2020年5月、ポーラ・オルビスグループのビューティー事業として
株式会社encyclo(エンサイクロ)が誕生した。同社は、「すべての人の、美しくありたい想いを解放する。」というミッションを掲げている。
コロナ禍による生活様式の変化や健康への関心の高まりにより、在宅時間の増加や運動不足からくる「むくみ」の問題が2020年から増加傾向にある。特に、がん治療後の後遺症である「リンパ浮腫」のケア用品には、使用する人の視点が十分に反映されていないことに課題感を抱いた同社は、医療用のストッキングの開発・販売をスタートした。
今回、同社の取締役である齋藤さんに、この企業の背後にあるストーリーを伺った。
PROFILE|プロフィール
齋藤 明子(さいとう あきこ)
株式会社encyclo 共同創業者/取締役
東京生まれ。
自動車、建築、IT、マスコミなど、複数社を経験し、2003年に株式会社ポーラに入社。人事、IR、CSRでキャリアを積む。関連会社のマーケティング担当 取締役も経験。
2018年株式会社ポーラにて がん治療と就労の両立支援策などを盛り込んだ「がん共生プログラム」を立ち上げ、が ん治療後のQOL向上に課題を見出す。
あきらめなくて良い選択肢を提供
まず、encycloが立ち上がった経緯について教えてください。
立ち上げメンバーである水田と私は異なる経緯から「がん治療後も自分らしく生きる」ことに関心を持っておりまして、社内のベンチャー制度に応募し、選考を経て事業化が承認されました。私は、長らくポーラ・オルビスグループという美を提供する企業に在籍するなか、美とは何だろうか、と深く考えることが多かったのです。
年齢を重ねるにつれ、「美」の深淵と多様性に気づき、多くのメーカーが提供する美が画一的であり、多くの人が取り残されていることに気づきました。