Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2022.12.09

ファッション業界とテクノロジー業界をナビゲートする、Web3企業「BNV」が目指すメタバースのあり方

近年、ファッション業界ではメタバースなど様々なテクノロジーの導入が相次いでいる。そのなかで、今年のパリ・ファッションウィークにおいて、ジャン=ポール・ゴルチエの弟子として知られる気鋭のデザイナー、Victor Weinsanto(ヴィクトル・ウェインサント)と、K-POPの女性グループ「LIGHTSUM」とコラボしたNFTを発表して話題を呼んだのが、2016年に創業したBNV(Brand New Vision)社だ。
前回の記事では、BNV社のCEO&FounderであるRichard Hobbs(リチャード・ホッブス)さんに、パリ・ファッションウィークにおけるコラボの裏側やアジア市場について聞いたが、引き続き今回も同社の取り組みや、ファッション業界におけるテクノロジー活用について聞いた。

ファッション業界の人間が創出するメタバース

御社は3Dプロダクトの作成、トークン化、ローンチ、コミュニティ構築、メタバースに対応したウェアラビリティまで扱っていますが、創業のバックグラウンドについて教えてください。
まず私たちは、何よりもファッション企業です。私自身もこれまでストリートウェアと呼ばれるデニム商品を主に扱ってきましたが、小売、流通、製造、調達、ライセンス、その他あらゆるファッション業界のさまざまな側面を長年にわたって経験しています。
従来のアパレルビジネスは、コストと時間がかかり、無駄や損失が大きいものでした。それらを改善しようと2016年に立ち上げたのがBNV社です。ファッション業界にテクノロジーをどう応用するかを検討するために、さまざまな分野の調査を開始しました。
調査により、どのようなことがわかったのでしょうか。
2018年に3Dプロダクトを作成しようと調査をした際、それがこの数年で大きく進歩していることに気づきました。主にゲームの世界から多くのインプットがあったためです。
AAAタイトル(莫大なリソースで製作されたゲーム)を作るために使われていたツール、その一部が変容し、あるいはベンチマークとして使われて、アパレルやスニーカー、アクセサリーを本物とほとんど区別がつかないように再現する、本当に優れた方法を作り出していたのです。
適切なライティング(照明)と環境でレンダリングされれば、それがデジタルであることさえ分からないほどです。さらにゲームエンジンには物理マテリアルというものがあり、風になびいたり、動きに合わせて動いたり、体に貼り付けたりするだけでなく、アニメーション的な要素もあり、それがひとつの魅力になっていました。
ブロックチェーンやNFTを活用されていますが、その点についてはいかがですか。
ブロックチェーン技術や分散型台帳技術について、当初は最終的に製造される商品の出所を確保するための方法として、サプライチェーンや工場とメーカー、輸入業者との関係などを調べました。
やがて、それをブロックチェーンにのせれば、その商品がどこから来たのか、きちんと作られたものなのか、さらに持続可能性やサプライチェーンの倫理に関わる信頼性を証明できる可能性もあると見込んだのです。
また、NFTは数年前から存在していましたが、我々もそれが単に何かをデジタル化するだけでなく、実際に価値を与え、意味を持たせることができるものだと確信しました。未来のある時点で、人々がデジタルワードローブを持つようになるだろうという信念からです。
人々はデジタルワードローブを持つことで、実際の洋服とつながったり、つながらなかったり、予測可能なものから空想的なものまで、さまざまな洋服を手にすることができるようになる。つまり自分で身につける機会のある、ブロックチェーンで保護された自分の持ち物がデジタルワードローブなのです。
1 / 3 ページ
#3DCG
この記事をシェアする