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2023.03.17

全日本大学女子駅伝を6連覇! 富士山女子駅伝を5連覇! 大学女子長距離をリードする名城大学の強さの秘密

昨年10月に開催された全日本大学女子駅伝で優勝し、6連覇を達成。昨年末に開催された富士山女子駅伝でも優勝し、見事5連覇を達成した名城大学。富士山女子駅伝では1区から一度も首位を譲らず、襷を繋いだ7選手全員が区間3位以内となる好走をみせた。

中心選手で4年生の山本有真選手は、2月のアジア室内陸上競技選手権大会に3000m日本代表として出場し、銅メダルを獲得した。ナイキがサポートしていることでも知られている彼女たちの強さの秘密はどこにあるのか、日々どのようなトレーニングを積んでいるのか。ナイキのシューズはどのように活用されているのか。選手へのインタビューから探る。

全日本大学女子駅伝の6連覇は史上最多

今回の取材に応じてくれたのは、山本有真選手、谷本七星選手(現2年生)、米澤奈々香選手(現1年生)の3名。山本選手は昨年の全日本3区、富士山5区を走りともに区間賞を獲得。10月の栃木国体5000mでは、日本人学生最高記録となる15分16秒71をマークしている。

谷本選手は全日本4区、富士山7区を走りどちらも区間賞(全日本は区間新)。大学入学後、4つの駅伝すべてで区間賞を獲得している。米澤選手は全日本1区、富士山3区で区間賞を獲得し、富士山では区間新をマークしている。

画像: 3月で卒業となる山本有真選手は積水化学で競技を続ける。世界の舞台での活躍が期待されている
3月で卒業となる山本有真選手は積水化学で競技を続ける。世界の舞台での活躍が期待されている
画像: 全日本では2年連続4区で区間新をマークした谷本七星選手。2021年にはU20日本選手権の3000mSCで大会記録を更新している
全日本では2年連続4区で区間新をマークした谷本七星選手。2021年にはU20日本選手権の3000mSCで大会記録を更新している
画像: 1年生ながら2大駅伝で大活躍をみせた米澤奈々香選手。2月にはU20日本代表として世界クロスカントリー選手権に出場した
1年生ながら2大駅伝で大活躍をみせた米澤奈々香選手。2月にはU20日本代表として世界クロスカントリー選手権に出場した

“現状打破 チームのため 私がやる”というチームスローガンを掲げ、見事に全日本6連覇、富士山5連覇を達成した名城大学。2022年度はどのような一年だったのだろうか。
 
「今までと違うのは、私たちの代が1年間引っ張ってきたチームで優勝できたということ。自分にとっては特別な経験になりました。史上最多となった全日本6連覇は、先輩たちが一つ一つ積み上げてきてくれたものですが、自分たちの代で新しい記録を達成できたのは嬉しいですね。スローガンは、みんなが自分からチームのために動くチームにしたいという思いを込めて決めたものなのですが、目指したチームになれたなと思います」(山本)
 
 「チームのため、私がやるというのはセットだという思いを私は持っていて。駅伝を走るときに、ここで私がやらないといけなという強い気持ちで挑むことができました。全日本は区間新記録で襷を繋げたのですが、それは私の記録だけれど、チームのための記録なんです。富士山はアンカーで、襷を小林成美先輩からもらったときに“絶対楽しいから”って言われて。でも、楽しかったのは平坦の3kmまでで(笑)。そこからの坂道は苦しいでしかなかったのですが、チームのために私がやり切るという気持ちでなんとか走り切ることができました」(谷本)
 
「大学の2大駅伝である全日本と富士山の両方を走ることができて、先輩たちが積み重ねてきてくださった連覇に自分も貢献できたかなという嬉しい気持ちと、もっと頑張っていこうという気持ちがあります。一緒に頑張ってきた先輩、同期と掴み取った優勝は忘れられない経験になりました」(米澤)

連覇が続く理由。強さの秘密

プロチームや実業団などと異なり、選手が入れ替わり続ける学生スポーツ。4年で完全に選手が替わる大学駅伝で、5連覇、6連覇を達成するのは至難の業といえる。それが達成できた要因はどこにあるのだろうか。
 
「駅伝シーズンになると、夕食時に過去の駅伝の映像をみんなで観直すんです。なので、初優勝して米田先生(米田勝朗監督)が号泣しているシーンはみんな知っているんです。先輩たちが頑張っている姿を目に焼き付けていることが、この伝統を受け継がなきゃ、次は自分たちがやらなきゃっていう気持ちに繋がっているのかなと思います。昔の先輩たちが取り組んできたこと、名城の駅伝部がどうやって強くなって連覇に繋がっているのかといった話も米田先生からたくさん聞いていて。そういうことが連覇に結びついているのかなと」(山本)

画像: 「陸上競技を通して多くの人と関われて視野が広がった。支えてくれる人、周りの人のために走りたい」と語る山本選手
「陸上競技を通して多くの人と関われて視野が広がった。支えてくれる人、周りの人のために走りたい」と語る山本選手

