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2024.03.08

キノコ菌から作った人工レザーがラグジュアリーブランドとコラボ 持続可能な素材開発の先駆者BOLT THREADSとは?

近年では、ファッション業界が直面する環境問題や動物の倫理的扱いを求める声の高まりから、リアルファーやリアルレザーを見かける機会が減ってきている。それらを使用しているラグジュアリーブランドがファッションショーを行うと、会場外では動物愛護団体が抗議を行う姿が見られるなど、以前に比べてこういった問題に対する姿勢が強まってきているように感じる。
ラグジュアリーブランドの中でも、以前からリアルファーやリアルレザーを一切使用していないのが「ステラ マッカートニー」だ。20年ほど前はそういったブランドがほとんどなかったため、驚いたことを覚えている。今ではエコファーやヴィーガンレザーは、“安価なもの”ではなく、“地球にいいもの”、“クールなもの”として捉えられているのではないだろうか。時代は常に変化し続けている。
今回インタビューを行ったサンフランシスコ発のスタートアップ企業「BOLT THREADS(ボルトスレッズ)」は、キノコの菌糸体由来の新素材「Mylo™(マイロ)」を開発した企業として話題を呼んでいる。同素材は「ステラ マッカートニー」をはじめ「アディダス」や「ケリング」、「ルルレモン」など、世界中の大手企業とコラボレーションし、注目を集めている。
動物由来のレザーの代替素材として注目を集めるマッシュルームレザーについて、ダン・ウィドマイヤーことボルトスレッズ共同創業者兼CEOに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
ダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)
ダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)

BOLT THREADS 共同創業者兼CEO

持続可能な素材で人類の未来を創造する

まずは、ボルトスレッズを設立した経緯と理由を教えてください。
ボルトスレッズは、持続可能な素材に対する社会的なニーズに応えるために設立された革新的な会社です。人類と社会は過去2000年以上ものあいだ、地球上で繁栄を収めてきました。しかし、世界人口80億人突破と中間層の増加は、地球の天然資源維持能力に大きな課題を突きつけています。未来の世代のためにどのような世界を残すべきか、私たちは真剣に考えなければなりません。
ボルトスレッズは、人類の未来のために、すべての人々が繁栄できるような活気に満ちた多様な世界を残したいという理念に基づいて設立されました。そのためには、大気中の炭素から日々の生活で使用する素材に至るまで、環境問題を解決する必要があります。
ルルレモンのヨガマットからルブタンの靴まで、私たちが日常使用するすべての製品には、素材の製造過程、使用、廃棄に関するストーリーが存在します。
Mylo™を使った「ルルレモン」のヨガマット
Mylo™を使った「ルルレモン」のヨガマット
Mylo™を使った「ルルレモン」のバッグ
Mylo™を使った「ルルレモン」のバッグ
ボルトスレッズは、日用品に使用される素材に対する新たな需要と、バイオマテリアル分野の技術を融合させることで、革新的な技術を生み出しました。より良い素材を生み出すことによって、21世紀の人類が直面する課題のひとつである、より良い世界を作ることに貢献できると信じています。
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#Sustainability
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