今日はどんな服を着ていこう。大切な人に会うから精一杯のおしゃれをしよう、取引先に向かうので失礼のない服装にしなければーー。このように人は毎日服を選んでいる。だが、「服を選ぶことはおろか、着ることすら当たり前ではない」としたら、どうだろうか。
株式会社クリスタルロード代表の加藤路瑛さんは、自身が日常生活に困難が生じるほど様々な感覚が敏感な状態である「感覚過敏*」のため、服を選ぶ以前に「着ることが苦痛だった」と語る。この経験からKANKAKU FACTORYを立ち上げ、着心地を追求した衣服を届けようと日々取り組んでいる。 今回、ご自身の苦悩やその解決のために取り組んでいる事業について話を伺うだけでなく、感覚過敏をひとつの才能として捉える加藤さんの考えを深堀りした。
*「感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さを抱えている状態をいいます。これは病気ではなく症状なので、診断されるというものではありません。発達障害に多く見られる症状ですが、それだけでなく、うつ病、自律神経失調症、認知症、脳卒中、てんかん、高次脳機能障害などさまざまな病気の症状としても感覚の過敏さはみられますし、最近、耳にすることが多いHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)でも感覚の過敏さがある人もいます。」(KANKAKU FACTORYのホームページより https://kankakufactory.com/pages/story)
PROFILE|プロフィール
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加藤路瑛(かとう じえい)
2006年生まれ。株式会社クリスタルロード代表取締役社長。感覚過敏研究所所長。聴覚・嗅覚・味覚・触覚の感覚過敏があり、小学生時代は給食で食べられるものがなく、中学生になると教室の騒がしさに悩まされ中学2年生から不登校。その後、通信制高校へ進学。子どもが挑戦しやすい社会を目指して12歳で親子起業。子どもの起業支援事業を経て13歳で「感覚過敏研究所」を設立。感覚過敏の啓発、対策商品の企画・生産・販売、感覚過敏の研究に力を注ぐ。著書に『感覚過敏の僕が感じる世界』(日本実業出版社)。
はじめに、起業した経緯と感覚過敏について教えてください。
僕が12歳だった2018年の12月に、親子起業という形で会社を設立しました。最初は社長にあこがれていたこともあり、誰もが起業しやすい世の中にするための事業を行っていました。1年くらい経ったときに、父から「せっかく会社を持っているのだから、自分の困り事を解決したらどうか」と提案されて、そこから自分自身の悩みである感覚過敏の解決に取り組もうと思いました。それがきっかけで感覚過敏研究所を設立しました。 この記事は会員限定です。
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