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2023.08.15

マルチクリエイター・紅林大空が語る、デコラファッションから広がるクリエイティブな未来

90年代後半、原宿を中心に路上スナップ写真や雑誌で注目を浴びたデコラファッションが、今新たにストリートで再注目をされ始めている。
デコラファッションとは、カラフルな色使いの洋服やメイク、キッチュなアクセサリーをたくさん身につけたスタイルだ。当初のデコラファッションは、その派手な装いからメディアの注目を浴びたのもあり、奇抜な印象が強かった。
しかし2010年代に入ると、デコラファッションはただの若者のカルチャーとしてだけではなく、日本を代表とするポップカルチャー・「Kawaii(カワイイ)カルチャー」として評価され、新たな局面を迎えた。
90年代の終盤にストリートに現れ、2010年代以降も時代とともに受け継がれたデコラファッションだが、現在はどのようなスタイルに変化しているのだろうか?
今回は2010年代の原宿系雑誌『KERA』で絶大な人気を誇り、また2010年代のデコラファッションを牽引した紅林大空さんに、当時の原宿と現在のデコラファッションのシーンについて話を伺ってみた。
PROFILE|プロフィール
紅林 大空(くればやし はるか)

2009年より原宿系雑誌「KERA」のモデルとして活躍。ファッションや音楽、動画クリエイターとして KAWAIIカルチャーを世界に向けて発信中。
2015年以後は世界中のKAWAIIカルチャー関連イベントへのゲスト出演をメインに活動。
2018年より海外研究者によるKAWAIIファッションについての研究・論文製作に共同研究者として携わる。
SNSで海外からの人気を獲得し、日本人として初めて米Instagram公式アカウントから2度のインタビューを受けるなど海外人気の高いKAWAIIアイコンのひとり。

X(旧:Twitter)

1990年代後半の原宿と2010年代の原宿

私は90年代後半原宿カルチャーのど真ん中世代なのですが、私から見ても紅林さんが雑誌に登場した時は凄く衝撃的で「新しさ」がありました。ちょうどその頃の原宿もまだ賑わっていましたが、2010年代の原宿やデコラファッションはどのような雰囲気でしたか?
私の感覚としては2010年代に突入すると、個人がTwitter(現・X)などSNSを本格的に使い始めた頃だったので、それで新しいファッションが街に出てきた時代でもありましたね。
まだSNSをあまり使ってない世代にも雑誌から広がり、ファッションにいい意味で追い風が吹いた年かなと思っています。またその頃には「ホコ天」がすでになくて、原宿カルチャーの発信が「ホコ天」から「竹下通り」に移り変わっていった印象がありますね。
私の所感になってしまいますが、90年代後半のデコラファッションはヴィヴィアン・ウエストウッドやインディーズブランドを積極的に取り入れた装いや、赤やピンクをメインに取り入れたイチゴのような配色が多かった印象です。
2010年代の原宿ファッションは90年代とは違う形で古着やハンドメイドがもっと盛んになってきたような気がします。デコラファッションも古着を組み合わせたり、またハンドメイドでリメイクしたりするのが主流になってきた頃だったという記憶があります
全体的に振り返ると、2010年代はどのような時代でしたか?
2010年代は読者モデルがもう全盛期で。2000年頃はカリスマショップ店員とカリスマ美容師がメインのファッションアイコンで、その次に「読モ」という職業が浸透してきて、みんなが「読モ」になりたい!と盛り上がってきた時代です。
この頃の「読モ」は今で言うと、インフルエンサーみたいな存在でしたが、当時はInstagramやtikitokもない時代ですので「読モ」になりたいけど「読モ」のなり方が分からない…というのが今とは違うところだと思います。
紅林さんが、デコラファッションを始めた経緯や背景はなんですか?
実はデコラファッションに象徴されるような、いっぱい物をつけるスタイルを始めたのは結構遅いんですよ。
私が始めたのは22〜23歳の頃からですね。それまでは、派手な服を着たり、古着をリメイクしたりして自分で作った物を着るのが好きでした。『Zipper』や『KERA』などの雑誌の影響もありましたが、当時は「ふみコミュ!」という若い女の子たちに人気のサイトがあって、そこで情報交換をしたり、スナップ写真を見たりしていましたね。
当時はガラケーの時代でしたが、ネット機能があったのでちょうどコミュニティサイトが乱立した時代です。デコラファッションとの出会いもそこからですね。
あの頃は「魔法のiランド」や「前略プロフィール」とか、コミュニティサイトがたくさんありましたね。またいろんな人がブログを始めてみたり、フリー素材屋さんから古着モデルさんの切り抜きとかをダウンロードして、自分でホームページ作って軽くコーディングできるのが当たり前の世代でもありました。雑誌とネットの両方で情報収集をしていましたね。
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