニーカーとストリートウェアの世界のリセール市場が約300億ドル規模になるとも予想され[2]、盛り上がりを見せている。そのなかでレアなアイテムが適正価格で手に入ると、ユーザーから支持を得ているのが「StockX(ストック エックス)」だ。
2016年にアメリカのデトロイトで設立された同社は、当時のオンラインコミュニティーにおいて、個人間での取引が信頼性に欠ける状況だっため、それを解決すべく誕生した。
StockXジャパンのシニアディレクターであるデュイ・ドーン氏はこう語る。
StockXジャパンのオフィスの机の中には、お馴染みのタグが収納されている。この光景は圧巻だ
StockXジャパンのオフィスの机の中には、お馴染みのタグが収納されている。この光景は圧巻だ
「オンラインマーケットで取引されるアイテムが、まるで株などの資産のように取り引きされるイメージを投影するために『Stock』というワードを使いました。スニーカーにこだわらず、色々なアイテムを取り引きして欲しいという願いから『StockX』と名づけました」
設立以後、世界規模で確固たる地位を築いてきたのは周知のとおりだが、オンライン市場だけにとどまらず、StockXが仕掛けたのは、実店舗(ストア)の展開だった。ロンドンでの期間限定ストア、そしてニューヨーク、香港に続く、3店舗目の常設店として2022年7月、原宿に「StockX Tokyo ドロップオフ&ストア」をオープンさせたのは記憶に新しいだろう。
「実店舗をオープンさせた各都市が、StockXにとってとても重要な意味を持っています。ニューヨークはアメリカにおけるストリートカルチャーの聖地で、スニーカーはもちろんファッションでも欠かせない場所。しかもヒップホップカルチャーなどが生まれた場所でもあるので、ここは外せませんでした。ロンドンは欧州におけるファッションと音楽の中心地で、香港もトレーディングという面でアジアのハブ(集約点)になっているという要素が強かったですね。
今回、日本にストアをオープンさせましたが、東京というより“原宿”に展開したかったのは、世界に向けてストリートカルチャーを発信してきた歴史があり、スニーカーとストリートカルチャーが密接に結びついている都市だったから、原宿にこだわりたかったのです」
ショップのオープン時に発売されたStockXとBlackEyePatch(ブラックアイパッチ)と、ニートTOKYOのトリプルコラボTシャツ。プリントによっては人気のため即完売だった(参考商品)
ショップのオープン時に発売されたStockXとBlackEyePatch(ブラックアイパッチ)と、ニートTOKYOのトリプルコラボTシャツ。プリントによっては人気のため即完売だった(参考商品)

商品のキュレーションによってさまざまなカルチャーを発信する

 StockXは日本のスニーカー市場をどう分析しているのだろうか。
「日本市場を見ていて特徴的だなと思うのは、スニーカーだけに限らず、コラボや限定品に人気があるという部分ですね。例えばシュプリームとエミリオ・プッチとのコラボアイテムでいうと、ベルリンや香港、ロサンゼルス、ソウルといった世界の重要都市と比べても、日本は9倍も多く取り引きされているというデータが出ています。コラボというレア商品に関して感度の高さは際立っていますね。自分もコラボアイテムに関してはアンテナを張っているので例外ではありませんが……(笑)」
とデュイ・ドーン氏は笑う。
今年7月にオープンした「StockX Tokyo ドロップオフ&ストア」は、他にはないショップ体験ができるそうだ。彼はこう言葉を続ける。
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