made in FRANCEのボートネックボーダーシャツと聞くと、いくつか思い浮かぶものがあるかと思う。そのどれにも歴史とそれぞれのルーツがあるブランドばかりだが、今回は1938年創業の「
ARMOR LUX(アルモ リュクス) 」を紹介したい。定番の安心感と追求された着心地に迫り、ブランドの奥深さを
株式会社リーミルズエージェンシー ARMOR LUX統括部 部長の仲本 真一郎さんにお話を伺った。
ブルターニュ地方で生まれたブルトンシャツ 「ARMOR LUXはブルターニュ地方で生まれたブランドです。フランスの北西部の半島で大西洋に面し、対岸には、イギリスがあります。もともとは肌着のファクトリーとして創業し、そこからARMOR LUXというファクトリーオリジナルブランドが始まります。他のフランスブランドのボートネックボーダーシャツと同様に、当時は漁師の服として愛用されていました。創業者はスイスのエンジニアにして実業家のWalter Hubacher(ウオルター・ヒュバッシャー)という人物です」
創業者のWalter Hubacher氏 年代不明だがブランドで保管される古い社屋 の写真 現在のARMOR LUX社屋
他のマリンウエアブランドとの関係性 いま“漁師の服”というキーワードが出たが、フランスの漁師服の基本型が、ボートネックボーダーシャツだったということのようだ。フランスのブランドでボートネックボーダーシャツというと「SAINT JAMES(セント ジェームス)」、「Le Minor(ル ミノア)」、「ORCIVAL(オーシバル)」などいくつか名ブランドがあるが、ARMOR LUXと他ブランドには、どのような関係性が見られるのだろう。「今、名前があがったブランドの中ですと、どのブランドも歴史があるので諸説あると思うのですが、SAINT JAMESが一番古くからあるブランドだと思います。それ以外のブランドでも1930年代からあるといわれており、この4社中、ORCIVALだけ内陸のエリアで始まったブランドで、あとの3社はエリアも近く、同じ漁師の服を作っていたので、同じようなルーツを持つのだと考えられます」
ARMOR LUX始まりのかたち ブランドとボートネックボーダーシャツの成り立ちがわかったところで、ここからはアイテムについてお話を伺っていこう。「クラシックブルトンシャツ ロングスリーブというアイテムで、これがブランドの始まりのかたちになります。カラーも定番のみのホワイト/リッチネイビーとホワイト/ロイヤルブルーの2色展開で、今もなお定番としているアイテムのひとつです」
さらなるスタンダード、ブルトンシャツ 続いて、定番中の定番と呼ばれるアイテムを見てもらいたい。ブルトンシャツと呼ばれるボートネックボーダーシャツだ。定番アイテムにこそ、詰め込まれたこだわりをお話しいただこう。「このモデルのことをバスクシャツと呼ばれる方がよくいらっしゃいますが、由来はフランスのバスク地方発祥だからです。一方ARMOR LUXのこの定番シャツはブルターニュ地方で作られているのでブルトンシャツというネーミングになっています。
ARMOR LUX全般にいえることなのですが、一番の特徴としては肌触りが柔らかいというところです。ブランドを問わず、ボートネックボーダーシャツというと硬いコットンでゴワっとした肌触りをイメージされる方が多いようで、触ったほとんどの方が『思ったより柔らかいですね』と言われます。
繊維の長い綿を使うことで糸にする際にあまりよらなくても良いので綿本来の柔らかさをもった製品を作ることができ、ARMOR LUXの製品はニットのような柔らかい風合いのカットソー生地になっております。また、10年以上前からオーガニックコットンを使用しております」
昔の編み機と縫製工場の様子 現在の編み機と縫製工場の様子 オリジナルで作られている柔らかな肌ざわりの生地