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2021.11.19

誰でもバーチャルファッションをデザイン可能に 「The Fabricant Studio」

オランダ、アムステルダムを拠点に活動するThe Fabricant(ザ・ファブリカント)は世界初のデジタルファッションハウスである。昨年当社がベータローンチした「LEELA*」は、今年秋に「The Fabricant Studio(ザ・ファブリカント・スタジオ)」として生まれ変わり、本格ローンチされた。このプラットフォームは、誰でもアクセス可能なバーチャルファッションデザインを行え、その服はメタバース空間で着用できるという点から、現在ファッション業界、クリプト界隈を初めに世界中で注目を集めている。今回、コンテンツと戦略の責任者であるMichaela Larosse(ミカエラ・ラロッセ)に当プラットフォームについて、インタビューを行った。

ファッションにおける創造と民主化に向けて

前回のインタビューを経て、「The Fabricant Studio」はこれまでの活動とどのようにつながっているのでしょうか。
前回のインタビューの直後に、プラットフォームのベータテストを行いました。ちょうどパンデミックで多くの人が室内で時間を過ごしていたこともあり、ベータテストでは沢山の素晴らしいフィードバックを得ました。当初から、バーチャル空間での自分のアイデンティティの表現を手助けしたいと構想していました。そして、時間を経てその仕組みは少しずつ進化してきました。
例えば、当初は自分のアバターを作成することが目的でしたが、さらに重要な表現の進化が必要だと考えました。それが現在の「The Fabricant Studio」の焦点となる、メタバースのワードローブを作ることです。なぜならメタバースはインターネットの次の段階、つまり没入型のインターネットになり、誰もが何らかの形で自分を表現するデジタルツインやアバターを持つことになります。 メタバースにおいては取引を始めとした、あらゆることができるようになると言われていますが、私たちはその際に、デジタルの自分に服を着せる必要があると考えています。
つまりそこでのデジタルファッションとは、私たちのアイデンティティをデジタル空間で表現するための手段であり、大きなコミュニケーションツールとなります。ですから、「The Fabricant Studio」はメタバースのためのデジタルファッションを制作・着用する場としていきたいと考えているのです。
「The Fabricant Studio」はどのようなことを可能にしていくのでしょうか。
私たちは、ファッションにおける創造の民主化に重要性を感じています。そしてこれは、私たちThe Fabricantにとっても重要な価値観です。
デジタルファッションの未だ若い歴史を振り返って考えてみると、デジタルファッションを作成するためには、CLO3Dのようなソフトウェアを使用しなければならないという、ユーザーにとっての苦痛がありました。ツールを使いこなすにはかなりの知識が必要であり、さらに自分の脳内にあるアイデアを表現する完璧な服を制作できるようになるには相当な時間を要します。私たちは、クリエイティブな能力を持って自分の服を作りたいと思っているのに、作ることが叶わない人々がいることに気づきました。そこで「The Fabricant Studio」では、誰でもどこでもデジタルファッションを共同制作し、それをプラットフォーム上で取引したり着用したりすることができる、これまでの状況を打破するための手段を提供することにしたのです。

ユーザーの声を取り入れたプラットフォームの仕様

「The Fabricant Studio」の仕組みについて教えてください。
現状の仕組みでは、世界中のアーティストや3Dアーティスト、さらに私たちのコラボレーションブランドがまず、まっさらなマスター・ガーメントをプラットフォーム上にドロップします。その後、私たちがコー・クリエーターと呼ぶユーザーによって、マスター・ガーメントがカスタマイズされます。カスタマイズ時には、プラットフォーム上の様々なデジタルファブリックを用いることができます。
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