「駅伝の映像を観ながら、その区間を走った先輩からコースの特徴を教えてもらったりもしています。監督は、勝つことに慣れ過ぎているって凄く仰っていて。当たり前ではないんだよと注意喚起をしてくれます。負けの怖さを知らない強さもあるという話をしながらも、負けたときの悔しさの想像を促しても下さって。そのおかげで絶対に負けたくないと思えます」(谷本)
 
練習環境、設備が整っているのも間違いなく名城大学の強さの一因だ。
 
「大学進学時に、どの大学に行くかはギリギリまで迷っていました。実際にいろいろなところを見学してみたのですが、名城大学は環境や設備がどこの大学よりも整っていました。監督の話も聞いて、同期に強い選手が入ってくる情報も耳にして、それらの全部が重なって名城大学に決めました」(米澤)
 
「寮は1人部屋なのでリラックスできます。酸素カプセル、低酸素ルーム、サウナがある大学はかなり珍しいのではないかと思います。食事に関しては、名古屋学芸大学 管理栄養部の方が毎晩作りに来てくれて、栄養バランスの整った食事を提供してもらえます。栄養管理されているだけでなく、めちゃくちゃ美味しくて。クリスマスメニューや誕生日メニューもあるんです」(山本)

名城大学の定番トレーニングとシューズの履き分け

選手たちの強さを支えているのは、もちろん日々のトレーニング。名城大学ではどのような練習が行われているのか。その一部を教えてもらった。
 
「名城には400の変化走、1000の変化走と呼ばれる2つの定番メニューがあります。400の変化走は400mを74秒(設定は時期によって異なるが大会前などはこのタイム)で走って、100mを25秒で繋ぐというのを、3000m続けます。最後の6本目(400m+100mを1本として)は繋ぎがないので、500m走ります。それを2セットやって、リカバリーを取ってから1000mを全力で走るというのが基本になります。1000の変化走は、1000mを3分10秒ペースと4分ペースで走るのを交互に繰り返してトータルで10000m走ります。さらに最後に仕上げで400mを走ることもあります」(山本)
 
「高校時代にしっかりとリカバリータイムを取るインターバル走はやっていたんですけど、変化走ってあまり経験したことがなかったので、慣れるまではしんどかったですね(笑)」(米澤)
 
「400の変化走の最後の1000mや、1000の変化走の最後の400mは、出し切る感じがあって、それが勝負強さに繋がっている気がします。400の変化走は、私はスパイクで行うのでドラゴンフライ(ナイキの長距離用陸上スパイク)をよく履いています。1000の変化走のときは、アルファフライヴェイパーフライ(どちらもカーボンプレートを搭載した厚底ランニングシューズ)を履く選手が多いのですが、私はアルファフライを履いています」(谷本)
 
山本選手はアルファフライ派、米澤選手はヴェイパーフライ派というように、レースやスピードが必要な練習の際に選ぶシューズは、好みによってこのどちらかに分かれるという。ではジョグやクールダウンの際にはどんなシューズを選んでいるのだろうか。
 
インヴィンシブル(ケガ予防とランニングエコノミーの改善を目的に開発されたシューズ)が名城で結構人気のシューズで。みんなコレっていうぐらいほとんどの選手が履いていますね。トラックでもロードでもジョグはインヴィンシブルの着用率が高いと思います。クールダウンもインヴィンシブルですかね」(山本)
 
「ケガ防止っていうコンセプトなのと、クッション性が高くて安心して走れるから、みんな好きなのかなと」(谷本)

画像: 名城大学の選手たちに人気のインヴィンシブルシリーズ最新作、ナイキ インヴィンシブル 3
名城大学の選手たちに人気のインヴィンシブルシリーズ最新作、ナイキ インヴィンシブル 3
画像: ナイキ インヴィンシブル 3はウォーミングアップやクールダウン、ジョグをする際に履くことが多い
ナイキ インヴィンシブル 3はウォーミングアップやクールダウン、ジョグをする際に履くことが多い

練習の内容、目的によってシューズを履き分けることが、トレーニングの質を高め、ケガのリスクの軽減にも繋がる。トップレベルの選手たちにとっては当たり前にするべきことなのだ。
 
トレーニングの内容、設備の充実度、栄養管理、シューズの履き分け。これらの細部へのこだわりの積み重ねが、強い選手とチームを作っていくのだろう。

PROFILE|プロフィール
(左から)山本有真、米澤奈々香、谷本七星
(左から)山本有真、米澤奈々香、谷本七星

山本有真(やまもとゆま)
1年時から4年時まで全日本と富士山の両駅伝を走り、7度区間賞を獲得。昨年10月の栃木国体5000mで日本人学生最高タイムをマーク。今年2月に開催されたアジア室内陸上、3000mで3位に。

米澤奈々香(よねざわななか)
仙台育英高校時代に出場した日本選手権1500mで2位に。1500mでは高校歴代3位の記録を持っている。今年2月に開催された世界クロスカントリー選手権にU20日本代表として出場。

谷本七星(たにもとななせ)
2022年の全日本大学女子駅伝の4区では自身が持っていた区間記録を23秒更新。2021年のU20日本選手権では、3000mSCを大会記録で優勝、1500mで4位になっている。

Text by Fumihito Kouzu

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