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2023.10.31

“今までとこれから”を紡ぐ TANAKA(タナカ)が考える長く愛される服とは?

2017年に“今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服”というブランドコンセプトのもとニューヨークを拠点に立ち上げたTANAKA(タナカ)。環境に配慮したモノづくりや日本の伝統的な技術を取り入れつつ、デザインとサステナビリティの両立を目指す、TANAKAのデザイナーであり、ファウンダーでもあるタナカサヨリさんに、同ブランドが考える長く愛される服について伺ってきた。

必然だったニューヨークを拠点としたブランド立ち上げ

洋画家であり、着物のテキスタイルデザイナーだった父の影響から服に興味を持ち始めたというタナカさん。服に目覚めたきっかけについてこう語る。
「実家の離れに父のアトリエがありました。そこには絵画の画集やテキスタイルに関する資料などがたくさんあり、それらを見ているうちに、漠然とアートやファッションに興味を持ち始め、物心ついた頃から服が好きになっていました」
新潟という自然豊かな地で生まれたことや、祖父が造園家だったことも多大な影響を与えている。
「実家の庭は祖父の仕事柄、日本庭園で使う大きな石や植物がたくさんありましたし、新潟の空の色や自然や四季の豊かさなどを感じることで培ったのは、自然に勝る美しいものはないということでした」
自身の高校生のときには裏原宿に代表されるストリートブランドが全盛の時代ということもあり、それらに影響を受けつつも、古着の奥深さにも感化された。また服飾専門学校時代には国内のデザイナーズブランドはもちろん、ヨーロッパのデザイナーズにも目を向けるようになる。
生産が日本ベースということもあり、頻繁に日本とニューヨークを行き来しているというタナカさん。世界からも注目されるデザイナーでもある
生産が日本ベースということもあり、頻繁に日本とニューヨークを行き来しているというタナカさん。世界からも注目されるデザイナーでもある
「専門学校卒業後は、『Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)』に入り、モノづくりをはじめさまざまな経験をして服のクオリティに関する基準値の高さを身につけたと思います。その後、転職して『UNIQLO(ユニクロ)』には10年以上在籍し、最後はウィメンズのデザインリーダー的な立場でグローバルに全体をまとめる仕事もさせてもらいました。この時期に東京だけでなく、上海やニューヨークのオフィスも経験したことで、刺激的なニューヨークの街がすごく好きになりました」
インスピレーションの宝庫でもあり、個人主義、そしてボーダーレス、ジェンダーレスな感覚を培ったニューヨーク。この地でブランドを立ち上げることは自然の成り行きだった。

ヴィンテージウエアに感化された“これからの100年”

自身の名前でなく、苗字をブランド名にしたのは、やはり特別な想いがあったようだ。ブランド名の由来についても、タナカさんはこう語ってくれた。
「図らずも自分の感覚を養わせてくれた、父や祖父といった自分のファミリーにリスペクトがあって、デザイナーズブランドのように自分のフルネームというよりも苗字(ファミリーネーム)にこだわりたいという想いがありました。また“タナカ”という名前は日本でも多い名前なので、海外に出たときにそれが日本人のブランドというのがわかりやすいですし、ファッションにおける“トヨタ”や“ホンダ”といったブランドを目指したいという思いはありました」
ブランドコンセプトでもある“今までの100年とこれからの100年を紡ぐ服”にはどういった意図があるのだろうか。
「自分が昔からヴィンテージウエアを好きで着ているというのは大きいですね。また、これだけたくさんの商品がある世の中で、自分がブランドをやるとなったときに“新しくものを生み出す”ということについていろいろと考えました。やはり、ヴィンテージウエアのように今後に繋がっていく服でないとやる意味がないという思いの表れでもあります」
TANAKAはデニムがアイコニックなアイテムになっているが、デザインをする上でどういった想いを込めているのだろう。それに関してもタナカさんはこう答えてくれた。
「ヴィンテージといった古き良きもの、そしてワークウェアやユニフォーム、民族衣装のような昔からのルーツがあるものをベースとした服づくりを意識しています。やはり先人が作ってきた服は用途、機能、ディテール、シルエット、生地など、それぞれにしっかり意味があるのものが多いですが、そういったものを残しつつも、TANAKAとしてそれを次の100年にどうアップデートしていくかを考えながらデザインしています。もちろん今後は、そのプロセスを踏襲しつつも全く新しい別の切り口も考えてデザインに取り組んでいきます」
2023年の秋冬は“TO LIVE(生きる)”というテーマのもと、コレクションを展開。その中のおすすめアイテムをピックアップしてもらった。
ブランドのシグネチャーデニムでもあるTHE STRAIGHT JEAN TROUSERSも箔加工が入ったクレージーパターンに。普遍的なストレートシルエットで日本製のプレミアムセルビッジデニムを使用し、セルビッジには片側が赤ミミで、もう片側がインディゴミミという面白�いディテールも。46,200円(税込)
ブランドのシグネチャーデニムでもあるTHE STRAIGHT JEAN TROUSERSも箔加工が入ったクレージーパターンに。普遍的なストレートシルエットで日本製のプレミアムセルビッジデニムを使用し、セルビッジには片側が赤ミミで、もう片側がインディゴミミという面白いディテールも。46,200円(税込)
表地はホワイトの薄い素材で作られたダウンジャケット。裏側はダウンが透けるようなオーガンジー素材で玉虫色になっているリバーシブル仕様。パッカブルタイプなので、ストラップをつければ持ち運びも可能。95,700円(税込)
表地はホワイトの薄い素材で作られたダウンジャケット。裏側はダウンが透けるようなオーガンジー素材で玉虫色になっているリバーシブル仕様。パッカブルタイプなので、ストラップをつければ持ち運びも可能。95,700円(税込)
軍パンの上�からはく、オーバーパンツから着想を得たイージーパンツ。リラックス感のあるシルエットも特徴ながら、バックスタイルにはボンデージパンツのようなジップが配置され、自在にシルエットが変えられる。ベルベット調の素材感も上品な印象に。51,700円(税込)
軍パンの上からはく、オーバーパンツから着想を得たイージーパンツ。リラックス感のあるシルエットも特徴ながら、バックスタイルにはボンデージパンツのようなジップが配置され、自在にシルエットが変えられる。ベルベット調の素材感も上品な印象に。51,700円(税込)
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